MVCCをサポートするデータベース: PostgreSQL、MySQLなど
マルチバージョン同時実行制御 (MVCC) とは?
MVCC の仕組み
MVCC では、データの複数バージョン を保存することで、同時実行性を向上させます。具体的には、以下の仕組みで動作します。
- ユーザーがデータ更新を行う場合、新しいバージョンのデータ を作成します。
- 複数のユーザーが同時に同じデータを更新しようとしても、それぞれのバージョン で更新が行われるため、データの競合が発生しません。
- 更新処理が完了した後、古いバージョンのデータは不要になるため、削除されます。
MVCC には、以下のような利点があります。
- 高い同時実行性: データのロックを使用しないため、複数のユーザーが同時にデータにアクセスしても、処理速度の低下が抑えられます。
- デッドロックの回避: データのロックを使用しないため、デッドロックが発生する可能性がありません。
- 高いスケーラビリティ: データベースの規模が大きくなっても、高い性能を維持することができます。
MVCC をサポートするデータベース
MVCC は、多くのオープンソースデータベースでサポートされています。代表的な例としては、以下が挙げられます。
- PostgreSQL
- MySQL
- Oracle Database
- Microsoft SQL Server
用語解説
- データベース: データを組織的に管理するためのソフトウェア
- デッドロック: 複数の処理が互いに待ち合い、いずれも処理を進められなくなる状態
- 同時実行制御: 複数のユーザーが同時にデータベースにアクセスし、データの更新を行う場合、データの整合性を保ちつつ、効率的な処理を実現するための技術
MVCC は、データベースにおける同時実行制御の一種で、データの複数バージョンを保存することで、高い同時実行性とデッドロックの回避を実現します。多くのオープンソースデータベースでサポートされており、広く利用されています。
MVCC のサンプルコード
-- テーブル作成
CREATE TABLE users (
id SERIAL PRIMARY KEY,
name VARCHAR(255) NOT NULL,
age INTEGER NOT NULL
);
-- データ挿入
INSERT INTO users (name, age) VALUES ('John Doe', 30);
INSERT INTO users (name, age) VALUES ('Jane Doe', 25);
-- ユーザー1によるデータ更新
BEGIN;
UPDATE users SET name = 'John Smith' WHERE id = 1;
COMMIT;
-- ユーザー2によるデータ更新
BEGIN;
UPDATE users SET age = 26 WHERE id = 2;
COMMIT;
-- データ確認
SELECT * FROM users;
このコードを実行すると、以下の結果になります。
id | name | age
-- | -------- | ----
1 | John Smith | 30
2 | Jane Doe | 26
上記の例では、2つのユーザーが同時に users
テーブルのデータを更新しています。ユーザー1は name
カラムを更新し、ユーザー2は age
カラムを更新しています。MVCC により、それぞれの更新処理は独立して実行され、データの競合は発生していません。
MVCC は、データベースにおける同時実行制御を実現するための重要な技術です。サンプルコードを参考に、MVCC の仕組みを理解し、実際にデータベース開発で活用してみてください。
MVCC 以外の同時実行制御方法
ロックは、データの更新処理を行う前に、そのデータに対する排他制御を行う方法です。ロックには、以下のような種類があります。
- 排他ロック: データに対して排他的なアクセス権を取得します。他のユーザーは、ロックが解除されるまで、そのデータを読み書きできません。
ロックを使用することで、データの競合を確実に回避することができます。しかし、ロックの粒度が大きすぎると、データベースの処理速度が低下してしまうという問題があります。
タイムスタンプは、データの更新処理にタイムスタンプを付与することで、データの競合を検出する方法です。タイムスタンプには、以下のような種類があります。
- 読取タイムスタンプ: データを読み出すトランザクションに付与されるタイムスタンプです。
データを読み出すトランザクションは、読取タイムスタンプとデータの書込みタイムスタンプを比較します。書込みタイムスタンプの方が読取タイムスタンプよりも大きい場合、データは更新されているため、競合が発生したと判断されます。
タイムスタンプを使用することで、ロックよりも細かい粒度で同時実行制御を行うことができます。しかし、タイムスタンプの管理や競合検出の処理が複雑になるという問題があります。
2相コミットは、トランザクション処理におけるコミット処理を2段階に分けることで、データの整合性を保つ方法です。2相コミットは以下の2つのフェーズで構成されます。
- 準備フェーズ: トランザクションに必要なすべての変更をデータベースに反映します。しかし、コミットはまだ実行されません。
- コミットフェーズ: 準備フェーズで完了した変更を確定的にデータベースに適用します。
2相コミットを使用することで、トランザクション処理の途中で障害が発生しても、データの整合性を保つことができます。
MVCC は、データベースにおける同時実行制御を実現するための有効な方法です。しかし、ロックやタイムスタンプなどの他の方法も状況に応じて使い分けることが重要です。
database deadlock terminology