データベースのバージョン管理、復元、監査を楽々!MySQL/MariaDBシステムバージョンテーブルのメリット
MySQL/MariaDBにおけるスキーマ変更追跡システムバージョンテーブルの作成
MySQL/MariaDBでは、スキーマ変更を自動的に追跡し、データベースの進化を記録するシステムバージョンテーブルを作成できます。この機能は、データベースのバージョン管理、復元、監査に役立ちます。
仕組み
システムバージョンテーブルは、データベース内のすべてのスキーマ変更に関する情報を格納します。具体的には、以下の情報が含まれます。
- 変更日時
- 変更ユーザー
- 変更内容 (ALTER TABLE文など)
- 変更対象オブジェクト (テーブル、ビュー、ストアドプロシージャなど)
- 変更前後のスキーマ定義
これらの情報は、データベースの進化を時系列で追跡するために使用されます。
作成方法
システムバージョンテーブルを作成するには、以下のSQL文を実行します。
CREATE TABLE schema_version (
version_id INT PRIMARY KEY AUTO_INCREMENT,
version_timestamp TIMESTAMP NOT NULL DEFAULT CURRENT_TIMESTAMP,
user_name VARCHAR(255) NOT NULL,
statement_text TEXT NOT NULL,
object_type VARCHAR(255) NOT NULL,
object_name VARCHAR(255) NOT NULL,
old_definition TEXT,
new_definition TEXT
);
このSQL文は、schema_version
という名前のテーブルを作成します。このテーブルには、以下の列が含まれます。
version_id
: 変更のバージョンID (自動的に割り当てられる)version_timestamp
: 変更日時user_name
: 変更ユーザー名statement_text
: 変更を実行したSQL文object_type
: 変更対象オブジェクトの種類 (TABLE、VIEW、PROCEDUREなど)object_name
: 変更対象オブジェクトの名前old_definition
: 変更前のスキーマ定義
使用方法
システムバージョンテーブルを作成したら、スキーマを変更するたびに、以下のSQL文を実行して変更内容を記録する必要があります。
INSERT INTO schema_version (
user_name,
statement_text,
object_type,
object_name,
old_definition,
new_definition
)
VALUES (
CURRENT_USER(),
@statement_text,
@object_type,
@object_name,
@old_definition,
@new_definition
);
このSQL文には、以下のパラメータを指定する必要があります。
これらのパラメータは、変更を実行するSQL文の中で、適切な変数に格納しておく必要があります。
利点
システムバージョンテーブルを作成する利点は次のとおりです。
- データベースの進化を時系列で追跡できる
- データベースを特定のバージョンに復元できる
- スキーマ変更の履歴を監査できる
注意点
システムバージョンテーブルを作成する際の注意点としては、以下の点が挙げられます。
- システムバージョンテーブル自体もスキーマ変更の影響を受けるため、定期的にバックアップを取る必要があります。
- システムバージョンテーブルの更新は、データベースのパフォーマンスに影響を与える可能性があります。そのため、本番環境では、必要に応じてのみ更新するようにしてください。
CREATE TABLE schema_version (
version_id INT PRIMARY KEY AUTO_INCREMENT,
version_timestamp TIMESTAMP NOT NULL DEFAULT CURRENT_TIMESTAMP,
user_name VARCHAR(255) NOT NULL,
statement_text TEXT NOT NULL,
object_type VARCHAR(255) NOT NULL,
object_name VARCHAR(255) NOT NULL,
old_definition TEXT,
new_definition TEXT
);
テーブルの作成
CREATE TABLE my_table (
id INT PRIMARY KEY AUTO_INCREMENT,
name VARCHAR(255) NOT NULL,
email VARCHAR(255) NOT NULL
);
ALTER TABLE my_table ADD address VARCHAR(255) NOT NULL;
変更内容の記録
SET @statement_text = 'ALTER TABLE my_table ADD address VARCHAR(255) NOT NULL';
SET @object_type = 'TABLE';
SET @object_name = 'my_table';
SET @old_definition = (
SELECT TABLE_SCHEMA, TABLE_NAME, CREATE_TABLE
FROM INFORMATION_SCHEMA.TABLES
WHERE TABLE_SCHEMA = DATABASE() AND TABLE_NAME = 'my_table'
);
SET @new_definition = (
SELECT TABLE_SCHEMA, TABLE_NAME, CREATE_TABLE
FROM INFORMATION_SCHEMA.TABLES
WHERE TABLE_SCHEMA = DATABASE() AND TABLE_NAME = 'my_table'
);
INSERT INTO schema_version (
user_name,
statement_text,
object_type,
object_name,
old_definition,
new_definition
)
VALUES (
CURRENT_USER(),
@statement_text,
@object_type,
@object_name,
@old_definition,
@new_definition
);
SELECT * FROM schema_version;
このコードを実行すると、schema_version
テーブルに、テーブルの作成と変更に関する情報が記録されます。
説明
- 最初のSQL文は、システムバージョンテーブルを作成します。このテーブルには、変更日時、変更ユーザー、変更内容、変更対象オブジェクトなどの情報が格納されます。
- 2番目のSQL文は、
my_table
という名前のテーブルを作成します。このテーブルには、ID、名前、メールアドレスの列が含まれます。 - 3番目のSQL文は、
my_table
テーブルにaddress
という列を追加します。 - 4番目のSQL文は、変更内容を
schema_version
テーブルに記録します。このSQL文では、以下の変数を使用します。 - 5番目のSQL文は、
schema_version
テーブルの内容を表示します。
システムバージョンテーブルの代替方法
スキーママイグレーションツール
スキーママイグレーションツールは、データベースのスキーマを定義ファイルで管理し、バージョン管理システム (Gitなど) で追跡するツールです。主な利点は以下のとおりです。
- 変更内容を明確に把握しやすい
- 変更を簡単にロールバックできる
- 複数人で開発する場合に有効
主な欠点は以下のとおりです。
- 設定や運用が複雑
- パフォーマンスに影響を与える可能性がある
代表的なスキーママイグレーションツールとして、Liquibase、Flyway、Doctrine Migrationsなどが挙げられます。
データベースログの分析
データベースログを分析することで、スキーマ変更を追跡することもできます。主な利点は以下のとおりです。
- 追加的なツールが必要ない
- ロールバックが難しい
トリガー
トリガーを使用して、スキーマ変更を検知し、その情報を記録するする方法もあります。主な利点は以下のとおりです。
- 柔軟性が高い
- 特定の変更のみを記録できる
変更通知サービス
MySQL/MariaDBには、スキーマ変更を通知する変更通知サービスが提供されています。主な利点は以下のとおりです。
- リアルタイムで変更を検知できる
- 外部アプリケーションと連携できる
- MySQL/MariaDB 8.0以降が必要
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