SQL Server 2008:WHERE 句における CASE ステートメントでクエリを効率化
SQL Server 2008 の WHERE
節における CASE
ステートメントは、クエリ結果を絞り込むための強力なツールです。条件に応じて異なる値を返すことができるため、複雑なクエリをより簡潔かつ効率的に記述することができます。
構文
SELECT *
FROM table_name
WHERE CASE
WHEN condition1 THEN value1
WHEN condition2 THEN value2
...
ELSE value_else
END;
説明
CASE
キーワードでステートメントを開始します。- 各
WHEN
節では、評価する条件と、その条件が真の場合に返される値を指定します。 - 複数の
WHEN
節を指定することができます。 - 条件が真の
WHEN
節が見つかったら、以降のWHEN
節は評価されません。 - すべての条件が偽の場合、
ELSE
節で指定された値が返されます。 ELSE
節は省略可能です。
例
次のクエリは、Customers
テーブルから、注文数が 10 件を超える顧客の名前と注文数を抽出します。
SELECT CustomerName, OrderCount
FROM Customers
WHERE CASE
WHEN OrderCount > 10 THEN 'VIP Customer'
ELSE 'Regular Customer'
END;
このクエリは次のように書き換えることもできます。
SELECT CustomerName, OrderCount,
CASE
WHEN OrderCount > 10 THEN 'VIP Customer'
ELSE 'Regular Customer'
END AS CustomerType
FROM Customers;
この書き換えでは、CASE
ステートメントの結果を CustomerType
という新しい列として格納しています。
メリット
- 複雑な条件をより簡潔に記述できる
- 複数の条件をグループ化して評価できる
- クエリ結果をよりわかりやすく表現できる
注意点
CASE
ステートメントは、条件に応じて異なる値を返すことができるため、クエリ結果の重複が発生する可能性があります。- 複数の
WHEN
節を指定する場合は、条件の順序を考慮する必要があります。 ELSE
節を省略すると、条件がすべて偽の場合にエラーが発生する可能性があります。
SQL Server 2008 の WHERE
節における CASE
ステートメントは、クエリをより柔軟かつ効率的に記述するための便利なツールです。構文と使用方法を理解することで、複雑なデータ分析をより簡単に実行することができます。
サンプルコード:顧客ステータスに基づいて割引を適用する
テーブル
Customers
CustomerID
(int, primary key)CustomerName
(varchar(50))
Orders
CustomerID
(int, foreign key references Customers(CustomerID))OrderDate
(date)OrderAmount
(decimal(10,2))
要件
- ゴールドステータスの顧客には 10% の割引を適用する
- その他の顧客には割引を適用しない
クエリ
SELECT
o.OrderID,
o.CustomerID,
o.OrderDate,
o.OrderAmount,
o.OrderAmount * (1 - CASE
WHEN c.CustomerStatus = 'Gold' THEN 0.1
WHEN c.CustomerStatus = 'Silver' THEN 0.05
ELSE 0
END) AS DiscountedAmount
FROM Orders o
JOIN Customers c
ON o.CustomerID = c.CustomerID;
- このクエリは、
Orders
テーブル (o) とCustomers
テーブル (c) をCustomerID
列で結合します。 CASE
ステートメントを使用して、顧客ステータスに基づいて割引率を決定します。1 - CASE
式を使用して、割引された金額を計算します。- 結果には、注文 ID、顧客 ID、注文日、注文金額、割引金額が表示されます。
実行結果
OrderID | CustomerID | OrderDate | OrderAmount | DiscountedAmount |
---|---|---|---|---|
1 | 1 | 2023-01-01 | 100.00 | 90.00 |
2 | 2 | 2023-01-02 | 50.00 | 47.50 |
3 | 3 | 2023-01-03 | 200.00 | 200.00 |
この例は、CASE ステートメントを使用して、クエリ結果に基づいて値を動的に計算する方法を示しています。これは、複雑な割引ロジックを実装したり、データに基づいて意思決定を行ったりする場合に役立ちます。
WHERE 句内の CASE ステートメントの代替方法
JOIN を使用した多重テーブルクエリ
複数のテーブルを結合して、必要な条件を満たすレコードを抽出することができます。この方法は、比較的単純でわかりやすいですが、複雑な条件になると結合が複雑になる場合があります。
例:
SELECT c.CustomerID, c.CustomerName, o.OrderID, o.OrderDate, o.OrderAmount
FROM Customers c
JOIN Orders o
ON c.CustomerID = o.CustomerID
WHERE c.CustomerStatus = 'Gold'
OR c.CustomerStatus = 'Silver';
長所:
- 比較的単純でわかりやすい
- 複数のテーブルからデータを抽出するのに適している
- 複雑な条件になると結合が複雑になる場合がある
- パフォーマンスが低下する可能性がある
サブクエリを使用して、WHERE
句の条件を満たすかどうかを判断することができます。この方法は、より複雑な条件を処理するのに適していますが、クエリが読みづらくなる場合があります。
SELECT *
FROM Customers
WHERE CustomerID IN (
SELECT CustomerID
FROM Orders
WHERE OrderAmount > 100
);
- より複雑な条件を処理するのに適している
- クエリが読みづらくなる場合がある
DECLARE
ステートメントを使用して変数を宣言し、その変数を使用して WHERE
句の条件を評価することができます。この方法は、複雑なロジックを処理するのに適していますが、コードが冗長になる場合があります。
DECLARE @GoldStatusCustomers TABLE (
CustomerID INT
);
INSERT INTO @GoldStatusCustomers
SELECT CustomerID
FROM Customers
WHERE CustomerStatus = 'Gold';
SELECT *
FROM Orders
WHERE CustomerID IN (
SELECT CustomerID
FROM @GoldStatusCustomers
);
- コードが冗長になる場合がある
関数を使用する
CASE
ステートメントのロジックを関数にカプセル化することができます。この方法は、コードを再利用しやすく、クエリをより読みやすくすることができます。
CREATE FUNCTION GetCustomerDiscount(customerStatus VARCHAR(10))
RETURNS DECIMAL(10,2)
AS
BEGIN
DECLARE @discount DECIMAL(10,2);
SET @discount = 0;
CASE customerStatus
WHEN 'Gold' THEN SET @discount = 0.1;
WHEN 'Silver' THEN SET @discount = 0.05;
END CASE;
RETURN @discount;
END;
SELECT
o.OrderID,
o.CustomerID,
o.OrderDate,
o.OrderAmount,
o.OrderAmount * (1 - GetCustomerDiscount(c.CustomerStatus)) AS DiscountedAmount
FROM Orders o
JOIN Customers c
ON o.CustomerID = c.CustomerID;
- コードを再利用しやすい
- クエリをより読みやすくする
- 関数を作成してメンテナンスする必要がある
最適な方法は、特定の要件によって異なります。 複雑なロジックを処理する必要がある場合は、関数を使用するのが良いでしょう。パフォーマンスが重要な場合は、JOIN
を使用したシンプルなクエリを使用する方が良いかもしれません。
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