ON UPDATE CASCADE 以外の方法: ON UPDATE SET NULL とトリガー
SQL 外部キー ON UPDATE CASCADE の詳細解説
SQL の外部キー制約における ON UPDATE CASCADE は、親テーブルの参照値更新に伴い、子テーブルの関連する値を自動的に更新する機能です。データの整合性を維持する上で役立ちますが、誤った更新にも繋がるため、適切な状況で利用することが重要です。
ON UPDATE CASCADE の動作
例:
- 親テーブル Customers (顧客情報)
- カラム:
customer_id
(主キー)
- カラム:
親テーブルの値更新
Customers
テーブルで customer_id
1 の顧客名を "山田太郎" から "佐藤花子" に変更した場合、ON UPDATE CASCADE が設定されていれば、Orders
テーブルで customer_id
1 の注文情報も自動的に "佐藤花子" に更新されます。
子テーブルの参照値制約
Orders
テーブルに customer_id
2 の注文情報が存在し、Customers
テーブルに customer_id
2 の顧客情報が存在しない場合、ON UPDATE CASCADE
はエラーとなり、親テーブルの更新は実行されません。
顧客情報更新時の自動反映
顧客情報の変更を反映するため、全ての注文情報も自動的に更新したい場合に有効です。
データ整合性の維持
親テーブルと子テーブルの関連性を常に一致させることで、データの整合性を維持できます。
誤更新の可能性
意図せず子テーブルのデータが更新される可能性があるため、設定には注意が必要です。
複雑なデータ構造の場合、予期せぬ更新が発生する可能性があります。
ON UPDATE SET NULL
子テーブルの関連値を NULL に設定します。
トリガーによる制御
更新処理をトリガーで制御し、複雑なロジックにも対応できます。
結論
-- テーブル作成
CREATE TABLE Customers (
customer_id INT PRIMARY KEY AUTO_INCREMENT,
name VARCHAR(255) NOT NULL
);
CREATE TABLE Orders (
order_id INT PRIMARY KEY AUTO_INCREMENT,
customer_id INT NOT NULL,
FOREIGN KEY (customer_id) REFERENCES Customers (customer_id) ON UPDATE CASCADE
);
-- データ挿入
INSERT INTO Customers (name) VALUES ('山田太郎');
INSERT INTO Orders (customer_id) VALUES (1);
-- 親テーブルの値更新
UPDATE Customers SET name = '佐藤花子' WHERE customer_id = 1;
-- 子テーブルの値確認
SELECT * FROM Orders;
-- 結果
order_id | customer_id | name
------- | -------- | --------
1 | 1 | 佐藤花子
Customers
とOrders
テーブルを作成します。Orders
テーブルのcustomer_id
カラムにON UPDATE CASCADE
を設定します。Customers
テーブルの顧客名を更新します。Orders
テーブルを確認すると、顧客名が自動的に更新されていることを確認できます。
注意事項
- 上記コードはあくまでサンプルです。実際の運用環境に合わせて変更してください。
ON UPDATE CASCADE 以外の方法
子テーブルの関連値を NULL に設定します。親テーブルの値更新によって子テーブルの関連性が不明確になる場合に有効です。
ALTER TABLE Orders
ALTER COLUMN customer_id
SET DEFAULT NULL
REFERENCES Customers (customer_id)
ON UPDATE SET NULL;
CREATE TRIGGER update_order_customer
BEFORE UPDATE ON Customers
FOR EACH ROW
BEGIN
IF NEW.name != OLD.name THEN
UPDATE Orders
SET customer_id = NULL
WHERE customer_id = OLD.customer_id;
END IF;
END;
アプリケーション側で更新処理を制御することで、より柔軟な対応が可能です。
状況に応じた方法選択
上記の各方法にはそれぞれメリットとデメリットがあります。状況に応じて最適な方法を選択することが重要です。
sql foreign-keys