主键とIDの徹底解説:SQL Serverデータベースにおける違いと使い分け

2024-05-18

SQL Serverにおける主キーとIDの違い:詳細解説

SQL Serverデータベースにおいて、主キーとIDはどちらもレコードを識別するために使用される重要な概念ですが、それぞれ異なる役割と特性を持っています。 この記事では、主キーとIDの定義、それぞれの役割と特性、そして適切な使い分けについて詳しく解説します。

主キーとは

主キーは、テーブル内の各レコードを 一意に識別する 列または列の組み合わせです。 主キーは次の特性を持ちます。

  • 一意性: 同じテーブル内に同じ主キー値を持つレコードは存在できません。
  • NULL値禁止: 主キー列はNULL値を持つことができません。 すべてのレコードに主キー値が設定されている必要があります。
  • インデックス: 主キーには自動的にインデックスが作成されます。 これにより、主キーによる検索やデータ操作のパフォーマンスが向上します。

IDとは

IDは、レコードを 簡単に参照 するために使用される列です。 主キーとは異なり、IDは次の特性を持つ場合があります。

  • 一意性: 必ずしも一意である必要はありません。 同じテーブル内に同じID値を持つレコードが存在する可能性があります。
  • NULL値: NULL値を持つことが許可されます。
  • インデックス: 必ずしもインデックスが作成されるとは限りません。

主キーとIDの使い分け

一般的に、主キーは次の場合に使用されます。

  • 各レコードを確実に識別する必要がある場合
  • 他のテーブルとのリレーションシップを定義する場合
  • 高度なインデックス機能を利用する場合
  • レコードをわかりやすく参照する必要がある場合
  • 主キー以外の列でレコードを検索する場合
  • 外部システムとのデータ連携を行う場合

社員情報テーブルを例に考えてみましょう。

列名データ型制約説明
社員IDint主キー, NOT NULL社員を一意に識別するID
氏名varchar(50)NOT NULL社員の氏名
部署名varchar(50)NOT NULL社員の所属部署名
入社年月日dateNOT NULL社員の入社年月日

この例では、社員ID列が主キーとして定義されています。 これは、各社員を確実に識別し、他のテーブルとのリレーションシップを定義するために必要です。 一方、氏名列はIDとして使用することができます。 これは、社員を氏名で検索する場合などに便利です。

主キーとIDは、どちらもSQL Serverデータベースにおいて重要な役割を果たします。 主キーはレコードの一意性を保証し、データの整合性を保つために使用されます。 一方、IDはレコードをわかりやすく参照するために使用されます。 用途に応じて適切な列を主キーとIDに設定することが重要です。

補足情報

  • SQL Serverでは、自動的にID値を生成するIDENTITY列を使用することができます。 IDENTITY列は、主キーとして使用されることが多いです。
  • 主キーとID以外にも、代替キーユニークキーなどの制約を定義することができます。



CREATE TABLE Employees (
  EmployeeID int PRIMARY KEY IDENTITY(1,1),
  Name varchar(50) NOT NULL,
  Department varchar(50) NOT NULL,
  HireDate date NOT NULL
);

このコードでは、EmployeeID列が主キーとして定義されています。 これは、IDENTITY(1,1)オプションを使用しているため、自動的にID値が生成されます。 Name列はIDとして定義されていますが、主キーではありません。

以下のコードは、EmployeesテーブルのレコードをEmployeeIDNameで検索する例です。

SELECT * FROM Employees WHERE EmployeeID = 10;

SELECT * FROM Employees WHERE Name = '山田 太郎';

最初のコードは、EmployeeIDが10であるレコードをすべて返します。 2番目のコードは、Nameが「山田 太郎」であるレコードをすべて返します。




主キーとIDの代替手段

サロゲートキーは、人工的に生成された列で、レコードを一意に識別するために使用されます。 主キーとは異なり、サロゲートキーはテーブル内のエンティティを表す意味を持たないことが一般的です。

利点:

  • 常に一意性を保証できる
  • ビジネスロジックに依存しない
  • 主キーを変更する必要がない
  • 意味を持たない列を追加する必要がある
  • データベースの設計が複雑になる

例:

CREATE TABLE Orders (
  OrderID int PRIMARY KEY IDENTITY(1,1),
  CustomerID int NOT NULL,
  OrderDate date NOT NULL,
  -- ... その他の列
);

上記の例では、OrderID列がサロゲートキーとして使用されています。 この列は自動的に生成されるため、常に一意性を保証できます。

自然キー

自然キーは、テーブル内のエンティティを自然に識別する列または列の組み合わせです。 主キーと同様に、自然キーは一意性とNULL値禁止の制約を持つ必要があります。

  • エンティティをわかりやすく識別できる
  • NULL値を持つ可能性がある
CREATE TABLE Customers (
  CustomerID int PRIMARY KEY,
  FirstName varchar(50) NOT NULL,
  LastName varchar(50) NOT NULL,
  Email varchar(100) NOT NULL,
  -- ... その他の列
);

上記の例では、CustomerIDFirstNameLastName列の組み合わせが自然キーとして使用されています。 このキーは、顧客を一意に識別することができます。

クラスタ化インデックスは、テーブルの行を物理的に順序付けるインデックスです。 クラスタ化インデックスの最初の列は、暗黙的に主キーとして機能します。

  • 主キー制約よりも柔軟なインデックス構成が可能
  • 特定の列による検索パフォーマンスが向上する
  • 主キー制約と同じ制約を持つ必要はない
CREATE TABLE Products (
  ProductID int NOT NULL,
  ProductName varchar(100) NOT NULL,
  UnitPrice money NOT NULL,
  -- ... その他の列
)
CLUSTERED INDEX IX_Products_ProductID (ProductID);

上記の例では、ProductID列がクラスタ化インデックスの最初の列として定義されています。 このため、ProductID列は暗黙的に主キーとして機能します。

主キーとIDは、SQL Serverデータベースにおいてレコードを識別するために使用される重要な概念ですが、それぞれ異なる役割と特性を持っています。 状況に応じて適切な方法を選択することが重要です。

上記で紹介した代替手段は、それぞれの利点と欠点があるため、要件に応じて適切なものを選択する必要があります。


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