MariaDBで階層化されたコメントスレッドを表示する:CTEを使った再帰クエリの応用例

2024-04-16

SQLにおける再帰クエリとCTE:MariaDBで循環構造を表現する

データベースで階層構造や循環構造を扱う場合、再帰クエリは非常に強力なツールとなります。再帰クエリは、自身を呼び出すことで、ネストされたデータ構造を効率的に処理することができます。

MariaDBを含む多くのリレーショナルデータベース管理システム(RDBMS)では、再帰クエリを容易に実装するために、CTE(Common Table Expression)と呼ばれる機能を提供しています。CTEは、再帰クエリをより明確で読みやすく、メンテナンスしやすいモジュールとして定義することができます。

CTEとは?

CTEは、一時的な結果セットを定義するための構文です。この結果セットは、サブクエリとして定義することができ、他のクエリで使用することができます。CTEは、複雑なクエリをより小さな、理解しやすい部分に分割するのに役立ちます。

再帰クエリにおいて、CTEは、再帰呼び出しを制御し、ループを管理するために使用されます。CTEを使用することで、再帰クエリをより明確で、バグが発生しにくいコードにすることができます。

MariaDBでCTEを使用した再帰クエリを実装するには、以下の手順に従います。

  1. CTEを定義する: WITHキーワードを使用して、CTEを定義します。CTEには、名前、列定義、およびサブクエリが含まれます。
  2. 再帰呼び出しを行う: サブクエリ内で、CTE自身を呼び出すことができます。これにより、クエリがネストされたデータ構造を処理することができます。
  3. ベースケースを定義する: 再帰呼び出しがいつ終了するべきかを定義する必要があります。これを行うには、WHERE句を使用して、再帰を停止する条件を指定します。
  4. CTEを使用する: メインクエリ内で、CTEを参照することができます。CTEは、他のテーブルと同様に使用することができます。

例:ディレクトリ構造のツリー表示

以下の例では、CTEを使用して、ファイルシステムのディレクトリ構造をツリー形式で表示するクエリを示します。

WITH recursive directory_tree (path, name, level) AS (
  SELECT '/', '/', 0
  UNION ALL
  SELECT CONCAT(parent.path, child.name, '/'), child.name, parent.level + 1
  FROM directory AS child
  JOIN directory_tree AS parent ON parent.path = SUBSTRING(child.path, 1, LENGTH(parent.path))
  WHERE child.path LIKE '%/%'
  ORDER BY path
)
SELECT * FROM directory_tree;

このクエリは、以下の結果を返します。

path | name   | level
-----+--------+------
/     |        |   0
/dir1 |        |   1
/dir1/file1.txt | file1.txt |   2
/dir1/dir2 | dir2 |   1
/dir1/dir2/file2.txt | file2.txt |   2

CTEを使用した再帰クエリには、以下のような利点があります。

  • 可読性: CTEを使用すると、再帰クエリをより明確で読みやすくすることができます。

CTEは、MariaDBを含むRDBMSで再帰クエリを実装するための強力なツールです。CTEを使用することで、複雑なクエリをより明確で、読みやすく、メンテナンスしやすいコードにすることができます。




サンプルコード:階層化されたコメントスレッドの表示

WITH recursive comment_tree (id, parent_id, author, content, level) AS (
  SELECT id, parent_id, author, content, 0
  FROM comments
  WHERE parent_id IS NULL
  UNION ALL
  SELECT c.id, c.parent_id, c.author, c.content, t.level + 1
  FROM comments AS c
  JOIN comment_tree AS t ON t.id = c.parent_id
)
SELECT * FROM comment_tree ORDER BY level, id;
id | parent_id | author    | content       | level
----+------------+------------+----------------+------
1  | NULL       | John Doe   | This is the first comment. |  0
2  | 1        | Jane Doe   | This is a reply to the first comment. |  1
3  | 1        | Peter Jones | This is another reply to the first comment. |  1
4  | 2        | Jane Doe   | This is a reply to Jane Doe's comment. |  2

説明

  • WITH recursive comment_tree (id, parent_id, author, content, level) AS ( ... ):この行は、comment_treeという名前のCTEを定義します。このCTEは、idparent_idauthorcontent、およびlevelという5つの列を持つテーブルを表します。
  • SELECT id, parent_id, author, content, 0 FROM comments WHERE parent_id IS NULL: この行は、CTEの最初の部分である初期クエリを定義します。このクエリは、parent_idがNULLであるコメント(つまり、親コメントがないコメント)をすべて選択します。これらのコメントは、コメントスレッドのルートノードとなります。
  • UNION ALL SELECT c.id, c.parent_id, c.author, c.content, t.level + 1 FROM comments AS c JOIN comment_tree AS t ON t.id = c.parent_id: この行は、CTEの再帰部分である再帰クエリを定義します。このクエリは、commentsテーブルとcomment_treeCTEを結合します。comment_treeCTEは、コメントスレッドのすでに構築された部分を表します。このクエリは、commentsテーブルから、parent_idcomment_treeCTE内のコメントのidと一致するコメントをすべて選択します。これらのコメントは、コメントスレッドの子ノードとなります。
  • SELECT * FROM comment_tree ORDER BY level, id: この行は、CTEの結果セットを選択します。結果は、level(コメントの深さ)とid(コメントの順序)の昇順でソートされます。

このサンプルコードをどのように使用できますか?

このサンプルコードを、掲示板システムなどのアプリケーションで使用することができます。このコードを使用して、コメントスレッドを階層化された形式で表示することができます。

このサンプルコードを、以下の方法で改善することができます。

  • スレッドのネストレベルを制限する。
  • 特定のユーザーのコメントのみを表示する。



SQLにおける再帰クエリ:その他の方法

サブクエリ

再帰クエリを実装する最も単純な方法は、サブクエリを使用することです。サブクエリは、別のクエリを呼び出すことができるクエリです。再帰クエリを実装するには、以下の手順に従います。

  1. 外側クエリで、再帰呼び出しを行うサブクエリを定義します。
  2. サブクエリ内で、ベースケースを定義します。
  3. サブクエリ内で、再帰呼び出しを行います。
SELECT path, name, level
FROM (
  SELECT '/', '/', 0
  UNION ALL
  SELECT CONCAT(parent.path, child.name, '/'), child.name, parent.level + 1
  FROM directory AS child
  JOIN (
    SELECT '/', '/', 0
    UNION ALL
    SELECT CONCAT(parent.path, child.name, '/'), child.name, parent.level + 1
    FROM directory AS child
    JOIN directory_tree AS parent ON parent.path = SUBSTRING(child.path, 1, LENGTH(parent.path))
    WHERE child.path LIKE '%/%'
  ) AS parent ON parent.path = SUBSTRING(child.path, 1, LENGTH(parent.path))
  WHERE child.path LIKE '%/%'
) AS directory_tree
ORDER BY path;

カーソル

再帰クエリを実装するもう1つの方法は、カーソルを使用することです。カーソルは、データベース内のデータセットを繰り返し処理するためのメカニズムです。再帰クエリを実装するには、以下の手順に従います。

  1. カーソルを宣言します。
  2. ベースケースをチェックします。
  3. 再帰呼び出しを行います。
  4. 手順3と4を繰り返します。
DECLARE cursor_dir CURSOR FOR
  SELECT '/', '/', 0
  UNION ALL
  SELECT CONCAT(parent.path, child.name, '/'), child.name, parent.level + 1
  FROM directory AS child
  JOIN directory_tree AS parent ON parent.path = SUBSTRING(child.path, 1, LENGTH(parent.path))
  WHERE child.path LIKE '%/%';

OPEN cursor_dir;

FETCH cursor_dir INTO @path, @name, @level;

WHILE @path IS NOT NULL DO
  SELECT @path, @name, @level;

  IF @path LIKE '%/%' THEN
    FETCH cursor_dir INTO @path, @name, @level;
  ELSE
    LEAVE;
  END IF;
END WHILE;

CLOSE cursor_dir;

ストアドプロシージャ

  1. ストアドプロシージャを作成します。
CREATE PROCEDURE get_directory_tree()
BEGIN
  DECLARE cursor_dir CURSOR FOR
    SELECT '/', '/', 0
    UNION ALL
    SELECT CONCAT(parent.path, child.name, '/'), child.name, parent.level + 1
    FROM directory AS child
    JOIN directory_tree AS parent ON parent.path = SUBSTRING(child.path, 1, LENGTH(parent.path))
    WHERE child.path LIKE '%/%';

  OPEN cursor_dir;

  FETCH cursor_dir INTO @path, @name, @level;

  WHILE @path IS NOT NULL DO
    SELECT @path, @name, @level;

    IF @path LIKE '%/%' THEN
      FETCH cursor_dir INTO @path, @name, @level;
    ELSE
      LEAVE;
    END IF;
  END WHILE;

  CLOSE cursor_dir;
END PROCEDURE;

CALL get_directory_tree();

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sql recursion mariadb


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