SQLAlchemy と FastAPI における synchronize_session=False オプションの詳細解説
synchronize_session オプションとは
synchronize_session
オプションは、SQLAlchemy の update()
関数および delete()
関数のオプション引数です。このオプションは、セッションとデータベースの状態を同期するかどうかを制御します。
デフォルトの動作
デフォルトでは、synchronize_session
は True
に設定されています。つまり、update()
または delete()
関数を実行すると、セッション内の対応するオブジェクトの状態が自動的に更新されます。
synchronize_session=False を使用する利点
synchronize_session=False
を設定すると、以下の利点があります。
- パフォーマンスの向上: セッション内のオブジェクトの状態を更新する必要がないため、パフォーマンスが向上します。
- メモリ使用量の削減: セッション内のオブジェクトの状態を保持する必要がないため、メモリ使用量が削減されます。
- セッション内のオブジェクトの状態は、
commit()
またはrollback()
を実行するまで更新されません。 - セッション内のオブジェクトの状態が更新されていない場合、そのオブジェクトにアクセスすると、古いデータが取得される可能性があります。
synchronize_session
の適切な値は、以下の要素によって異なります。
- アプリケーションのパフォーマンス要件
- メモリ使用量に対する制約
- アプリケーションのデータ整合性要件
FastAPI との組み合わせ
FastAPI では、非同期処理が推奨されています。synchronize_session=False
を使用すると、セッションとデータベースの状態を同期する必要がなくなるため、非同期処理との相性が良いです。
synchronize_session
オプションは、SQLAlchemy のパフォーマンスとメモリ使用量を最適化するために役立ちます。ただし、使用際には、データ整合性に関する注意点に留意する必要があります。
上記の情報に加えて、以下の点にも注意する必要があります。
synchronize_session=False
を使用する場合、アプリケーションのコードが複雑になる可能性があります。
from sqlalchemy import create_engine
from sqlalchemy.orm import sessionmaker
# エンジンを作成
engine = create_engine("postgresql://user:password@host:port/database")
# セッションメーカーを作成
Session = sessionmaker(bind=engine)
# セッションを取得
session = Session()
# ユーザーを更新
user = session.query(User).filter(User.id == 1).first()
user.name = "Taro Yamada"
# セッション内のオブジェクトの状態を同期しない
session.update(user, synchronize_session=False)
# セッションをコミット
session.commit()
expire_on_commit
オプションは、オブジェクトがコミットされた後に、セッション内のそのオブジェクトの状態を自動的にリフレッシュするように設定します。このオプションを使用すると、synchronize_session
オプションを False
に設定する必要はありません。
from sqlalchemy import create_engine
from sqlalchemy.orm import sessionmaker
# エンジンを作成
engine = create_engine("postgresql://user:password@host:port/database")
# セッションメーカーを作成
Session = sessionmaker(bind=engine)
# セッションを取得
session = Session()
# ユーザーを更新
user = session.query(User).filter(User.id == 1).first()
user.name = "Taro Yamada"
# セッション内のオブジェクトの状態をコミット後に自動的にリフレッシュ
session.expire_on_commit(user)
# セッションをコミット
session.commit()
expire_all() メソッドを使用する
expire_all()
メソッドは、セッション内のすべてのオブジェクトの状態をリフレッシュします。このメソッドは、セッション内のオブジェクトの状態が古くなっている可能性がある場合に使用します。
from sqlalchemy import create_engine
from sqlalchemy.orm import sessionmaker
# エンジンを作成
engine = create_engine("postgresql://user:password@host:port/database")
# セッションメーカーを作成
Session = sessionmaker(bind=engine)
# セッションを取得
session = Session()
# ユーザーを更新
user = session.query(User).filter(User.id == 1).first()
user.name = "Taro Yamada"
# セッション内のすべてのオブジェクトの状態をリフレッシュ
session.expire_all()
# セッションをコミット
session.commit()
refresh() メソッドを使用する
refresh()
メソッドは、指定されたオブジェクトの状態をリフレッシュします。このメソッドは、個々のオブジェクトの状態をリフレッシュしたい場合に使用します。
from sqlalchemy import create_engine
from sqlalchemy.orm import sessionmaker
# エンジンを作成
engine = create_engine("postgresql://user:password@host:port/database")
# セッションメーカーを作成
Session = sessionmaker(bind=engine)
# セッションを取得
session = Session()
# ユーザーを更新
user = session.query(User).filter(User.id == 1).first()
user.name = "Taro Yamada"
# 指定されたオブジェクトの状態をリフレッシュ
session.refresh(user)
# セッションをコミット
session.commit()
detach()
メソッドは、指定されたオブジェクトをセッションから取り除きます。このメソッドを使用すると、セッション内のオブジェクトの状態は自動的に更新されません。
from sqlalchemy import create_engine
from sqlalchemy.orm import sessionmaker
# エンジンを作成
engine = create_engine("postgresql://user:password@host:port/database")
# セッションメーカーを作成
Session = sessionmaker(bind=engine)
# セッションを取得
session = Session()
# ユーザーを更新
user = session.query(User).filter(User.id == 1).first()
user.name = "Taro Yamada"
# 指定されたオブジェクトをセッションから取り除く
session.detach(user)
# セッションをコミット
session.commit()
load_latest_version() メソッドを使用する
load_latest_version()
メソッドは、データベースから最新バージョンのオブジェクトを取得します。このメソッドを使用すると、セッション内のオブジェクトの状態が古くなっている可能性がある場合でも、常に最新の状態を取得できます。
from sqlalchemy import create_engine
from sqlalchemy.orm import sessionmaker
# エンジンを作成
engine = create_engine("postgresql://user:password@host:port/database")
# セッションメーカーを作成
Session = sessionmaker(bind=engine)
# セッションを取得
session = Session()
# ユーザーを更新
user = session.query(User).filter(User.id == 1).first()
user.name = "Taro Yamada"
# データベースから最新バージョンのオブジェクトを取得
user = session.load_latest_version(user)
# セッションをコミット
session.commit()
sqlalchemy fastapi