親子関係を持つデータの階層クエリをMariaDBで実現:再帰CTEによる方法
MariaDBで階層クエリ用の再帰CTEを実装する
MariaDBで階層構造を持つデータに対して、再帰CTE (Common Table Expression) を用いて階層クエリを実装する方法について解説します。
目次
- 再帰CTEとは?
- MariaDBでの再帰CTEの実装
- 実装例
- 注意点
再帰CTEは、自分自身を参照するクエリを記述するための構文です。階層構造を持つデータに対して、親要素から子要素、孫要素へと順に取得していくようなクエリを記述する場合に有効です。
MariaDBで再帰CTEを使用するには、WITH RECURSIVE
というキーワードを使用します。
WITH RECURSIVE cte (
id,
parent_id,
name
) AS (
# ベースとなるクエリ
SELECT
id,
parent_id,
name
FROM
table
WHERE
parent_id IS NULL
# 再帰的な部分クエリ
UNION ALL
SELECT
t.id,
t.parent_id,
t.name
FROM
table t
INNER JOIN
cte ON cte.id = t.parent_id
)
# CTEを参照するクエリ
SELECT
*
FROM
cte
上記の例では、table
テーブルに親子関係を持つデータがあると仮定し、id
列をキーとして階層構造を表現しています。
以下の例では、categories
テーブルに親子関係を持つカテゴリデータがあると仮定し、すべてのカテゴリとその子孫カテゴリを取得するクエリを記述します。
WITH RECURSIVE cte (
id,
parent_id,
name,
path
) AS (
# ベースとなるクエリ
SELECT
id,
parent_id,
name,
CONCAT(id, '') AS path
FROM
categories
WHERE
parent_id IS NULL
# 再帰的な部分クエリ
UNION ALL
SELECT
t.id,
t.parent_id,
t.name,
CONCAT(cte.path, ',', t.id) AS path
FROM
categories t
INNER JOIN
cte ON cte.id = t.parent_id
)
# CTEを参照するクエリ
SELECT
*
FROM
cte
ORDER BY
path
このクエリを実行すると、すべてのカテゴリとその子孫カテゴリが、階層構造に従って取得されます。
再帰CTEは非常に強力なツールですが、以下のような点に注意する必要があります。
- 無限ループに陥らないように、適切な条件を設定する必要があります。
- 大量のデータに対して実行する場合、パフォーマンスに影響を与える可能性があります。
まとめ
MariaDBで再帰CTEを使用することで、階層構造を持つデータに対して効率的にクエリを実行することができます。上記の内容を参考に、ぜひご自身の開発に活用してみてください。
WITH RECURSIVE cte (
id,
parent_id,
name,
path
) AS (
# ベースとなるクエリ
SELECT
id,
parent_id,
name,
CONCAT(id, '') AS path
FROM
categories
WHERE
parent_id IS NULL
# 再帰的な部分クエリ
UNION ALL
SELECT
t.id,
t.parent_id,
t.name,
CONCAT(cte.path, ',', t.id) AS path
FROM
categories t
INNER JOIN
cte ON cte.id = t.parent_id
)
# CTEを参照するクエリ
SELECT
*
FROM
cte
ORDER BY
path
このクエリを実行すると、以下の結果が出力されます。
id | parent_id | name | path
------- | -------- | -------- | --------
1 | NULL | カテゴリ1 | 1
2 | 1 | カテゴリ2 | 1,2
3 | 2 | カテゴリ3 | 1,2,3
4 | NULL | カテゴリ4 | 4
5 | 4 | カテゴリ5 | 4,5
- 子カテゴリのみを取得するクエリ
WITH RECURSIVE cte (
id,
parent_id,
name,
path
) AS (
# ベースとなるクエリ
SELECT
id,
parent_id,
name,
CONCAT(id, '') AS path
FROM
categories
WHERE
parent_id IS NOT NULL
# 再帰的な部分クエリ
UNION ALL
SELECT
t.id,
t.parent_id,
t.name,
CONCAT(cte.path, ',', t.id) AS path
FROM
categories t
INNER JOIN
cte ON cte.id = t.parent_id
)
# CTEを参照するクエリ
SELECT
*
FROM
cte
ORDER BY
path
- 特定のカテゴリとその子孫カテゴリのみを取得するクエリ
WITH RECURSIVE cte (
id,
parent_id,
name,
path
) AS (
# ベースとなるクエリ
SELECT
id,
parent_id,
name,
CONCAT(id, '') AS path
FROM
categories
WHERE
id = 1
# 再帰的な部分クエリ
UNION ALL
SELECT
t.id,
t.parent_id,
t.name,
CONCAT(cte.path, ',', t.id) AS path
FROM
categories t
INNER JOIN
cte ON cte.id = t.parent_id
)
# CTEを参照するクエリ
SELECT
*
FROM
cte
ORDER BY
path
上記のサンプルコードを参考に、ご自身のニーズに合わせてクエリを記述してみてください。
MariaDBで階層クエリを実行するその他の方法
JOINを使用する
親子関係を表すテーブルを複数回JOIN
することで、階層構造を表現することができます。ただし、階層が深くなるにつれて、クエリが複雑になり、パフォーマンスが低下する可能性があります。
階層情報を格納する列を使用する
path
列のように、階層情報を格納する列を用意することで、階層クエリを簡単に記述することができます。ただし、データ更新時にpath
列を更新する必要があるため、メンテナンスコストが増加する可能性があります。
ストアドプロシージャを使用する
複雑な階層クエリをストアドプロシージャにまとめることで、コードの可読性と保守性を向上させることができます。ただし、ストアドプロシージャのデバッグが複雑になる可能性があります。
外部ライブラリを使用する
階層クエリを簡単に実行できる外部ライブラリがいくつか存在します。ただし、ライブラリの使用方法を習得する必要があるため、学習コストが発生します。
どの方法を選択するべきかは、データ構造、クエリのパフォーマンス、開発コストなどを考慮する必要があります。
sql jpa mariadb