マルチINSERT文とINSERT ... SELECT文を使いこなす:MySQL複数テーブル挿入の極意

2024-04-28

MySQLで複数のテーブルに挿入する方法(データベースの正規化を踏まえて)

MySQLで複数のテーブルにデータを挿入する場合、データベースの正規化を意識することが重要です。正規化とは、データの冗長性を排除して整合性を保つために、データベース構造を最適化する手法です。正規化が適切に行われていないと、データ更新や検索の効率が低下したり、データの整合性が損なわれたりする可能性があります。

複数のテーブルに挿入する場合

複数のテーブルにデータを挿入する場合、以下の2つの方法があります。

  1. INSERT文を複数回実行する
  2. マルチINSERT文を使用する

最も基本的な方法は、INSERT文を複数回実行することです。各テーブルに挿入するデータをそれぞれ記述したINSERT文を用意し、順番に実行します。

-- ユーザー情報テーブルに挿入
INSERT INTO users (user_id, name, email)
VALUES (1, '田中 太郎', '[email protected]');

-- 注文情報テーブルに挿入
INSERT INTO orders (order_id, user_id, product_id, quantity)
VALUES (1, 1, 1, 10);

複数のテーブルにデータを挿入する場合、マルチINSERT文を使用すると、1回のINSERT文で複数のテーブルにデータを挿入することができます。マルチINSERT文には、以下の2種類があります。

  • INSERT ... SELECT文
  • VALUES句の複数行指定

INSERT ... SELECT文は、SELECT句で取得したデータを、INSERT句で指定したテーブルに挿入します。

INSERT INTO orders (order_id, user_id, product_id, quantity)
SELECT
  1,
  u.user_id,
  p.product_id,
  10
FROM users AS u
INNER JOIN products AS p
ON u.user_id = 1
AND p.product_id = 1;

VALUES句に複数の行を指定することで、複数のレコードを挿入することができます。

INSERT INTO orders (order_id, user_id, product_id, quantity)
VALUES
  (1, 1, 1, 10),
  (2, 2, 2, 20);

正規化を考慮した挿入

正規化の原則

正規化には、以下の3つの原則があります。

  • 第一正規化(1NF)
    • 各行には、1つの主キー列が存在する
    • 列の値は原子論的である
  • 第二正規化(2NF)

以下に、正規化されていないデータベースと、正規化されたデータベースの例を示します。

正規化されていないデータベース

CREATE TABLE orders (
  order_id INT PRIMARY KEY,
  user_id INT,
  product_id INT,
  quantity INT,
  product_name VARCHAR(255),
  user_name VARCHAR(255)
);
CREATE TABLE users (
  user_id INT PRIMARY KEY,
  name VARCHAR(255),
  email VARCHAR(255)
);

CREATE TABLE products (
  product_id INT PRIMARY KEY,
  name VARCHAR(255),
  price DECIMAL(10,2)
);

CREATE TABLE orders (
  order_id INT PRIMARY KEY,
  user_id INT,
  product_id INT,
  quantity INT,
  FOREIGN KEY (user_id) REFERENCES users(user_id),
  FOREIGN KEY (product_id) REFERENCES products(product_id)
);

正規化を行うことで、以下の利点が得られます。

  • データ更新の効率化
  • データ検索の効率化
    • 不要な結合を排除できる
  • データ整合性の向上
    • データの更新矛盾が起きにくくなる

**まとめ




以下に、MySQLで複数のテーブルにデータを挿入する際のサンプルコードを示します。

-- ユーザー情報テーブルに挿入
INSERT INTO users (user_id, name, email)
VALUES (1, '田中 太郎', '[email protected]');

-- 注文情報テーブルに挿入
INSERT INTO orders (order_id, user_id, product_id, quantity)
VALUES (1, 1, 1, 10);
INSERT INTO orders (order_id, user_id, product_id, quantity)
SELECT
  1,
  u.user_id,
  p.product_id,
  10
FROM users AS u
INNER JOIN products AS p
ON u.user_id = 1
AND p.product_id = 1;
INSERT INTO orders (order_id, user_id, product_id, quantity)
VALUES
  (1, 1, 1, 10),
  (2, 2, 2, 20);

以下のコードは、正規化されたデータベースにデータを挿入する例です。

-- ユーザー情報テーブルに挿入
INSERT INTO users (user_id, name, email)
VALUES (1, '田中 太郎', '[email protected]');

-- 商品情報テーブルに挿入
INSERT INTO products (product_id, name, price)
VALUES (1, '商品A', 1000);

-- 注文情報テーブルに挿入
INSERT INTO orders (order_id, user_id, product_id, quantity)
VALUES (1, 1, 1, 10);

説明

上記のコードでは、まずusersテーブルにユーザー情報、productsテーブルに商品情報、ordersテーブルに注文情報を挿入しています。

  • usersテーブルには、ユーザーID、名前、メールアドレスを格納します。
  • productsテーブルには、商品ID、商品名、価格を格納します。
  • ordersテーブルには、注文ID、ユーザーID、商品ID、数量を格納します。

ordersテーブルには、ユーザーIDと商品IDの外来キー制約を設定することで、usersテーブルとproductsテーブルとのリレーションを定義しています。

上記は、MySQLで複数のテーブルにデータを挿入する際の基本的な方法と、正規化を考慮した挿入方法の例です。具体的な状況に合わせて、適切な方法を選択してください。




上記で紹介した方法以外にも、MySQLで複数のテーブルにデータを挿入する方法はいくつかあります。

ストアドプロシージャは、データベースに保存されたSQLプログラムです。複数のINSERT文を含むストアドプロシージャを作成し、それを呼び出すことで、複数のテーブルにデータを挿入することができます。

INSERT ... ON DUPLICATE KEY UPDATE文は、レコードが存在する場合に更新処理を実行するINSERT文です。既存のレコードに新しいデータを追加したり、既存のデータを更新したりすることができます。

INSERT ... TRIGGERは、INSERT文の実行時に自動的にトリガーを実行するINSERT文です。トリガーを使用して、別のテーブルにデータを挿入したり、その他の処理を実行したりすることができます。

各方法の利点と欠点

方法利点欠点
INSERT文を複数回実行するシンプルでわかりやすいデータ挿入の効率が低い
マルチINSERT文を使用するデータ挿入の効率が高い複雑なクエリが書けない場合がある
ストアドプロシージャを使用するコードの再利用性が高いメンテナンスが複雑になる
INSERT ... ON DUPLICATE KEY UPDATE文を使用する既存のレコードを更新しやすい複雑な更新処理が書けない場合がある
INSERT ... TRIGGERを使用する自動処理に適しているトリガーの設計が複雑になる

MySQLで複数のテーブルにデータを挿入する方法はいくつかあります。それぞれの方法の利点と欠点を理解し、具体的な状況に合わせて適切な方法を選択してください。


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