MySQL LEFT JOIN vs INNER JOINのパフォーマンス徹底比較:高速化の秘訣とは?

2024-07-27

MySQLにおけるLEFT JOINとINNER JOINのパフォーマンス比較:詳細解説

MySQLでテーブルを結合する場合、INNER JOINLEFT JOINがよく使われますが、パフォーマンス面では大きな違いがあります。

本記事では、LEFT JOINがINNER JOINよりも高速になる理由を、実際のクエリ例を用いて分かりやすく解説します。

結合処理の比較

1 INNER JOIN

  • 結合条件に合致する行のみを抽出
  • 検索結果の行数が少なくなるため、一見高速に思える
  • しかし、結合条件を満たさない行の検索処理も発生
  • 大規模なテーブルの場合、不要な処理が増え、パフォーマンスが低下する可能性が高い

2 LEFT JOIN

  • 左側テーブルのすべての行を抽出し、右側テーブルの関連データがあれば結合
  • 結合条件を満たさない行もNULLとして保持
  • 検索結果の行数が多くなるが、不要な行の検索処理が発生しない

LEFT JOINが高速になる理由:具体的な例

例:顧客テーブルと注文テーブルの結合

  • 顧客テーブル:顧客ID、氏名、住所など
  • 注文テーブル:注文ID、顧客ID、商品ID、注文個数など

INNER JOINの場合

SELECT c.customer_id, c.name, c.address, o.order_id, o.product_id, o.quantity
FROM customers AS c
INNER JOIN orders AS o
ON c.customer_id = o.customer_id;
  • すべての顧客に対して注文履歴が存在するとは限らない
  • 結合条件を満たさない顧客の検索処理が発生 (例:新規顧客)
  • 大規模な顧客テーブルの場合、処理が重くなる

LEFT JOINの場合

SELECT c.customer_id, c.name, c.address, o.order_id, o.product_id, o.quantity
FROM customers AS c
LEFT JOIN orders AS o
ON c.customer_id = o.customer_id;
  • すべての顧客情報を取得
  • 注文履歴が存在しない顧客にはNULLを挿入
  • 結合条件を満たさない顧客の検索処理が発生しない

LEFT JOINの注意点

  • 検索結果の行数が多くなるため、メモリ使用量が増加する可能性がある
  • すべての行に関連データが存在するわけではないことに注意が必要
  • 必要に応じて、WHERE句で条件を絞り込む
  • LEFT JOINは、すべての行を取得したい場合や、結合条件を満たさない行も処理したい場合に有効
  • INNER JOINは、結合条件を満たす行のみが必要な場合に適している
  • 状況に応じて適切な結合方法を選択することが重要



顧客テーブル(customers)

カラム名データ型説明
customer_idINT顧客ID
nameVARCHAR(255)顧客名
addressVARCHAR(255)住所

注文テーブル(orders)

カラム名データ型説明
order_idINT注文ID
customer_idINT顧客ID
product_idINT商品ID
quantityINT注文個数

クエリ

SELECT
  c.customer_id,
  c.name,
  c.address,
  o.order_id,
  o.product_id,
  o.quantity
FROM
  customers AS c
LEFT JOIN
  orders AS o
ON
  c.customer_id = o.customer_id;

結果

このクエリを実行すると、以下の結果が得られます。

customer_idnameaddressorder_idproduct_idquantity
1田中一郎東京都港区1101
1田中一郎東京都港区2202
2佐藤二郎大阪府大阪市3303
3高橋三郎福岡県福岡市
4鈴木四郎北海道札幌市
  • 顧客 田中一郎 は2件の注文履歴を持っていることがわかります。
  • 顧客 高橋三郎 は注文履歴がないことがわかります。



MySQLにおけるLEFT JOINの代替方法

しかし、状況によっては、LEFT JOINよりも適切な代替方法が存在します。

本記事では、LEFT JOINの代替方法として以下の3つを紹介し、それぞれの特徴と注意点、使い分けのポイントを解説します。

UNION ALL

2つのSELECTクエリ結果を結合する。重複行は保持される。

例:顧客情報と注文履歴を別々に取得し、結合

-- 顧客情報取得
SELECT customer_id, name, address
FROM customers;

-- 注文履歴取得
SELECT customer_id, order_id, product_id, quantity
FROM orders;

-- 顧客情報と注文履歴を結合
UNION ALL
SELECT c.customer_id, c.name, c.address, o.order_id, o.product_id, o.quantity
FROM customers AS c
LEFT JOIN orders AS o
ON c.customer_id = o.customer_id;

特徴

  • 柔軟性が高い
  • 複雑な結合にも対応可能
  • 処理速度が遅い

注意点

  • 結合条件をクエリ内で記述する必要がある
  • 重複行が発生する可能性がある

使い分け

  • 複雑な結合が必要な場合
  • 結合条件を柔軟に定義したい場合

サブクエリ

SELECTクエリ内に別のSELECTクエリを埋め込む。

例:顧客情報と、その顧客の最新注文履歴を取得

SELECT
  c.customer_id,
  c.name,
  c.address,
  o.order_id,
  o.product_id,
  o.quantity
FROM
  customers AS c
LEFT JOIN (
  SELECT
    order_id,
    customer_id,
    product_id,
    quantity
  FROM
    orders
  ORDER BY
    order_id
  DESC
  LIMIT
    1
) AS o
ON
  c.customer_id = o.customer_id;
  • 関連データを柔軟に抽出できる
  • サブクエリが複雑になると、処理速度が遅くなる
  • 可読性が低下する可能性がある
  • 関連データを柔軟に抽出したい場合
  • 複雑な条件で絞り込みを行いたい場合

COMMON TABLE EXPRESSION (CTE)

一時的な結果セットを定義する。複数回参照可能。

例:顧客情報と、その顧客の注文履歴をCTEを使って取得

WITH customer_orders AS (
  SELECT
    c.customer_id,
    c.name,
    c.address,
    o.order_id,
    o.product_id,
    o.quantity
  FROM
    customers AS c
  LEFT JOIN
    orders AS o
  ON
    c.customer_id = o.customer_id
)
SELECT * FROM customer_orders;
  • 可読性が向上する
  • 複雑な結合をわかりやすく記述できる
  • 処理速度が状況によって異なる
  • CTEは一時的な結果セットであり、クエリ実行後に破棄される
  • 複雑なCTEは、処理速度を低下させる可能性がある
  • 可読性を向上させたい場合

状況によっては、上記以外にも適切な代替方法が存在する可能性があります。

  • CASE式:結合条件が単純な場合
  • GROUP BY句:集計処理と組み合わせる場合
  • ウィンドウ関数:範囲条件で絞り込む場合

LEFT JOIN以外にも、状況に応じて様々な代替方法が存在します。


mysql performance left-join



データベースのサイズが肥大化しても大丈夫?MySQLのパフォーマンスを最適化するテクニック

MySQLデータベースは、Webアプリケーションや企業システムなど、さまざまな場面で広く利用されています。しかし、データベースのサイズが大きくなるにつれて、パフォーマンスが低下する可能性があります。パフォーマンス低下を引き起こす要因MySQLデータベースのパフォーマンス低下は、以下の要因によって引き起こされます。...


Liquibase、MySQLイベント通知、バージョン管理... あなたのプロジェクトに最適なDB スキーマ変更追跡ツールは?

データベーススキーマは、時間の経過とともに変更されることがよくあります。新しい機能を追加したり、既存の機能を改善したり、パフォーマンスを向上させたりするために、テーブルの追加、削除、変更が必要になる場合があります。このようなスキーマ変更を追跡することは、データベースの整合性と開発者の生産性を維持するために重要です。...


MySQLの自動データベースダイアグラム生成について

MySQLの自動データベースダイアグラム生成は、MySQLデータベースの構造を視覚的に表現するためのツールや方法です。これにより、データベース設計の理解、分析、修正が容易になります。MySQL Workbench: MySQLの公式GUIツールであり、データベース設計、管理、開発に幅広く利用されます。 データベース逆エンジニアリング機能により、既存のMySQLデータベースから自動的にダイアグラムを生成できます。 関係性、データ型、制約条件などの情報を視覚化します。...


MySQL複数更新解説

MySQLでは、一つのクエリで複数の行を更新することが可能です。これを 複数更新 (Multiple Updates) と呼びます。table_name: 更新したいテーブルの名前です。column1, column2, ...: 更新したい列の名前です。...


MySQLのユーザー名とパスワードの取得方法 (日本語)

MySQLのユーザー名とパスワードは、データベースシステムへのアクセス権限を管理するために使用されます。これらの情報が失われた場合、データベースへのアクセスが不可能になります。一般的な方法:MySQL Workbenchの使用:MySQL Workbenchを起動します。"Admin"メニューから"Manage Connections"を選択します。接続プロファイルを選択し、プロパティをクリックします。"User"タブでユーザー名とパスワードを確認できます。...



SQL SQL SQL SQL Amazon で見る



ストアドプロシージャ、ライブラリ、フレームワーク...MySQLでバイナリデータを扱うためのツール

BINARY:固定長のバイナリデータ型。最大255バイトまで保存できます。BLOB:可変長のバイナリデータ型。最大65, 535バイトから4GBまで保存できます。TEXT:可変長の文字列型。最大65, 535バイトから4GBまで保存できます。バイナリデータだけでなく、文字列も保存できます。


MySQLトリガーでテーブル更新を防止するエラーをスローする方法

MySQLトリガーは、特定のデータベース操作に対して自動的に実行されるコードです。トリガーを使用して、テーブル更新を防止するエラーをスローすることができます。例:以下の例は、usersテーブルのage列が18歳未満の場合に更新を防止するトリガーです。


データ移行ツール、クラウドサービス、オープンソースツールを使って SQL Server 2005 から MySQL へデータを移行する

このチュートリアルでは、SQL Server 2005 から MySQL へデータを移行する方法について 3 つの方法を説明します。方法 1: SQL Server Management Studio を使用方法 2: bcp コマンドを使用


INSERT INTOステートメントのIGNOREオプションでMySQL REPLACE INTOを代替

MySQLのREPLACE INTOコマンドは、SQL Server 2005では完全に同じように実装されていません。しかし、いくつかの代替方法を用いることで、同様の動作を実現することができます。REPLACE INTO とはREPLACE INTOは、INSERT INTOと似ていますが、以下の点が異なります。


データベースインデックスの仕組みを理解するためのコード例

データベースインデクシングとは、データベース内のデータを高速に検索するための仕組みです。データベースのテーブルにインデックスを作成することで、特定の列の値に基づいてデータをすばやく検索することができます。SQL (Structured Query Language) を使用してデータベースを操作する場合、インデックスは非常に重要な役割を果たします。適切なインデックスを適切な場所に作成することで、クエリの実行時間を大幅に改善することができます。