SQL インジェクション対策もバッチリ!PostgreSQL 関数で安全にテーブル名を渡す
PostgreSQL 関数パラメータとしてのテーブル名
機能
関数にテーブル名を渡すことで、以下のことが可能になります。
- 汎用性の向上: 特定のテーブルに依存することなく、汎用的な関数を記述できます。
- 再利用性の向上: 異なるテーブルに対して同じ操作を適用する関数を一度記述することで、コードを重複させることなく再利用できます。
- 動的なクエリ生成: テーブル名に基づいて動的にクエリを生成できます。これにより、複雑な操作をより柔軟に処理できます。
構文
PostgreSQL には、関数にテーブル名を渡すための 2 つの主要な方法があります。
- 文字列リテラル:
CREATE FUNCTION my_function(table_name text)
RETURNS TABLE AS $$
SELECT * FROM $1;
$$ LANGUAGE plpgsql;
この方法では、$1
プレースホルダを使用してテーブル名を表します。
- 引用符付き識別子:
CREATE FUNCTION my_function(table_name "public"."customers")
RETURNS TABLE AS $$
SELECT * FROM $1;
$$ LANGUAGE plpgsql;
この方法では、完全修飾テーブル名を直接パラメータとして指定します。
PL/pgSQL 関数内でテーブル名パラメータを使用するには、次の手順に従います。
- パラメータを宣言:
CREATE FUNCTION my_function(table_name text)
RETURNS TABLE AS $$
DECLARE
_table_name text;
BEGIN
_table_name := pg_get_arg_pname('table_name'); -- パラメータ名の取得
EXECUTE FORMAT('SELECT * FROM %I', _table_name); -- 動的なクエリ実行
END;
$$ LANGUAGE plpgsql;
- 動的なクエリ実行:
SELECT * FROM my_function('customers');
セキュリティ
テーブル名パラメータを使用する場合は、SQL インジェクション攻撃に対する脆弱性を防ぐために注意が必要です。
- プレースホルダの使用: 常にプレースホルダを使用してクエリを構築し、文字列リテラルを直接連結しないようにします。
- バインドされたパラメータ: パラメータ化されたステートメントを使用すると、クエリのパフォーマンスとセキュリティが向上します。
- 適切な権限: 関数に適切な権限のみを付与し、ユーザーが任意のテーブルにアクセスできないようにします。
PostgreSQL 関数におけるテーブル名パラメータは、強力な機能ですが、責任を持って使用することが重要です。適切な構文とセキュリティ対策を講じることで、柔軟で再利用可能なコードを記述できます。
PostgreSQL 関数におけるテーブル名パラメータのサンプルコード
CREATE FUNCTION my_average_price(table_name text)
RETURNS numeric AS $$
DECLARE
_table_name text;
_average_price numeric;
BEGIN
_table_name := pg_get_arg_pname('table_name');
EXECUTE FORMAT('SELECT AVG(price) FROM %I', _table_name)
INTO _average_price;
RETURN _average_price;
END;
$$ LANGUAGE plpgsql;
この関数を次のように使用できます。
SELECT my_average_price('customers');
SELECT my_average_price('orders');
この例では、pg_get_arg_pname
関数を使用して、渡されたパラメータの名前を取得しています。その後、EXECUTE
文を使用して、テーブル名を含む動的なクエリを実行しています。最後に、クエリ結果を _average_price
変数に格納し、それを関数からの戻り値として返しています。
このコードは、基本的な例であり、より複雑な操作を実行するように拡張できます。たとえば、WHERE 条件や ORDER BY 句を含む動的なクエリを生成できます。
セキュリティに関する注意事項
この例では、セキュリティ対策を実装していません。本番環境で使用する場合、SQL インジェクション攻撃に対する脆弱性を防ぐために、適切なパラメータ化とバインディングを使用する必要があります。
PostgreSQL 関数にテーブル名を渡すその他の方法
複合データ型
PostgreSQL では、テーブル行を表すことができる ROW
という複合データ型が用意されています。この型を使用して、テーブル名と列名を構造化データとして関数に渡すことができます。
CREATE FUNCTION my_function(table_data row)
RETURNS TABLE AS $$
DECLARE
_table_name text;
_column_name text;
BEGIN
SELECT table_name, column_name
FROM $1
INTO _table_name, _column_name;
EXECUTE FORMAT('SELECT %I FROM %I', _column_name, _table_name);
END;
$$ LANGUAGE plpgsql;
この関数は、table_data
という名前の ROW
型パラメータを受け取ります。このパラメータには、table_name
と column_name
という 2 つの列が含まれています。関数内では、これらの列値を使用して、指定された列の値を返す動的なクエリを実行します。
情報スキーマテーブル
PostgreSQL には、システム内のすべてのテーブルに関する情報を格納する情報スキーマテーブルが用意されています。これらのテーブルを使用して、関数内でテーブルに関する情報を動的に取得することができます。
CREATE FUNCTION my_function()
RETURNS TABLE AS $$
DECLARE
_table_name text;
_column_name text;
BEGIN
SELECT tablename, columnname
FROM pg_catalog.pg_tables
JOIN pg_catalog.pg_namespace ON pg_catalog.pg_tables.nspname = pg_catalog.pg_namespace.nspname
WHERE pg_catalog.pg_tables.schemaname = 'public'
AND pg_catalog.pg_tables.tablename = 'customers'
INTO _table_name, _column_name;
EXECUTE FORMAT('SELECT %I FROM %I', _column_name, _table_name);
END;
$$ LANGUAGE plpgsql;
この関数はパラメータを取らず、pg_catalog.pg_tables
カタログビューを使用して、customers
テーブルに関する情報を取得します。その後、この情報を使用して、customers
テーブルのすべての列の値を返す動的なクエリを実行します。
関数オーバーロード
PostgreSQL 9.5 以降では、同じ名前を持つ関数の複数バージョンを作成して、異なる引数型を受け取ることができます。これにより、さまざまな種類のテーブル名を関数に渡すための専用の関数を定義できます。
CREATE FUNCTION my_function(table_name text)
RETURNS TABLE AS $$
-- ... (text 型のテーブルに対する処理)
$$ LANGUAGE plpgsql;
CREATE FUNCTION my_function(table_name "public"."customers")
RETURNS TABLE AS $$
-- ... (customers テーブルに対する処理)
$$ LANGUAGE plpgsql;
この例では、my_function
という名前の 2 つの関数があります。1 つ目は text
型のテーブル名を受け取り、もう 1 つは public.customers
テーブル専用のものです。これにより、コードをより明確かつ簡潔に保つことができます。
最適な方法の選択
使用する方法は、特定のニーズと要件によって異なります。
- 汎用性: さまざまな種類のテーブルに対して同じ関数を呼び出す必要がある場合は、文字列リテラル または 複合データ型 を使用するのが最善です。
- セキュリティ: SQL インジェクションのリスクを軽減する必要がある場合は、情報スキーマテーブル または 関数オーバーロード を使用するのが最善です。
- コードの簡潔さ: 特定のテーブルに対してのみ関数を呼び出す場合は、関数オーバーロード を使用するのが最善です。
PostgreSQL 関数にテーブル名を渡すには、さまざまな方法があります。それぞれの方法には長所と短所があるため、要件に応じて適切な方法を選択することが重要です。
function postgresql plpgsql