MariaDBでINSERT IF NOT EXISTSを使うと、MySQLのINSERT INTO WITH WHERE NOT EXISTSより簡潔・効率的に

2024-07-01

MySQLからMariaDBへの移行における「INSERT INTO WITH WHERE NOT EXIST」の書き換え

従来の INSERT INTO WITH WHERE NOT EXIST

INSERT INTO target_table (column1, column2, ...)
SELECT value1, value2, ...
FROM source_table
WHERE NOT EXISTS (
    SELECT 1
    FROM target_table
    WHERE target_table.column1 = value1
        AND target_table.column2 = value2
        ...
);

MariaDBでの INSERT IF NOT EXISTS

INSERT IF NOT EXISTS INTO target_table (column1, column2, ...)
SELECT value1, value2, ...
FROM source_table;

書き換えのポイント

  1. WHERE NOT EXISTS サブクエリを省略:INSERT IF NOT EXISTS 構文では、重複レコードのチェックを内部的に処理するため、サブクエリが不要になります。
  2. INSERT INTO の後に IF NOT EXISTS を挿入:INSERT INTO キーワードの後に IF NOT EXISTS キーワードを挿入することで、重複レコードの挿入を抑制できます。

メリット

  • コードの簡潔化:サブクエリが不要になり、コードがより読みやすく、理解しやすくなります。
  • パフォーマンス向上:サブクエリ処理が省略されるため、処理速度が向上する可能性があります。
  • MariaDB 固有機能の活用:MariaDB 独自の機能を活用することで、コードの移植性を高めることができます。

注意点

  • INSERT IGNORE との混同に注意:INSERT IGNORE はエラーを無視して挿入処理を実行しますが、INSERT IF NOT EXISTS は重複レコードの挿入自体を抑制します。
  • INSERT ... ON DUPLICATE KEY UPDATE との使い分け:重複レコードの更新処理には、INSERT ... ON DUPLICATE KEY UPDATE 構文を使用するのが適切です。



サンプルコード:顧客情報テーブルへのデータ挿入

-- 顧客情報テーブル `customers` のスキーマ
CREATE TABLE customers (
  customer_id INT PRIMARY KEY AUTO_INCREMENT,
  first_name VARCHAR(50) NOT NULL,
  last_name VARCHAR(50) NOT NULL,
  email VARCHAR(100) UNIQUE NOT NULL
);

-- 顧客情報の新規登録処理
INSERT INTO customers (first_name, last_name, email)
SELECT 'John', 'Doe', '[email protected]'
WHERE NOT EXISTS (
    SELECT 1
    FROM customers
    WHERE customers.email = '[email protected]'
);
-- 顧客情報テーブル `customers` のスキーマ
CREATE TABLE customers (
  customer_id INT PRIMARY KEY AUTO_INCREMENT,
  first_name VARCHAR(50) NOT NULL,
  last_name VARCHAR(50) NOT NULL,
  email VARCHAR(100) UNIQUE NOT NULL
);

-- 顧客情報の新規登録処理
INSERT IF NOT EXISTS INTO customers (first_name, last_name, email)
VALUES ('John', 'Doe', '[email protected]');

説明

  1. 顧客情報テーブルの作成: 最初のコードブロックでは、customers という名前の顧客情報テーブルを作成します。このテーブルには、顧客ID、氏名、苗字、メールアドレスの属性が含まれています。
  2. 新規顧客情報の挿入: 2番目のコードブロックでは、John Doe という名前の顧客情報を customers テーブルに挿入します。INSERT IF NOT EXISTS 構文を使用することで、[email protected] というメールアドレスを持つ顧客がすでに存在する場合は、新しい顧客情報が挿入されないようにします。
  3. 従来の INSERT INTO WITH WHERE NOT EXISTS: 1番目のコードブロックでは、INSERT INTO ステートメントと WHERE NOT EXISTS サブクエリを組み合わせて、重複レコードの挿入を抑制しています。サブクエリは、customers テーブル内に同じメールアドレスを持つ顧客が存在するかどうかを確認します。
  4. MariaDBの INSERT IF NOT EXISTS: 2番目のコードブロックでは、MariaDB 独自の INSERT IF NOT EXISTS 構文を使用して、重複レコードの挿入を抑制しています。この構文は、サブクエリを使用せずに、より簡潔かつ効率的に処理を実行できます。

補足

  • 上記のサンプルコードは、あくまでも一例です。実際の処理では、テーブル名や属性名、挿入するデータなどを適宜変更する必要があります。
  • INSERT IF NOT EXISTS 構文は、MariaDB 10.2 以降で使用できます。



その他のデータ挿入方法

REPLACE INTO

REPLACE INTO 構文は、既存のレコードを新しいレコードに置き換えるように動作します。既存のレコードと一致する列値を持つレコードが存在する場合、そのレコードは新しいレコードで置き換えられます。

REPLACE INTO customers (first_name, last_name, email)
VALUES ('John', 'Doe', '[email protected]');

MERGE

MERGE 構文は、INSERT、UPDATE、DELETE 操作を組み合わせた、より複雑なデータ操作に使用できます。重複レコードの挿入を抑制するには、ON DUPLICATE KEY UPDATE 句を使用します。

MERGE INTO customers
USING (
    SELECT 'John' AS first_name, 'Doe' AS last_name, '[email protected]' AS email
) AS new_data
ON (customers.email = new_data.email)
WHEN NOT MATCHED THEN
    INSERT (first_name, last_name, email) VALUES (new_data.first_name, new_data.last_name, new_data.email);

トリガー

トリガーは、データベース操作が発生したときに自動的に実行されるプログラムです。重複レコードの挿入を抑制するには、BEFORE INSERT トリガーを作成し、挿入前にレコードの存在をチェックすることができます。

CREATE TRIGGER before_insert_customers
BEFORE INSERT ON customers
FOR EACH ROW
BEGIN
    IF EXISTS (
        SELECT 1
        FROM customers
        WHERE email = NEW.email
    ) THEN
        SIGNAL SQLSTATE '45000' SET MESSAGE_TEXT = 'Duplicate email address';
    END IF;
END;

ストアドプロシージャは、データベース操作をカプセル化した再利用可能なプログラムです。重複レコードの挿入を抑制するには、ストアドプロシージャを作成し、挿入処理をその中で制御することができます。

CREATE PROCEDURE insert_customer(
    IN first_name VARCHAR(50),
    IN last_name VARCHAR(50),
    IN email VARCHAR(100)
)
BEGIN
    IF NOT EXISTS (
        SELECT 1
        FROM customers
        WHERE email = email
    ) THEN
        INSERT INTO customers (first_name, last_name, email)
        VALUES (first_name, last_name, email);
    ELSE
        SIGNAL SQLSTATE '45000' SET MESSAGE_TEXT = 'Duplicate email address';
    END IF;
END;

それぞれの方法には、それぞれメリットとデメリットがあります。

方法メリットデメリット
INSERT IF NOT EXISTS簡潔、効率的MariaDB 10.2以降でのみ使用可能
REPLACE INTO既存レコードの更新も可能意図しないデータの更新が起こり得る
MERGE複雑なデータ操作に対応コードが複雑になる
トリガー自動化による効率化トリガーの管理が複雑になる
ストアドプロシージャコードの再利用性向上開発・保守コストがかかる

最適な方法は、処理内容や環境によって異なります。以下の点を考慮して、適切な方法を選択してください。

  • データベースの種類: 使用しているデータベースの種類によって、使用可能な方法が異なります。
  • 処理内容: 処理内容が単純であれば、INSERT IF NOT EXISTS のようなシンプルな方法で十分です。複雑な処理の場合は、MERGE やストアドプロシージャなどの方法が適しています。
  • パフォーマンス: 処理速度が重要であれば、INSERT IF NOT EXISTS のような効率的な方法を選択する必要があります。
  • メンテナンス性: コードのメンテナンス性を考慮する場合は、REPLACE INTO のようなシンプルな方法よりも、MERGE やストアドプロシージャなどの方法の方が適しています。

重複レコードの挿入を抑制するデータ挿入方法は、いくつかあります。それぞれの方法のメリットとデメリットを理解し、処理内容や環境に合わせて最適な方法を選択することが重要です。

  • [MySQL Documentation: INSERT INTO](https://dev.mysql.

mysql mariadb


MySQLストアドプロシージャにおける照合順序の不一致エラー:原因と解決策

このエラーは、MySQLストアドプロシージャ内で、異なる照合順序を持つカラム同士を比較しようとした場合に発生します。具体的には、以下の2つの照合順序が該当します。utf8_unicode_ci: 大文字と小文字を区別せず、正規化されたUnicode文字を照合します。...


iredmail セットアップ中にエラー "ERROR 1698 (28000): Access denied for user 'root'@'localhost'" が発生した場合の対処方法

このエラーメッセージが表示される主な原因は次の3つです。パスワードが間違っているユーザー 'root'@'localhost' に必要な権限がないMySQL サーバーの設定が間違っている以下の手順で問題を解決できます。パスワードを確認するまず、MySQL への接続に使用するパスワードが正しいことを確認してください。パスワードは、MySQL の設定ファイルや環境変数に設定されています。...


DockerでMariaDBデータベースをクエリする方法:初心者向けチュートリアル

Dockerを使ってMariaDBコンテナを起動し、そのデータベースを様々な方法でクエリする方法を説明します。前提知識Dockerの基礎知識MariaDBの基本的な知識SQLクエリの実行方法使用するツールDockerMySQLクライアント (例: mysqlコマンドラインツール...


親子関係を持つデータの階層クエリをMariaDBで実現:再帰CTEによる方法

MariaDBで階層構造を持つデータに対して、再帰CTE (Common Table Expression) を用いて階層クエリを実装する方法について解説します。目次再帰CTEとは?MariaDBでの再帰CTEの実装実装例注意点再帰CTEは、自分自身を参照するクエリを記述するための構文です。階層構造を持つデータに対して、親要素から子要素、孫要素へと順に取得していくようなクエリを記述する場合に有効です。...


MariaDBで2つの浮動小数点値の差を日々の差分合計として分析する

MariaDB サーバーがインストールおよび設定されている環境データベース接続用のライブラリ (例: PHP の MySQLi)SQL クエリを実行するためのコードデータベース接続を確立するデータベース接続を確立するデータを取得するデータを取得する...


SQL SQL SQL Amazon で見る



INSERT SELECT WHERE NOT EXISTS構文の徹底解説

INSERT SELECT WHERE NOT EXISTS構文は、MySQL/MariaDBにおいて、既存データと重複しない新規データを挿入するための便利な機能です。この構文は、特に空のテーブルへの挿入処理において有効であり、重複データ挿入によるエラーを防ぎ、コードの簡潔性を高めることができます。