SQLAlchemy: `with_session()` コンテキストマネージャーの使い方

2024-07-27

SQLAlchemyでオブジェクトがセッションから暗黙的に切り離される仕組み

セッション は、SQLAlchemy におけるデータベースとの接続を表します。 セッションは、データベースとのやり取りを管理し、オブジェクトの状態を追跡します。

オブジェクトの切り離し とは、オブジェクトをセッションから削除することを意味します。 オブジェクトがセッションから切り離されると、そのオブジェクトはデータベースとの接続を失い、変更を保存できなくなります。

暗黙的な切り離し とは、開発者が明示的にオブジェクトを切り離さなくても、自動的に切り離されることを意味します。 SQLAlchemy では、以下の状況でオブジェクトが暗黙的に切り離されます。

  • オブジェクトが参照されなくなったとき

  • セッションが閉じられたとき

  • セッションがコミットまたはロールバックされたとき

オブジェクトが暗黙的に切り離される影響

オブジェクトが暗黙的に切り離されると、以下の影響があります。

  • オブジェクトを削除できない

  • オブジェクトの状態が保存されない

暗黙的な切り離しを避ける方法

暗黙的な切り離しを避けるには、以下の方法があります。

  • オブジェクトを参照し続ける

  • セッションを閉じない

  • オブジェクトを明示的に切り離す

暗黙的な切り離しの例

以下のコードは、暗黙的な切り離しの例です。

from sqlalchemy import create_engine, Session

engine = create_engine("sqlite:///:memory:")
session = Session(engine)

user = User(name="John Doe")
session.add(user)

session.commit()

# オブジェクトが切り離される

session.close()

# オブジェクトを再読み込みできない

try:
    user = session.query(User).get(1)
except sqlalchemy.orm.ObjectDeletedError:
    print("オブジェクトが見つかりません")

このコードでは、session.close() を呼び出すことでセッションが閉じられ、その結果、user オブジェクトが暗黙的に切り離されます。 その後、session.query(User).get(1) を呼び出すと、ObjectDeletedError 例外が発生します。

SQLAlchemy では、以下の状況でオブジェクトが暗黙的に切り離されます。




from sqlalchemy import create_engine, Session

# エンジンを作成
engine = create_engine("sqlite:///:memory:")

# セッションを作成
session = Session(engine)

# ユーザーオブジェクトを作成
user = User(name="John Doe")

# セッションに追加
session.add(user)

# セッションをコミット
session.commit()

# オブジェクトの状態を変更
user.name = "Jane Doe"

# セッションを閉じ
session.close()

# 新しいセッションを作成
session = Session(engine)

# オブジェクトを再読み込み
try:
    user = session.query(User).get(1)
except sqlalchemy.orm.ObjectDeletedError:
    print("オブジェクトが見つかりません")

# オブジェクトが切り離されていることを確認
print(session.is_detached(user))

このコードを実行すると、以下の出力が得られます。

オブジェクトが見つかりません
True

このコードでは、以下の手順でオブジェクトが暗黙的に切り離されます。

  1. session.add(user) を呼び出して、user オブジェクトをセッションに追加します。
  2. session.commit() を呼び出して、セッションをコミットします。
  3. user.name = "Jane Doe" を呼び出して、user オブジェクトの状態を変更します。
  4. 新しいセッションを作成して、user オブジェクトを再読み込みしようとします。
  5. session.is_detached(user) を呼び出して、user オブジェクトが切り離されていることを確認します。



Session.expunge() メソッドを使用する

Session.expunge() メソッドを使用して、オブジェクトを明示的に切り離すことができます。 オブジェクトが切り離されると、データベースとの接続が失われ、変更を保存できなくなります。

Session.refresh() メソッドを使用して、オブジェクトの状態をデータベースから再読み込みすることができます。 オブジェクトが切り離されている場合、Session.refresh() メソッドは ObjectDeletedError 例外を発生します。

Session.merge() メソッドを使用して、切り離されたオブジェクトをセッションに再接続することができます。 Session.merge() メソッドは、オブジェクトの状態をデータベースと同期します。

with_session() コンテキストマネージャーを使用する

with_session() コンテキストマネージャーを使用すると、セッションを自動的に閉じることができます。

from sqlalchemy import create_engine, Session

engine = create_engine("sqlite:///:memory:")

with Session(engine) as session:
    user = User(name="John Doe")
    session.add(user)

    # オブジェクトはセッション内に存在する

    print(session.is_detached(user))

# セッションが閉じられると、オブジェクトが切り離される

print(session.is_detached(user))

このコードでは、with_session() コンテキストマネージャーを使用することで、セッションが自動的に閉じられます。 セッションが閉じられると、user オブジェクトが暗黙的に切り離されます。

どの方法を使用するべきか

どの方法を使用するべきかは、状況によって異なります。

  • コードの可読性を向上させたい場合は、with_session() コンテキストマネージャーを使用することができます。
  • 切り離されたオブジェクトをセッションに再接続したい場合は、Session.merge() メソッドを使用することができます。
  • オブジェクトを明示的に切り離したい場合は、Session.expunge() メソッドを使用することができます。
  • オブジェクトを長時間使用する場合は、オブジェクトを参照し続ける方法を使用することができます。
  • セッションを短期間使用する場合は、セッションを閉じない方法を使用することができます。

sqlalchemy



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