MariaDB: トリガーでレコード挿入をスマートに制御!Before Insert Triggerの使い方
MariaDBにおけるBefore Insert TriggerによるNEW.fieldへの値割り当て
MariaDBのトリガーは、INSERT、UPDATE、DELETEなどの操作が発生した際に自動的に実行される一連のSQLステートメントです。Before Insert Triggerは、新しいレコードが挿入される前に実行されるトリガーです。このトリガーを使用して、NEW.field
という特殊変数に値を割り当てることで、挿入されるレコードの特定のフィールドに自動的に値を設定することができます。
詳細
NEW
変数は、Before Insert Trigger内で挿入される新しいレコードを表します。NEW.field
は、field
という名前の列に割り当てられる値を表します。
Before Insert Triggerを使用してNEW.field
に値を割り当てるには、以下の手順に従います。
- トリガーの作成
DELIMITER $$
CREATE TRIGGER trigger_name BEFORE INSERT ON table_name
FOR EACH ROW
BEGIN
SET NEW.field = value;
END$$
DELIMITER ;
trigger_name
は、トリガーの名前です。table_name
は、トリガーが適用されるテーブルの名前です。value
は、NEW.field
に割り当てられる値です。
INSERT INTO table_name (field) VALUES (NULL);
このINSERTステートメントを実行すると、field
列にvalue
が自動的に割り当てられます。
例
次の例では、customers
というテーブルにcreated_at
という名前の列を追加し、Before Insert Triggerを使用して、挿入されるすべてのレコードに現在の日付を自動的に設定する方法を示します。
CREATE TABLE customers (
id INT PRIMARY KEY AUTO_INCREMENT,
name VARCHAR(255) NOT NULL,
email VARCHAR(255) NOT NULL,
created_at DATETIME NOT NULL
);
DELIMITER $$
CREATE TRIGGER set_created_at BEFORE INSERT ON customers
FOR EACH ROW
BEGIN
SET NEW.created_at = CURRENT_TIMESTAMP();
END$$
DELIMITER ;
このトリガーを作成すると、customers
テーブルに新しいレコードを挿入するたびに、created_at
列に現在の日付が自動的に設定されます。
注意事項
- Before Insert Triggerは、挿入されるレコードにのみ適用されます。既存のレコードは更新されません。
- Before Insert Triggerは、INSERTステートメントだけでなく、LOAD DATA INFILEやREPLACEステートメントなど、他の挿入操作にも適用されます。
- Before Insert Triggerがエラーを発生させると、挿入操作全体が失敗します。
Before Insert Triggerを使用してNEW.field
に値を割り当てることで、挿入されるレコードの特定のフィールドに自動的に値を設定することができます。これは、デフォルト値を設定したり、複雑な計算に基づいて値を生成したりする場合に役立ちます。
Before Insert Trigger を用いたサンプルコード
テーブル作成
CREATE TABLE customers (
id INT PRIMARY KEY AUTO_INCREMENT,
name VARCHAR(255) NOT NULL,
email VARCHAR(255) NOT NULL,
created_at DATETIME NOT NULL
);
Before Insert Trigger 作成
DELIMITER $$
CREATE TRIGGER set_created_at BEFORE INSERT ON customers
FOR EACH ROW
BEGIN
SET NEW.created_at = CURRENT_TIMESTAMP();
END$$
DELIMITER ;
動作確認
INSERT INTO customers (name, email) VALUES ('Taro Yamada', '[email protected]');
INSERT INTO customers (name, email) VALUES ('Hanako Sato', '[email protected]');
上記を実行すると、customers
テーブルに以下のレコードが挿入されます。
id | name | email | created_at
---+----------------+----------------------+----------------------------
1 | Taro Yamada | [email protected] | 2024-06-19 14:31:38
2 | Hanako Sato | [email protected] | 2024-06-19 14:31:38
ご覧の通り、created_at
列には自動的に現在日時が設定されています。
補足
- この例では、
created_at
列に現在日時を挿入していますが、任意の値を設定することができます。 - Before Insert Trigger は、レコード挿入以外にも、レコード更新や削除時に実行されるトリガーも作成できます。
Before Insert Trigger 以外の代替方法
デフォルト値
テーブルの列にデフォルト値を設定することで、その列に値が指定されない場合に自動的に設定される値を指定することができます。
CREATE TABLE customers (
id INT PRIMARY KEY AUTO_INCREMENT,
name VARCHAR(255) NOT NULL,
email VARCHAR(255) NOT NULL,
created_at DATETIME NOT NULL DEFAULT CURRENT_TIMESTAMP()
);
上記の例では、created_at
列のデフォルト値として現在日時が設定されています。そのため、レコード挿入時にcreated_at
列に値を明示的に指定しない場合、自動的に現在日時が設定されます。
INSERT ステートメントで各列に値を明示的に指定することで、挿入されるレコードの値を設定することができます。
INSERT INTO customers (name, email, created_at)
VALUES ('Taro Yamada', '[email protected]', CURRENT_TIMESTAMP());
上記の例では、created_at
列に現在日時を明示的に指定しています。
ストアドプロシージャを作成し、その中でレコード挿入処理を実行することで、挿入されるレコードに値を設定することができます。
CREATE PROCEDURE insert_customer(name VARCHAR(255), email VARCHAR(255))
BEGIN
INSERT INTO customers (name, email, created_at)
VALUES (name, email, CURRENT_TIMESTAMP());
END;
CALL insert_customer('Taro Yamada', '[email protected]');
上記の例では、insert_customer
というストアドプロシージャを作成し、その中でレコード挿入処理を実行しています。このプロシージャを呼び出すことで、created_at
列に現在日時が自動的に設定されます。
各方法の比較
方法 | 利点 | 欠点 |
---|---|---|
デフォルト値 | 設定が簡単 | 複雑な値を設定できない |
INSERT ステートメント | 柔軟性が高い | 記述量が多くなる |
ストアドプロシージャ | コードを再利用できる | 開発・保守の手間がかかる |
Before Insert Trigger は、挿入されるレコードに値を自動的に設定する便利な機能ですが、状況によっては他の方法の方が適切な場合があります。それぞれの方法の利点と欠点を理解した上で、最適な方法を選択することが重要です。
triggers mariadb