SQL Server: WHERE 句で参照エイリアスを使用する際の注意点と代替方法
SQL Server における参照エイリアス(SELECT で計算)の WHERE 句での使用
SQL Server では、SELECT 句で計算された列エイリアスを WHERE 句 で参照することは許可されていません。これは、WHERE 句が評価される時点では、列値がまだ確定していない可能性があるためです。
しかし、いくつかの状況下では、この制約を回避し、SELECT 句で計算された値を WHERE 句で使用することが可能です。以下、その方法と注意点について詳しく説明します。
代替方法
-
導出列を使用すると、SELECT 句で計算された値を新しい列として定義し、WHERE 句で参照することができます。
SELECT *, CASE WHEN price > 100 THEN price * 1.1 ELSE price END AS discounted_price FROM products WHERE discounted_price > 110;
この例では、
discounted_price
という導出列が定義され、price
が 100 を超える場合は 10% 増額された値が、そうでない場合は元の値が格納されます。そして、WHERE 句でdiscounted_price
が 110 より大きい行のみが選択されます。 -
サブクエリを使用すると、別のクエリで計算された値を WHERE 句で使用することができます。
SELECT * FROM products WHERE price IN ( SELECT price * 1.1 FROM products WHERE price > 100 );
この例では、サブクエリを使用して、
price
が 100 を超える製品の価格に 10% を加算した値のリストを取得します。そして、メインクエリで、そのリストに含まれるprice
を持つ製品のみを選択します。
注意点
- 上記の方法は、いずれもパフォーマンス上の影響がある可能性があります。特に、複雑な計算や大量のデータに対して使用する場合には注意が必要です。
- 常に導出列、サブクエリ、ビューを使用できるわけではありません。状況に応じて適切な方法を選択する必要があります。
- 最新の SQL Server バージョンでは、CTE (Common Table Expression) を使用して、導出列やサブクエリよりも効率的に計算結果を WHERE 句で使用することができます。
サンプルコード:導出列を使用した例
SELECT
ProductID,
ProductName,
price,
(price - (price * 0.1)) AS discounted_price
FROM Products
WHERE discounted_price > 100;
説明:
SELECT
句では、取得する列を指定します。この例では、ProductID
、ProductName
、price
、導出列discounted_price
を選択します。FROM
句では、データソースとなるテーブルを指定します。この例では、Products
テーブルを使用します。WHERE
句では、結果を絞り込む条件を指定します。この例では、discounted_price
が 100 円より大きい製品のみを選択します。- 導出列
discounted_price
は、price
から 10% を引いた値として定義されています。
実行結果:
ProductID | ProductName | price | discounted_price
---------+-------------+-------------+-----------------
1 | T-Shirt | 50 | 45
3 | Jeans | 80 | 72
5 | Hat | 25 | 22.5
この例は、導出列を使用して、SELECT 句で計算された値を WHERE 句で使用する方法を示しています。導出列は、シンプルな計算を行う場合に有効な手段ですが、複雑な計算の場合は、サブクエリやビューなどの他の方法の方が効率的に処理できる場合があります。
以下のリンクでは、さまざまな状況における WHERE
句での参照エイリアスの使用方法に関するその他の例を確認できます。
ご参考になりましたでしょうか?
SQL Server で WHERE 句で参照エイリアスを使用するその他の方法
JOIN を使用する
導出列やサブクエリを使用する代わりに、JOIN を使用して、別のテーブルから計算結果を結合することができます。この方法は、複数のテーブルからデータを照合する必要がある場合に役立ちます。
SELECT p.ProductID, p.ProductName, p.price, d.discounted_price
FROM Products p
JOIN (
SELECT product_id, price - (price * 0.1) AS discounted_price
FROM Products
) d ON p.ProductID = d.product_id
WHERE discounted_price > 100;
ウィンドウ関数を使用する
SQL Server 2005 以降では、ウィンドウ関数を使用して、行範囲内のデータに基づいて計算を行うことができます。この方法は、集計関数と比較して、より動的な計算を行う必要がある場合に役立ちます。
SELECT
ProductID,
ProductName,
price,
LAG(price, 1) OVER (ORDER BY ProductID) AS previous_price,
price - (price * 0.1) AS discounted_price
FROM Products
WHERE discounted_price > 100;
仮想テーブルを使用する
一時的な結果を格納するために、TEMPORARY TABLE または GLOBAL TEMPORARY TABLE を使用することができます。この方法は、複雑な計算や大量のデータ処理が必要な場合に役立ちます。
CREATE TABLE #DiscountedProducts (
ProductID INT,
ProductName NVARCHAR(50),
price DECIMAL(10,2),
discounted_price DECIMAL(10,2)
);
INSERT INTO #DiscountedProducts
SELECT ProductID, ProductName, price, price - (price * 0.1) AS discounted_price
FROM Products;
SELECT *
FROM #DiscountedProducts
WHERE discounted_price > 100;
DROP TABLE #DiscountedProducts;
最適な方法の選択
使用する方法は、データセット、必要な計算、パフォーマンス要件によって異なります。
- シンプルな計算で、データセットが小さい場合は、導出列が最も簡単な方法です。
- 複数のテーブルからデータを照合する必要がある場合は、JOIN が役立ちます。
- より動的な計算が必要な場合は、ウィンドウ関数が適しています。
- 複雑な計算や大量のデータ処理が必要な場合は、一時的なテーブルが役立ちます。
その他の考慮事項
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