SQL ServerでXACT_ABORTとRAISERRORの動作を理解する
SQL ServerでRAISERROR後に実行が継続される理由
RAISERROR
は、SQL Server でエラーメッセージを表示するために使用されるステートメントです。通常、RAISERROR
の後、トランザクションはロールバックされ、実行は停止されます。しかし、XACT_ABORT
オプションがオンの場合、RAISERROR
の後も実行が継続されることがあります。
原因
XACT_ABORT
オプションは、エラーが発生したときにトランザクションを自動的にロールバックするかどうかを制御します。このオプションがオンの場合、RAISERROR
でエラーレベルが 16 以下の場合、トランザクションはロールバックされます。しかし、エラーレベルが 17 以上の場合は、トランザクションはロールバックされません。
影響
XACT_ABORT
オプションがオンの場合、RAISERROR
の後も実行が継続されると、予期せぬ結果が発生する可能性があります。例えば、エラーが発生したにもかかわらず、データが変更されたり、コミットされたりすることがあります。
解決策
XACT_ABORT
オプションがオンの場合、RAISERROR
の後も実行が継続されることを防ぐためには、以下の方法があります。
- エラーレベルを 16 以下にする
THROW
ステートメントを使用するTRY...CATCH
ブロックを使用する
補足
XACT_ABORT
オプションは、デフォルトでオフになっています。RAISERROR
でエラーレベルを指定しない場合は、エラーレベルは 11 になります。THROW
ステートメントは、エラーを発生させるために使用されます。TRY...CATCH
ブロックは、エラーが発生した場合の処理を記述するために使用されます。
SET XACT_ABORT ON
BEGIN TRY
-- エラーが発生するクエリ
RAISERROR('エラーが発生しました。', 17, 1)
END TRY
BEGIN CATCH
-- エラー処理
END CATCH
このコードを実行すると、エラーメッセージが表示されますが、トランザクションはロールバックされません。
以下のコードは、THROW
ステートメントを使用してエラーを発生させる例です。
SET XACT_ABORT ON
BEGIN TRY
-- エラーが発生するクエリ
THROW 50000, 'エラーが発生しました。', 1;
END TRY
BEGIN CATCH
-- エラー処理
END CATCH
以下のコードは、TRY...CATCH
ブロックを使用してエラー処理を行う例です。
SET XACT_ABORT ON
BEGIN TRY
-- エラーが発生するクエリ
BEGIN CATCH
-- エラー処理
ROLLBACK TRAN
END CATCH
上記のサンプルコードはあくまでも例です。実際のコードは、状況に合わせて変更する必要があります。
RAISERROR の後も実行が継続されることを防ぐその他の方法
RAISERROR
のエラーレベルを 16 以下に設定することで、XACT_ABORT
オプションがオンであってもトランザクションがロールバックされます。
RAISERROR('エラーが発生しました。', 10, 1)
@@TRANCOUNT
変数は、現在のトランザクションレベルを示します。RAISERROR
の前に @@TRANCOUNT
の値を保存しておき、RAISERROR
の後に @@TRANCOUNT
の値が減っている場合は、トランザクションをロールバックすることができます。
DECLARE @trancount INT
SET @trancount = @@TRANCOUNT
RAISERROR('エラーが発生しました。', 17, 1)
IF @@TRANCOUNT < @trancount
BEGIN
ROLLBACK TRAN
END
GOTO
ステートメントを使用して、エラーが発生した場合はエラー処理を行うラベルにジャンプすることができます。
BEGIN TRY
-- エラーが発生するクエリ
GOTO ErrorHandler
END TRY
BEGIN CATCH
-- エラー処理
END CATCH
ErrorHandler:
-- エラー処理
ユーザー定義エラーメッセージを使用することで、エラーメッセージに詳細情報を追加することができます。
CREATE PROCEDURE dbo.MyError
AS
BEGIN
RAISERROR('エラーが発生しました。詳細については、エラーログを参照してください。', 17, 1)
END
BEGIN TRY
EXEC dbo.MyError
END TRY
BEGIN CATCH
-- エラー処理
END CATCH
トレースフラグを使用して、エラーが発生したときの動作を変更することができます。
DBCC TRACEON(1224)
BEGIN TRY
-- エラーが発生するクエリ
END TRY
BEGIN CATCH
-- エラー処理
END CATCH
DBCC TRACEOFF(1224)
リモートプロシージャコール (RPC) を使用する
RPC を使用することで、別のサーバーでエラーが発生した場合でも、現在のトランザクションをロールバックすることができます。
EXEC sp_executesql @remote_server, 'RAISERROR(''エラーが発生しました。'', 17, 1)'
BEGIN TRY
-- エラーが発生するクエリ
BEGIN DIALOG @dialog_handle
FROM SERVICE @service_name
TO SERVICE @service_name
ON CONVERSATION @conversation_handle
END DIALOG @dialog_handle
END TRY
BEGIN CATCH
-- エラー処理
END CATCH
注意事項
上記の方法は、状況によって使い分ける必要があります。また、これらの方法を使用する前に、SQL Server のドキュメントをよく読んでください。
RAISERROR
の後も実行が継続されることを防ぐ方法はいくつかあります。これらの方法を理解することで、エラーが発生した場合でも、適切な処理を行うことができます。
sql sql-server t-sql