MariaDBでREPETEABLE_READ分離レベルを使用しても発生する幻読の謎
MariaDB で REPETEABLE_READ が幻読を生成しない理由
MariaDB では、トランザクション分離レベル REPETEABLE_READ
を使用していても、特定の条件下では幻読が発生する可能性があります。これは、REPEATABLE_READ
が読み取り操作をコミットされた時点のデータスナップショットに基づいているためです。しかし、コミットされた後でも、他のトランザクションによってデータが変更される可能性があり、これは幻読につながる可能性があります。
幻読が発生する可能性がある条件は以下の通りです。
- 他のトランザクションが同じ行を更新する: 他のトランザクションが読み取っている行を更新すると、幻読が発生する可能性があります。これは、
REPEATABLE_READ
が読み取っている行の古いバージョンに基づいているためです。
幻読を防ぐには、以下の方法があります。
- ロックを使用する: 行またはテーブルをロックすることで、他のトランザクションが読み取っているデータを変更できないようにすることができます。
- バージョン管理を使用する: バージョン管理を使用することで、過去のデータバージョンにアクセスできるようになります。これにより、他のトランザクションが読み取っている行を更新または挿入しても、古いバージョンを参照することができます。
- Optimistic locking を使用する: Optimistic locking は、ロックを使用せずに競合を検出する一種のロック機構です。これは、トランザクションがコミットされる前にデータが変更されていないことを確認することで行われます。
MariaDB で REPETEABLE_READ
を使用しても、特定の条件下では幻読が発生する可能性があります。幻読を防ぐには、ロック、バージョン管理、または Optimistic locking などの方法を使用することができます。
以下のサンプルコードは、REPETEABLE_READ
トランザクション分離レベルを使用して幻読が発生する可能性を示しています。
import java.sql.*;
public class PhantomReadExample {
public static void main(String[] args) throws SQLException {
try (Connection connection = DriverManager.getConnection("jdbc:mariadb://localhost:3306/testdb", "user", "password")) {
connection.setAutoCommit(false);
connection.setTransactionIsolation(Connection.TRANSACTION_REPEATABLE_READ);
// トランザクション 1 を開始
try (Statement statement = connection.createStatement()) {
statement.executeUpdate("INSERT INTO users (name, email) VALUES ('John Doe', '[email protected]')");
connection.commit();
}
// トランザクション 2 を開始
try (Statement statement = connection.createStatement()) {
ResultSet resultSet = statement.executeQuery("SELECT * FROM users");
while (resultSet.next()) {
System.out.println("ID: " + resultSet.getInt("id"));
System.out.println("Name: " + resultSet.getString("name"));
System.out.println("Email: " + resultSet.getString("email"));
System.out.println("----------------------");
}
resultSet.close();
}
// トランザクション 1 で同じ行を更新
try (Statement statement = connection.createStatement()) {
statement.executeUpdate("UPDATE users SET email = '[email protected]' WHERE id = 1");
connection.commit();
}
// トランザクション 2 で再び同じ行を読み取る
try (Statement statement = connection.createStatement()) {
ResultSet resultSet = statement.executeQuery("SELECT * FROM users");
while (resultSet.next()) {
System.out.println("ID: " + resultSet.getInt("id"));
System.out.println("Name: " + resultSet.getString("name"));
System.out.println("Email: " + resultSet.getString("email"));
System.out.println("----------------------");
}
resultSet.close();
}
}
}
}
このコードを実行すると、以下の出力が表示されます。
ID: 1
Name: John Doe
Email: [email protected]
----------------------
ID: 1
Name: John Doe
Email: [email protected]
----------------------
トランザクション 2 で 2 回目に読み取ったときに、email
列の値が [email protected]
に更新されていることがわかります。これは、トランザクション 1 で行が更新されたためです。しかし、トランザクション 2 はコミットされていないため、トランザクション 1 の変更はまだトランザクション 2 に反映されていません。
これが幻読と呼ばれる現象です。トランザクション 2 は、コミットされていない変更に基づいて行を読み取っています。
この問題は、ロックやバージョン管理などの方法を使用して回避できます。
幻読を防ぐための他の方法
上記のサンプルコードで紹介したロックとバージョン管理以外にも、幻読を防ぐための方法はいくつかあります。
トランザクションのコミットタイミングを調整することで、幻読が発生する可能性を減らすことができます。具体的には、以下の方法が考えられます。
- 読み取り操作と書き込み操作を別々のトランザクションに分ける: 読み取り操作と書き込み操作を別々のトランザクションに分けることで、読み取り操作が書き込み操作の影響を受ける可能性を減らすことができます。
- 短時間でコミットする: トランザクションを短時間でコミットすることで、他のトランザクションとの競合が発生する可能性を減らすことができます。
WHERE
句に条件を追加することで、読み取る行を絞り込むことができます。これにより、他のトランザクションが読み取っている行に影響を与える可能性を減らすことができます。
SELECT ... FOR UPDATE
句を使用すると、読み取っている行をロックすることができます。これにより、他のトランザクションが読み取っている行を更新または挿入するのを防ぐことができます。
レプリケーションを使用すると、読み取り操作をマスターサーバーではなくスレーブサーバーに対して実行することができます。スレーブサーバーはマスターサーバーの読み取り専用の копияであるため、幻読が発生する可能性が低くなります。
アプリケーション側で処理を行うことで、幻読を検出して処理することができます。具体的には、以下の方法が考えられます。
- 読み取ったデータをキャッシュする: 読み取ったデータをキャッシュすることで、他のトランザクションが読み取っている行を更新または挿入しても、キャッシュされたデータを使用することができます。
これらの方法は、それぞれメリットとデメリットがあります。状況に応じて適切な方法を選択する必要があります。
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