SQL Server JOIN で NULL 値を扱う:ベストプラクティス

2024-06-16

SQL Server JOIN における欠損値と外部結合の種類

欠損値 とは、データベースのカラムに値が入力されていない状態を指します。 これは、データがまだ入力されていない、入力忘れ、削除されたなど、様々な理由で発生します。

JOIN 操作において、欠損値は結果に影響を与える可能性があります。 具体的には、以下の 2 つの問題が発生します。

行の消失

INNER JOIN や LEFT JOIN のような内部結合の場合、結合条件を満たさない行は結果から除外されます。 例えば、顧客テーブルと注文テーブルを顧客IDで結合する場合、注文履歴のない顧客は結果に含まれません。

誤った結合

欠損値同士の結合は、論理的に誤った結果につながる可能性があります。 例えば、部署テーブルと従業員テーブルを部署IDで結合する場合、部署に所属していない従業員は、誤った部署に割り当てられる可能性があります。

これらの問題を解決するには、適切な種類の外部結合を使用する必要があります。

外部結合 には、以下の 3 種類があります。

  • LEFT JOIN: 左側のテーブルのすべての行を結果に含み、右側のテーブルから一致する行があれば結合します。 一致する行がない場合は、NULL 値で埋め込まれます。

例:

顧客テーブル (customers) と注文テーブル (orders) を持つ場合、以下のいずれかの JOIN を使用して、すべての顧客と注文履歴を表示できます。

-- すべての顧客を表示。注文履歴のない顧客には NULL が表示されます。
SELECT c.*, o.*
FROM customers c
LEFT JOIN orders o ON c.customer_id = o.customer_id;

-- すべての注文を表示。顧客情報がない注文には NULL が表示されます。
SELECT c.*, o.*
FROM customers c
RIGHT JOIN orders o ON c.customer_id = o.customer_id;

-- すべての顧客と注文を表示。顧客情報や注文履歴がない場合は NULL が表示されます。
SELECT c.*, o.*
FROM customers c
FULL OUTER JOIN orders o ON c.customer_id = o.customer_id;

補足:

  • 欠損値の扱いは、データベース設計によっても影響を受けます。 例えば、顧客IDが NULL の顧客レコードを許可しないという制約を設定することもできます。
  • 複雑な JOIN 操作の場合は、サブクエリを使用する方が効率的な場合があります。

    欠損値の適切な処理は、正確なクエリ結果を得るために重要です。 上記の説明と例を参考に、状況に応じて適切な JOIN 種類を選択してください。




    サンプルコード:顧客テーブルと注文テーブルの結合

    顧客テーブル (customers)

    customer_idcustomer_name
    1田中太郎
    2佐藤次郎
    3鈴木花子

    注文テーブル (orders)

    order_idcustomer_idorder_dateorder_amount
    112024-01-0110000
    222024-02-0120000
    332024-03-0130000

    LEFT JOIN を使用して、すべての顧客と注文履歴を表示する

    SELECT c.*, o.*
    FROM customers c
    LEFT JOIN orders o ON c.customer_id = o.customer_id;
    

    結果

    customer_idcustomer_nameorder_idorder_dateorder_amount
    1田中太郎12024-01-0110000
    2佐藤次郎22024-02-0120000
    3鈴木花子32024-03-0130000
    1田中太郎NULLNULLNULL
    2佐藤次郎NULLNULLNULL

    解説

    • このクエリは LEFT JOIN を使用しているため、顧客テーブルのすべての行が結果に含まれます。
    • 注文テーブルに一致する行があれば、order_idorder_dateorder_amount カラムの値が結合されます。
    • 一致する行がない場合は、これらのカラムには NULL 値が埋め込まれます。
    SELECT c.*, o.*
    FROM customers c
    RIGHT JOIN orders o ON c.customer_id = o.customer_id;
    
    customer_idcustomer_nameorder_idorder_dateorder_amount
    1田中太郎12024-01-0110000
    2佐藤次郎22024-02-0120000
    3鈴木花子32024-03-0130000
    NULLNULL42024-04-0140000
    NULLNULL52024-05-0150000
      SELECT c.*, o.*
      FROM customers c
      FULL OUTER JOIN orders o ON c.customer_id = o.customer_id;
      
      customer_idcustomer_nameorder_idorder_dateorder_amount
      1田中太郎12024-01-0110000
      2佐藤次郎22024-02-0120000
      3鈴木花子32024-03-0130000
      1田中太郎NULLNULLNULL
      2佐藤次郎NULLNULLNULL
      NULLNULL42024-04-0140000
      NULLNULL5



      SQL Server JOIN における欠損値の処理:代替方法

      ISNULL 関数は、引数が NULL の場合は別の値を返す関数です。

      SELECT c.*, ISNULL(o.order_date, 'なし') AS order_date_str
      FROM customers c
      LEFT JOIN orders o ON c.customer_id = o.customer_id;
      
      customer_idcustomer_nameorder_date_str
      1田中太郎2024-01-01
      2佐藤次郎2024-02-01
      3鈴木花子2024-03-01
      1田中太郎なし
      2佐藤次郎なし
      • このクエリは LEFT JOIN を使用しており、order_date カラムが NULL の場合は、文字列 "なし" が表示されます。

      COALESCE 関数は、引数のうち最初の NULL 以外の値を返します。

      SELECT c.*, COALESCE(o.order_date, '2000-01-01') AS order_date
      FROM customers c
      LEFT JOIN orders o ON c.customer_id = o.customer_id;
      
      customer_idcustomer_nameorder_date
      1田中太郎2024-01-01
      2佐藤次郎2024-02-01
      3鈴木花子2024-03-01
      1田中太郎2000-01-01
      2佐藤次郎2000-01-01

        CASE 式は、条件に応じて異なる値を返す式です。

        SELECT c.*,
          CASE WHEN o.order_date IS NULL THEN 'なし'
               ELSE o.order_date
          END AS order_date_str
        FROM customers c
        LEFT JOIN orders o ON c.customer_id = o.customer_id;
        
        customer_idcustomer_nameorder_date_str
        1田中太郎2024-01-01
        2佐藤次郎2024-02-01
        3鈴木花子2024-03-01
        1田中太郎なし
        2佐藤次郎なし

          サブクエリを使用して、欠損値を処理することもできます。

          SELECT c.*, o.order_date
          FROM customers c
          LEFT JOIN (
            SELECT order_id,
                   CASE WHEN order_date IS NULL THEN 'なし' ELSE order_date END AS order_date
            FROM orders
          ) AS o ON c.customer_id = o.customer_id;
          
          customer_idcustomer_nameorder_date
          1田中太郎2024-01-01
          2佐藤次郎2024-02-01
          3鈴木花子2024-03-01
          1田中太郎なし
          2佐藤次郎なし

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