SQL Serverにおける一時テーブルの使い分け:ローカルとグローバル、それぞれの役割と利点
SQL Serverにおけるローカル一時テーブルとグローバル一時テーブル
概要
SQL Serverには、2種類の仮テーブル、ローカル一時テーブルとグローバル一時テーブルがあります。どちらも、処理中に一時的にデータを保持するために使用されますが、スコープと存続期間が異なります。
ローカル一時テーブル
- ユーザーの現在のセッション内でのみ有効です。
- セッションが終了すると自動的に削除されます。
- 名前は
#
記号で始まります。 - 例:
#temp_table
- すべてのセッションで参照できます。
- 作成したセッションが終了しても、他のタスクから参照できます。
- 最後の参照から一定時間経過するか、サーバーが再起動されると自動的に削除されます。
用途
- 中間結果の保存
- 大規模なデータセットの処理
- 複数のクエリ間でデータを共有
作成方法
-- ローカル一時テーブル
CREATE TABLE #temp_table (
column1 data_type,
column2 data_type,
...
);
-- グローバル一時テーブル
CREATE TABLE ##temp_table (
column1 data_type,
column2 data_type,
...
);
使用方法
ローカル一時テーブルとグローバル一時テーブルは、通常のテーブルと同様に使用できます。
-- ローカル一時テーブルにデータ挿入
INSERT INTO #temp_table (column1, column2)
VALUES (value1, value2);
-- グローバル一時テーブルからデータ選択
SELECT * FROM ##temp_table;
注意事項
- ローカル一時テーブルは、子タスク内では作成できません。
- グローバル一時テーブルは、SQL コマンド タスクから参照できません。
例
次の例では、customers
テーブルからすべての顧客の名前と注文数を集計し、結果をローカル一時テーブル #customer_orders
に保存します。
CREATE TABLE #customer_orders (
customer_name nvarchar(255),
order_count int
);
INSERT INTO #customer_orders
SELECT customer_name, COUNT(*) AS order_count
FROM orders
GROUP BY customer_name;
SELECT * FROM #customer_orders;
- ローカル一時テーブルとグローバル一時テーブルのどちらを使用するかを決める際には、スコープと存続期間を考慮する必要があります。
ローカル一時テーブルとグローバル一時テーブルは、SQL Serverで一時的にデータを保持するための便利なツールです。それぞれの特性を理解して、適切な場面で使用することが重要です。
ローカル一時テーブル
例1:顧客テーブルから顧客名と注文数を集計
CREATE TABLE #customer_orders (
customer_name nvarchar(255),
order_count int
);
INSERT INTO #customer_orders
SELECT customer_name, COUNT(*) AS order_count
FROM orders
GROUP BY customer_name;
SELECT * FROM #customer_orders;
例2:部門ごとの給与合計を計算
この例では、employees
テーブルと departments
テーブルを使用して、各部門の給与合計を計算し、結果をローカル一時テーブル #department_salaries
に保存します。
CREATE TABLE #department_salaries (
department_id int,
department_name nvarchar(255),
total_salary decimal(10,2)
);
INSERT INTO #department_salaries
SELECT d.department_id, d.department_name, SUM(e.salary) AS total_salary
FROM employees e
JOIN departments d ON e.department_id = d.department_id
GROUP BY d.department_id, d.department_name;
SELECT * FROM #department_salaries;
グローバル一時テーブル
例1:在庫管理システムにおける在庫状況の追跡
この例では、グローバル一時テーブル ##inventory_log
を使用して、在庫の入荷と出荷を追跡します。
CREATE TABLE ##inventory_log (
transaction_id int IDENTITY(1,1),
product_id int,
quantity int,
transaction_type varchar(10), -- 'IN' または 'OUT'
transaction_date datetime
);
-- 在庫入荷を記録
INSERT INTO ##inventory_log (product_id, quantity, transaction_type, transaction_date)
VALUES (123, 100, 'IN', GETDATE());
-- 在庫出荷を記録
INSERT INTO ##inventory_log (product_id, quantity, transaction_type, transaction_date)
VALUES (123, 50, 'OUT', GETDATE());
-- 現在在庫数を確認
SELECT product_id, SUM(quantity) AS current_stock
FROM ##inventory_log
GROUP BY product_id;
この例では、グローバル一時テーブル ##intermediate_results
を使用して、複数のクエリ間で中間結果を共有します。
-- クエリ1:顧客ごとの注文データを取得
CREATE TABLE ##intermediate_results (
customer_id int,
order_id int
);
INSERT INTO ##intermediate_results
SELECT customer_id, order_id
FROM orders;
-- クエリ2:中間結果を使用して、顧客ごとの注文数を集計
SELECT customer_id, COUNT(*) AS order_count
FROM ##intermediate_results
GROUP BY customer_id;
これらの例は、ローカル一時テーブルとグローバル一時テーブルの使い方をほんの一例です。それぞれの特性を理解し、適切な場面で使用することが重要です。
補足
- 上記のコードは、SQL Server 2016 以降で使用できます。
- ローカル一時テーブルとグローバル一時テーブルは、どちらも
tempdb
データベースに作成されます。 tempdb
データベースは、すべてのユーザーセッションで共有されます。tempdb
データベースのパフォーマンスを向上させるために、定期的に再起動することをお勧めします。
SQL Serverにおけるローカル一時テーブルとグローバル一時テーブルの代替方法
ローカル一時テーブルとグローバル一時テーブル以外にも、SQL Serverで一時的にデータを保持する方法があります。以下に、いくつかの代替方法とその長所と短所をまとめました。
テーブル変数
- 長所:
- ローカル一時テーブルと同様に、セッション内でのみ有効です。
- スコープが限定されているため、セキュリティ上のリスクが低くなります。
- メモリに格納されるため、ディスク I/O が少なくなり、パフォーマンスが向上します。
- 短所:
- データ型が制限されています。
- 複雑なクエリで使用することはできません。
DECLARE @customer_orders TABLE (
customer_name nvarchar(255),
order_count int
);
INSERT INTO @customer_orders
SELECT customer_name, COUNT(*) AS order_count
FROM orders
GROUP BY customer_name;
SELECT * FROM @customer_orders;
CTE (共通表式)
- 長所:
- 複数のクエリで同じ中間結果を共有できます。
- 短所:
WITH customer_orders AS (
SELECT customer_name, COUNT(*) AS order_count
FROM orders
GROUP BY customer_name
)
SELECT * FROM customer_orders;
テンポラリー テーブル
- 長所:
- トランザクション中にデータにアクセスする必要がある場合に適しています。
- 後で使用するためにデータを保存できます。
- 短所:
- 手動で作成および削除する必要があります。
CREATE TABLE #customer_orders (
customer_name nvarchar(255),
order_count int
);
INSERT INTO #customer_orders
SELECT customer_name, COUNT(*) AS order_count
FROM orders
GROUP BY customer_name;
-- ... 後で使用するためにデータを処理 ...
DROP TABLE #customer_orders;
派生表
- 長所:
- 他のデータソースからデータをクエリする場合に適しています。
- 柔軟性と汎用性に優れています。
- 短所:
SELECT customer_name, COUNT(*) AS order_count
FROM (
SELECT customer_name
FROM orders
) AS customers
GROUP BY customer_name;
最適な方法は、要件によって異なります。以下の点を考慮する必要があります。
- データのスコープと存続期間
- クエリと処理の複雑性
- パフォーマンス要件
- セキュリティ要件
ローカル一時テーブルとグローバル一時テーブルは、SQL Serverで一時的にデータを保持するための便利なツールですが、必ずしも最適な方法ではありません。上記の代替方法も検討し、状況に応じて適切な方法を選択してください。
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