PostgreSQLやOracle Databaseなどのデータベース管理システムでMariaDBから移行する方法
MariaDBにおけるlower_case_table_names=0の設定について
lower_case_table_names
システム変数は、MariaDBサーバーでテーブル名、テーブルエイリアス、データベース名の比較方法を制御します。この変数の値は、0、1、2のいずれかになります。
- 0: テーブル名、テーブルエイリアス、データベース名は、大文字小文字を区別して比較されます。これは、Unix系システムのデフォルト設定です。
- 2: テーブル名、テーブルエイリアス、データベース名は、大文字小文字を区別せずに比較されますが、ファイルシステムの大文字小文字を考慮します。これは、Mac OS Xなどの場合に役立ちます。
Windowsにおけるlower_case_table_names=0の使用
Windows環境では、lower_case_table_names=0
を設定することは推奨されていません。これは、Windowsのファイルシステムは通常大文字小文字を区別しないため、テーブル名、テーブルエイリアス、データベース名の比較に混乱が生じる可能性があるためです。
lower_case_table_names=0
を設定すると、以下の問題が発生する可能性があります。
- 同じ名前のテーブルが複数作成されてしまう可能性があります。例えば、
mytable
とMyTable
という名前のテーブルを作成すると、MariaDBサーバーはそれらを異なるテーブルとして認識し、データの破損につながる可能性があります。 - テーブルエイリアスやデータベース名の参照に問題が発生する可能性があります。例えば、
SELECT * FROM MyTable
というクエリを実行すると、mytable
という名前のテーブルを参照しようとしている可能性があります。
- データディレクトリは、大文字小文字を区別するファイルシステムに配置する必要があります。
- テーブル名、テーブルエイリアス、データベース名は、すべて小文字で作成する必要があります。
補足
- 上記の情報は、MariaDB 10.6時点のものであり、今後のバージョンでは変更される可能性があります。
- 個々の環境によっては、異なる設定が必要になる場合があります。
以下のコード例は、MariaDBサーバーでlower_case_table_names
システム変数を0に設定する方法を示しています。
SET GLOBAL lower_case_table_names = 0;
このコードを実行すると、MariaDBサーバーはテーブル名、テーブルエイリアス、データベース名を大文字小文字を区別して比較するようになります。
注意事項
- 上記のコードを実行する前に、MariaDBサーバーを停止する必要があります。
lower_case_table_names=0
を設定する前に、データディレクトリが大文字小文字を区別するファイルシステムに配置されていることを確認してください。lower_case_table_names=0
を設定すると、既存のテーブル名、テーブルエイリアス、データベース名がすべて大文字に変換されます。
lower_case_table_names=0を使用したテーブルの作成例
以下のコード例は、lower_case_table_names=0
を設定した環境でテーブルを作成する方法を示しています。
CREATE TABLE mytable (
id INT PRIMARY KEY AUTO_INCREMENT,
name VARCHAR(255) NOT NULL
);
このコードを実行すると、mytable
という名前のテーブルが作成されます。このテーブル名は大文字小文字を区別するため、MyTable
という名前のテーブルとは異なるテーブルとして認識されます。
MariaDBでlower_case_table_names=0を使用する代替方法
代替方法
大文字小文字を区別するファイルシステムを使用する
データディレクトリを大文字小文字を区別するファイルシステムに配置することで、lower_case_table_names=1
のままでも、テーブル名、テーブルエイリアス、データベース名の比較で大文字小文字を区別することができます。
テーブル名、テーブルエイリアス、データベース名をすべて小文字で作成することで、Windowsのファイルシステムの大文字小文字を区別しない特性と互換性があり、比較に問題が発生する可能性を低減することができます。
他のデータベース管理システムを使用する
PostgreSQLやOracle Databaseなどの他のデータベース管理システムは、デフォルトでテーブル名、テーブルエイリアス、データベース名を大文字小文字を区別します。これらのデータベース管理システムを使用することで、lower_case_table_names
の設定について心配する必要はありません。
各方法の詳細
大文字小文字を区別するファイルシステムには、以下のようなものがあります。
- NTFS (New Technology File System): Windowsで使用される一般的なファイルシステムです。NTFSは、オプションで大文字小文字を区別する機能を提供しています。
- Ext4: Linuxで使用される一般的なファイルシステムです。Ext4は、デフォルトで大文字小文字を区別します。
- Btrfs: Linuxで使用される比較的新しいファイルシステムです。Btrfsは、大文字小文字を区別する機能を提供しています。
- データディレクトリのバックアップを作成します。
- データディレクトリを新しいファイルシステムにフォーマットします。
- データディレクトリを元の場所に移動します。
- MariaDBサーバーを再起動します。
以下のツールを使用して、既存のテーブル名、テーブルエイリアス、データベース名をすべて小文字に変換することができます。
- rename-all: Perlで書かれたコマンドラインツールです。
- mktemp: Unixシェルで利用可能なコマンドです。
各方法の利点と欠点
方法 | 利点 | 欠点 |
---|---|---|
大文字小文字を区別するファイルシステムを使用する | テーブル名、テーブルエイリアス、データベース名を大文字小文字で区別できる | データディレクトリをフォーマットする必要がある |
テーブル名、テーブルエイリアス、データベース名をすべて小文字で作成する | 設定変更が簡単 | 既存のテーブル名、テーブルエイリアス、データベース名をすべて小文字に変換する必要がある |
他のデータベース管理システムを使用する | lower_case_table_names の設定について心配する必要がない | 既存のアプリケーションを新しいデータベース管理システムに移行する必要がある |
MariaDBでlower_case_table_names=0
を使用する代わりに、上記の代替方法を検討することをお勧めします。これらの代替方法は、Windows環境でMariaDBを使用する際に発生する可能性のある問題を回避するのに役立ちます。
- [MySQL Bugs: #75185: lower_case_
mysql mariadb