PostgreSQL: SERIAL vs IDENTITY どっちを使うべき?【最新版】
PostgreSQLにおけるSERIALとIDENTITYの比較
概要
SERIALはPostgreSQL独自のデータ型で、自動的に増加する整数値を生成します。一方、IDENTITYはSQL標準に準拠した機能で、列に自動的に一意の値を生成するための制約です。
主な違い
項目 | SERIAL | IDENTITY |
---|---|---|
データ型 | 特殊なデータ型 | INTEGER |
SQL標準 | 非準拠 | 準拠 |
シーケンス | 自動生成 | オプション |
制約 | NOT NULL | GENERATED ALWAYS AS IDENTITY |
値の挿入 | 制限なし | DEFAULT値を省略可能 |
変更 | 困難 | 比較的容易 |
互換性 | PostgreSQLのみ | 多くのデータベース |
詳細
SERIALは、以下の特徴を持つPostgreSQL特有のデータ型です。
- 自動的に1ずつ増加する整数値を生成
- PRIMARY KEYとしてよく使用
- シーケンスを使用して値を管理
- NOT NULL制約が自動的に適用
- DEFAULT値を省略できない
- 一度設定すると変更が困難
IDENTITYは、以下の特徴を持つSQL標準に準拠した機能です。
- INTEGER型列に自動的に一意の値を生成
- シーケンスの使用はオプション
- GENERATED ALWAYS AS IDENTITY制約を使用して定義
- 比較的容易に変更可能
- 多くのデータベースで互換性
新プロジェクトではIDENTITYを使うことを推奨します。IDENTITYはSQL標準に準拠しており、より柔軟性と互換性があります。
既存のSERIALカラムをIDENTITYに変更することも可能です。ただし、いくつかの制限事項と注意点があります。
- PostgreSQL 10以降が必要
- シーケンスが存在する必要がある
- DEFAULT値を使用していない必要がある
詳細は、PostgreSQL公式ドキュメントを参照してください。
SERIAL
CREATE TABLE users (
id SERIAL PRIMARY KEY,
name VARCHAR(255) NOT NULL
);
IDENTITY
CREATE TABLE users (
id INTEGER PRIMARY KEY GENERATED ALWAYS AS IDENTITY,
name VARCHAR(255) NOT NULL
);
IDENTITYによる既存のSERIALカラムの変更
ALTER TABLE users
ALTER COLUMN id SET DEFAULT NULL;
ALTER TABLE users
ALTER COLUMN id DROP CONSTRAINT users_pkey;
ALTER TABLE users
ADD CONSTRAINT users_pkey PRIMARY KEY GENERATED ALWAYS AS IDENTITY;
その他
- シーケンスの使用
CREATE SEQUENCE users_id_seq;
CREATE TABLE users (
id INTEGER PRIMARY KEY DEFAULT nextval('users_id_seq'),
name VARCHAR(255) NOT NULL
);
CREATE TABLE users (
id INTEGER PRIMARY KEY GENERATED ALWAYS AS IDENTITY,
name VARCHAR(255)
);
補足
- PostgreSQL 12以降では、
IDENTITY
列にデフォルト値を指定できます。 IDENTITY
列は、UNIQUE
制約やFOREIGN KEY
制約に使用できます。
DEFAULT値とトリガー
CREATE TABLE users (
id INTEGER NOT NULL,
name VARCHAR(255) NOT NULL
);
CREATE TRIGGER users_insert_trigger BEFORE INSERT ON users
FOR EACH ROW
BEGIN
NEW.id := nextval('users_id_seq');
END;
PL/pgSQL関数
CREATE FUNCTION next_id() RETURNS INTEGER AS $$
BEGIN
RETURN nextval('users_id_seq');
END;
$$ LANGUAGE plpgsql;
CREATE TABLE users (
id INTEGER NOT NULL DEFAULT next_id(),
name VARCHAR(255) NOT NULL
);
UUID
CREATE TABLE users (
id UUID PRIMARY KEY DEFAULT gen_random_uuid(),
name VARCHAR(255) NOT NULL
);
これらの方法は、それぞれ異なる利点と欠点があります。最適な方法は、具体的な要件によって異なります。
DEFAULT値とトリガーの利点と欠点
利点:
- シンプルでわかりやすい
- トリガーの管理が必要
- INSERT速度が遅くなる可能性
PL/pgSQL関数の利点と欠点
- より柔軟な制御が可能
- 複雑なロジックを実装できる
- PL/pgSQLの知識が必要
- 複雑なコードになりやすい
UUIDの利点と欠点
- 一意性が保証される
- 分散環境で使いやすい
- 16バイトと比較的長い
- ソートや比較に時間がかかる
PostgreSQLで自動的に生成される主キーを作成するには、SERIAL
、IDENTITY
、DEFAULT値とトリガー、PL/pgSQL関数、UUIDなどいくつかの方法があります。最適な方法は、具体的な要件によって異なります。
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