MariaDBで「LOAD DATA INFILE ... SET column = NULLIF(column, 'NULL')」エラーが発生時の対処法
MariaDB で発生する "LOAD DATA INFILE ... SET column = NULLIF(column, 'NULL')" エラーの詳細解説
MariaDB で LOAD DATA INFILE
を使用して CSV ファイルをインポートする際、SET column = NULLIF(column, 'NULL')
を用いて "NULL" 文字列を実際の NULL 値に変換しようとすると、誤った値が挿入される場合があります。
原因
この問題は、LOAD DATA INFILE
と NULLIF
関数の動作の違いによるものです。
LOAD DATA INFILE
は、CSV ファイルの各列データをデータベースの対応する列に挿入します。NULLIF
関数は、2つの値を比較し、一致する場合に NULL 値を返し、一致しない場合は最初の値を返します。
問題のメカニズム
- CSV ファイルに "NULL" 文字列を含む列があるとします。
- その後、
SET column = NULLIF(column, 'NULL')
が実行されます。 NULLIF
関数は、列の値と "NULL" 文字列を比較します。- 文字列比較では、"NULL" 文字列は空文字列と等価とみなされます。
- そのため、
NULLIF
関数は常に NULL 値を返します。 - 結果として、データベースの列には本来想定されていた NULL 値ではなく、空文字列が挿入されます。
解決策
この問題を解決するには、以下の方法があります。
方法1: LOAD DATA INFILE の IGNORE 1 LINES オプションを使用する
このオプションは、CSV ファイルの最初の行をスキップします。最初の行にヘッダー情報が含まれている場合、このオプションを使用してヘッダー行を無視することで、"NULL" 文字列を含む列の問題を回避できます。
LOAD DATA INFILE 'file.csv'
INTO TABLE table_name
FIELDS TERMINATED BY ','
LINES TERMINATED BY '\n'
IGNORE 1 LINES;
方法2: LOAD DATA INFILE の FIELDS TERMINATED BY オプションと LINES TERMINATED BY オプションを適切に設定する
CSV ファイルの区切り文字と改行文字が適切に設定されていない場合、"NULL" 文字列が誤って解釈される可能性があります。区切り文字と改行文字を正しく設定することで、この問題を回避できます。
LOAD DATA INFILE 'file.csv'
INTO TABLE table_name
FIELDS TERMINATED BY ','
LINES TERMINATED BY '\n'
(column1, column2, ...);
方法3: LOAD DATA INFILE 後に UPDATE ステートメントを使用する
LOAD DATA INFILE
でデータをインポートした後、UPDATE
ステートメントを使用して "NULL" 文字列を含む列を更新することができます。
LOAD DATA INFILE 'file.csv'
INTO TABLE table_name
FIELDS TERMINATED BY ','
LINES TERMINATED BY '\n'
(column1, column2, ...);
UPDATE table_name
SET column = NULL
WHERE column = 'NULL';
方法4: LOAD DATA LOCAL INFILE を使用する
LOAD DATA LOCAL INFILE
は、クライアントマシン上のファイルからデータをインポートするものです。この方法を使用することで、サーバー側で NULLIF
関数を実行する必要がなくなり、問題を回避できます。
LOAD DATA LOCAL INFILE '/path/to/file.csv'
INTO TABLE table_name
FIELDS TERMINATED BY ','
LINES TERMINATED BY '\n'
(column1, column2, ...);
補足
- 上記の解決策は、MariaDB 10.2 以降で動作します。
- MariaDB 10.1 以前を使用している場合は、
LOAD DATA INFILE
とNULLIF
関数を使用する代わりに、別の方法で CSV ファイルをインポートする必要があります。
-- テーブルの作成
CREATE TABLE table_name (
column1 INT,
column2 VARCHAR(255),
column3 DATE
);
-- CSV ファイルの内容
1, "John Doe", "2023-01-01"
2, "Jane Doe", NULL
3, "NULL", "2023-03-08"
-- データのインポート
LOAD DATA INFILE 'file.csv'
INTO TABLE table_name
FIELDS TERMINATED BY ','
LINES TERMINATED BY '\n'
(column1, column2, column3)
SET column2 = NULLIF(column2, 'NULL'),
column3 = NULLIF(column3, 'NULL');
-- 結果の確認
SELECT * FROM table_name;
このコードを実行すると、以下の結果が得られます。
column1 | column2 | column3
------- | -------- | --------
1 | John Doe | 2023-01-01
2 | Jane Doe | NULL
3 | NULL | 2023-03-08
注意事項
- 上記のコードは、サンプルコードであり、実際の環境に合わせて変更する必要があります。
- CSV ファイルのデータ形式とデータベースのテーブル構造が一致していることを確認してください。
LOAD DATA INFILE
を実行する前に、データベースに十分な権限があることを確認してください。
MariaDB で "LOAD DATA INFILE ... SET column = NULLIF(column, 'NULL')" エラーを回避するその他の方法
CSV ファイルの列に "NULL" 文字列が含まれている場合、FIELDS ENCLOSED BY
オプションを使用して、その文字列を囲むように指定できます。これにより、LOAD DATA INFILE
が "NULL" 文字列を区切り文字と誤って解釈するのを防ぐことができます。
LOAD DATA INFILE 'file.csv'
INTO TABLE table_name
FIELDS TERMINATED BY ','
LINES TERMINATED BY '\n'
FIELDS ENCLOSED BY '"'
(column1, column2, ...);
LOAD DATA INFILE
でデータをインポートした後、ALTER TABLE
ステートメントを使用して、column
列のデータ型を VARCHAR
から NULL
に変更することができます。
LOAD DATA INFILE 'file.csv'
INTO TABLE table_name
FIELDS TERMINATED BY ','
LINES TERMINATED BY '\n'
(column1, column2, ...);
ALTER TABLE table_name
ALTER column VARCHAR(255) NULL;
方法7: CSV ファイルを編集する
CSV ファイルを編集し、"NULL" 文字列を空文字列 "" に置き換えることができます。
方法8: 別のデータインポートツールを使用する
LOAD DATA INFILE
以外にも、CSV ファイルを MariaDB にインポートするためのツールは多数存在します。別のツールを使用することで、問題を回避できる可能性があります。
- 上記の方法を選択する前に、各方法のメリットとデメリットを比較検討する必要があります。
- 使用する方法は、環境や状況によって異なります。
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