SQL Serverにおける一時テーブルの使い分け:ローカルとグローバル、それぞれの役割と利点

2024-05-02

SQL Serverにおけるローカル一時テーブルとグローバル一時テーブル

概要

SQL Serverには、2種類の仮テーブル、ローカル一時テーブルとグローバル一時テーブルがあります。どちらも、処理中に一時的にデータを保持するために使用されますが、スコープと存続期間が異なります。

ローカル一時テーブル

  • ユーザーの現在のセッション内でのみ有効です。
  • セッションが終了すると自動的に削除されます。
  • 名前は # 記号で始まります。
  • 例:#temp_table
  • すべてのセッションで参照できます。
  • 作成したセッションが終了しても、他のタスクから参照できます。
  • 最後の参照から一定時間経過するか、サーバーが再起動されると自動的に削除されます。

用途

  • 中間結果の保存
  • 大規模なデータセットの処理
  • 複数のクエリ間でデータを共有

作成方法

-- ローカル一時テーブル
CREATE TABLE #temp_table (
  column1 data_type,
  column2 data_type,
  ...
);

-- グローバル一時テーブル
CREATE TABLE ##temp_table (
  column1 data_type,
  column2 data_type,
  ...
);

使用方法

ローカル一時テーブルとグローバル一時テーブルは、通常のテーブルと同様に使用できます。

-- ローカル一時テーブルにデータ挿入
INSERT INTO #temp_table (column1, column2)
VALUES (value1, value2);

-- グローバル一時テーブルからデータ選択
SELECT * FROM ##temp_table;

注意事項

  • ローカル一時テーブルは、子タスク内では作成できません。
  • グローバル一時テーブルは、SQL コマンド タスクから参照できません。

次の例では、customers テーブルからすべての顧客の名前と注文数を集計し、結果をローカル一時テーブル #customer_orders に保存します。

CREATE TABLE #customer_orders (
  customer_name nvarchar(255),
  order_count int
);

INSERT INTO #customer_orders
SELECT customer_name, COUNT(*) AS order_count
FROM orders
GROUP BY customer_name;

SELECT * FROM #customer_orders;
  • ローカル一時テーブルとグローバル一時テーブルのどちらを使用するかを決める際には、スコープと存続期間を考慮する必要があります。

ローカル一時テーブルとグローバル一時テーブルは、SQL Serverで一時的にデータを保持するための便利なツールです。それぞれの特性を理解して、適切な場面で使用することが重要です。




ローカル一時テーブル

例1:顧客テーブルから顧客名と注文数を集計

CREATE TABLE #customer_orders (
  customer_name nvarchar(255),
  order_count int
);

INSERT INTO #customer_orders
SELECT customer_name, COUNT(*) AS order_count
FROM orders
GROUP BY customer_name;

SELECT * FROM #customer_orders;

例2:部門ごとの給与合計を計算

この例では、employees テーブルと departments テーブルを使用して、各部門の給与合計を計算し、結果をローカル一時テーブル #department_salaries に保存します。

CREATE TABLE #department_salaries (
  department_id int,
  department_name nvarchar(255),
  total_salary decimal(10,2)
);

INSERT INTO #department_salaries
SELECT d.department_id, d.department_name, SUM(e.salary) AS total_salary
FROM employees e
JOIN departments d ON e.department_id = d.department_id
GROUP BY d.department_id, d.department_name;

SELECT * FROM #department_salaries;

グローバル一時テーブル

例1:在庫管理システムにおける在庫状況の追跡

この例では、グローバル一時テーブル ##inventory_log を使用して、在庫の入荷と出荷を追跡します。

CREATE TABLE ##inventory_log (
  transaction_id int IDENTITY(1,1),
  product_id int,
  quantity int,
  transaction_type varchar(10), -- 'IN' または 'OUT'
  transaction_date datetime
);

-- 在庫入荷を記録
INSERT INTO ##inventory_log (product_id, quantity, transaction_type, transaction_date)
VALUES (123, 100, 'IN', GETDATE());

-- 在庫出荷を記録
INSERT INTO ##inventory_log (product_id, quantity, transaction_type, transaction_date)
VALUES (123, 50, 'OUT', GETDATE());

-- 現在在庫数を確認
SELECT product_id, SUM(quantity) AS current_stock
FROM ##inventory_log
GROUP BY product_id;

この例では、グローバル一時テーブル ##intermediate_results を使用して、複数のクエリ間で中間結果を共有します。

-- クエリ1:顧客ごとの注文データを取得
CREATE TABLE ##intermediate_results (
  customer_id int,
  order_id int
);

INSERT INTO ##intermediate_results
SELECT customer_id, order_id
FROM orders;

-- クエリ2:中間結果を使用して、顧客ごとの注文数を集計
SELECT customer_id, COUNT(*) AS order_count
FROM ##intermediate_results
GROUP BY customer_id;

これらの例は、ローカル一時テーブルとグローバル一時テーブルの使い方をほんの一例です。それぞれの特性を理解し、適切な場面で使用することが重要です。

補足

  • 上記のコードは、SQL Server 2016 以降で使用できます。
  • ローカル一時テーブルとグローバル一時テーブルは、どちらも tempdb データベースに作成されます。
  • tempdb データベースは、すべてのユーザーセッションで共有されます。
  • tempdb データベースのパフォーマンスを向上させるために、定期的に再起動することをお勧めします。



SQL Serverにおけるローカル一時テーブルとグローバル一時テーブルの代替方法

ローカル一時テーブルとグローバル一時テーブル以外にも、SQL Serverで一時的にデータを保持する方法があります。以下に、いくつかの代替方法とその長所と短所をまとめました。

テーブル変数

  • 長所:
    • ローカル一時テーブルと同様に、セッション内でのみ有効です。
    • スコープが限定されているため、セキュリティ上のリスクが低くなります。
    • メモリに格納されるため、ディスク I/O が少なくなり、パフォーマンスが向上します。
  • 短所:
    • データ型が制限されています。
    • 複雑なクエリで使用することはできません。
DECLARE @customer_orders TABLE (
  customer_name nvarchar(255),
  order_count int
);

INSERT INTO @customer_orders
SELECT customer_name, COUNT(*) AS order_count
FROM orders
GROUP BY customer_name;

SELECT * FROM @customer_orders;

CTE (共通表式)

  • 長所:
    • 複数のクエリで同じ中間結果を共有できます。
  • 短所:
WITH customer_orders AS (
  SELECT customer_name, COUNT(*) AS order_count
  FROM orders
  GROUP BY customer_name
)
SELECT * FROM customer_orders;

テンポラリー テーブル

  • 長所:
    • トランザクション中にデータにアクセスする必要がある場合に適しています。
    • 後で使用するためにデータを保存できます。
  • 短所:
    • 手動で作成および削除する必要があります。
CREATE TABLE #customer_orders (
  customer_name nvarchar(255),
  order_count int
);

INSERT INTO #customer_orders
SELECT customer_name, COUNT(*) AS order_count
FROM orders
GROUP BY customer_name;

-- ... 後で使用するためにデータを処理 ...

DROP TABLE #customer_orders;

派生表

  • 長所:
    • 他のデータソースからデータをクエリする場合に適しています。
    • 柔軟性と汎用性に優れています。
  • 短所:
SELECT customer_name, COUNT(*) AS order_count
FROM (
  SELECT customer_name
  FROM orders
) AS customers
GROUP BY customer_name;

最適な方法は、要件によって異なります。以下の点を考慮する必要があります。

  • データのスコープと存続期間
  • クエリと処理の複雑性
  • パフォーマンス要件
  • セキュリティ要件

ローカル一時テーブルとグローバル一時テーブルは、SQL Serverで一時的にデータを保持するための便利なツールですが、必ずしも最適な方法ではありません。上記の代替方法も検討し、状況に応じて適切な方法を選択してください。


sql-server temp-tables global-temp-tables


補助テーブルを使用する以外で、SQL Serverで複雑なデータ処理を効率化する4つの方法

SQL Serverでテーブルを設計する際、補助テーブルと呼ばれる単独では意味を持たないテーブルを作成することで、複雑なデータ処理を効率化したり、データの整合性を保ったりすることができます。補助テーブルを使用することで、以下の利点が得られます。...


SQL Server で UNIX タイムスタンプを datetime に変換:3 つの方法とサンプルコード

SQL Server では、bigint 型の UNIX タイムスタンプを datetime 型に変換することができます。UNIX タイムスタンプは、1970 年 1 月 1 日 00:00:00 UTC から経過した秒数を表す数値です。一方、datetime 型は、日付と時刻を表すデータ型です。...


SQL Server: Attach incorrect version 661 エラーで悩んでいるあなたへ!解決策を画像付きで丁寧に解説

SQL Server: Attach incorrect version 661 エラーは、異なるバージョンの SQL Server データベースファイルをアタッチしようとすると発生します。このエラーは、データベースの互換性レベルとアタッチしようとしているファイルのバージョンレベルが一致していないことを示しています。...


SQL Server で CASE 式を使ってデータを動的に生成する方法

CASE 式には2種類あります。単純 CASE 式: 比較演算子を使用して条件を評価します。注記:column_name は、処理対象の列名です。condition は、評価する条件式です。result は、条件が真の場合に返される値です。...


SQL Server で文字列を切断する方法:7つの切り取りテクニックとサンプルコード

SQL Server で文字列を切断するには、いくつかの方法があります。それぞれの長所と短所があるので、状況に応じて適切な方法を選択する必要があります。SUBSTRING関数最も基本的な方法は、SUBSTRING関数を使用することです。この関数は、文字列の一部を切り取るために使用されます。構文は以下の通りです。...


SQL SQL SQL SQL Amazon で見る



SQL Server:SELECTを使ってストアドプロシージャの出力結果をカスタマイズ

SQL Server でストアドプロシージャを実行すると、結果セットが返されます。この結果セットは、テーブルと同様に、複数の列と行で構成されています。このチュートリアルでは、T-SQL の SELECT ステートメントを使用して、ストアドプロシージャの結果セットから特定の列を選択する方法を説明します。


データベース設計の秘訣: 一時表とグローバル一時表を使い分ける

データの有効範囲一時表: トランザクションまたはセッションの終了時に自動的に削除されます。 同じトランザクション内またはセッション内であれば、複数のユーザーが同じ一時表を参照できます。トランザクションまたはセッションの終了時に自動的に削除されます。


一時テーブルを使いこなす:SQL Serverにおける #temptable と ##TempTable の徹底解説

SQL Serverでは、一時テーブルを作成するために #temptable と ##TempTable の構文を使用することができます。 どちらもセッションスコープの一時テーブルを作成しますが、いくつかの重要な違いがあります。#temptable