NULL許容列とコンポジット主キー: データベースエンジニアが知っておくべき10のこと

2024-04-03

コンポジット主キーにおけるNULL許容列の問題

問題点:

  1. 一意性の喪失:

    • 主キーは、レコードを一意に識別する役割を持ちます。
    • NULL許容列は、値が存在しないことを表すため、複数のレコードで同じNULL値を持つ可能性があります。
    • その結果、レコードの一意性が損なわれ、データの整合性が失われます。
  2. 外部キーとの関連付け:

    • 外部キーは、別のテーブルの主キーを参照する列です。
    • コンポジット主キーにNULL許容列が含まれる場合、外部キーとの関連付けが曖昧になります。
    • どのレコードがどのレコードを参照しているのかが分からなくなり、データの整合性が失われます。
  3. インデックスのパフォーマンス:

    • インデックスは、テーブル内のデータの検索速度を向上させるための構造です。
    • NULL許容列を含むインデックスは、効率的に機能せず、検索速度が低下します。

解決策:

  • コンポジット主キーには、NULL許容でない列のみを使用する。
  • NULL値を許容する必要がある場合は、代替の列を設けて、その列を主キーとして使用する。
  • サロゲートキーと呼ばれる、人工的に生成されるユニークな識別子を使用する。

例:

  • 顧客テーブルの主キーを顧客ID氏名のコンポジット主キーにする場合、氏名列はNULL許容ではないようにする。

補足:

  • 上記の問題点は、データベースの種類や設定によって異なる場合があります。
  • 特定のデータベース環境における詳細については、データベースのマニュアルやドキュメントを参照してください。



-- テーブル作成
CREATE TABLE Customers (
  CustomerID INT NOT NULL AUTO_INCREMENT,
  FirstName VARCHAR(50) NOT NULL,
  LastName VARCHAR(50) NOT NULL,
  PRIMARY KEY (CustomerID)
);

-- データ挿入
INSERT INTO Customers (FirstName, LastName) VALUES ('John', 'Doe');
INSERT INTO Customers (FirstName, LastName) VALUES ('Jane', 'Doe');

-- NULL値の挿入 (エラーが発生)
-- INSERT INTO Customers (FirstName, LastName) VALUES (NULL, 'Doe');

-- サロゲートキーを使用したテーブル作成
CREATE TABLE Orders (
  OrderID INT NOT NULL AUTO_INCREMENT,
  CustomerID INT NOT NULL,
  OrderDate DATETIME NOT NULL,
  PRIMARY KEY (OrderID),
  FOREIGN KEY (CustomerID) REFERENCES Customers (CustomerID)
);

-- データ挿入
INSERT INTO Orders (CustomerID, OrderDate) VALUES (1, '2024-04-03');
INSERT INTO Orders (CustomerID, OrderDate) VALUES (2, '2024-04-03');

ポイント:

  • Customersテーブルの主キーはCustomerID列のみで、FirstName列はNULL許容ではない。
  • Ordersテーブルの主キーはOrderID列で、CustomerID列は外部キーとしてCustomersテーブルを参照する。
  • OrdersテーブルのCustomerID列はNULL許容ではない。

このコードは、コンポジット主キーとNULL許容列の使用方法を理解するのに役立ちます。




コンポジット主キーにおけるNULL許容列の代替方法

サロゲートキーの使用:

サロゲートキーとは、人工的に生成されるユニークな識別子です。データベースによって自動的に生成されるAUTO_INCREMENT列などを使用できます。

-- テーブル作成
CREATE TABLE Customers (
  CustomerID INT NOT NULL AUTO_INCREMENT,
  FirstName VARCHAR(50) NOT NULL,
  LastName VARCHAR(50) NOT NULL,
  PRIMARY KEY (CustomerID)
);

-- データ挿入
INSERT INTO Customers (FirstName, LastName) VALUES ('John', 'Doe');
INSERT INTO Customers (FirstName, 'Jane', LastName) VALUES ('Doe');
  • 主キーはCustomerID列のみで、FirstName列とLastName列はNULL許容ではない。
  • サロゲートキーを使用することで、一意性を保証し、NULL値の問題を回避できます。

複合インデックスは、複数の列で構成されるインデックスです。NULL許容列を含む複合インデックスを作成することで、検索速度を向上させることができます。

-- インデックス作成
CREATE INDEX idx_Customers_FirstName_LastName ON Customers (FirstName, LastName);
  • インデックスは、FirstName列とLastName列の両方を含む。
  • NULL値を含むレコードもインデックスに含めることで、検索速度を向上させることができます。

アプリケーションレベルで、NULL値を許容する列の入力チェックを行うことで、データの整合性を保つことができます。

def create_customer(first_name, last_name):
  if first_name is None or last_name is None:
    raise ValueError("First name and last name cannot be null.")

  # データベースへの挿入処理

  • create_customer()関数は、first_namelast_nameがNULLかどうかをチェックする。
  • NULL値が検出された場合は、エラーを発生させる。

NULL許容列にデフォルト値を設定することで、NULL値による問題を回避することができます。

-- テーブル作成
CREATE TABLE Customers (
  CustomerID INT NOT NULL AUTO_INCREMENT,
  FirstName VARCHAR(50) NOT NULL DEFAULT '',
  LastName VARCHAR(50) NOT NULL DEFAULT '',
  PRIMARY KEY (CustomerID)
);
  • FirstName列とLastName列にデフォルト値として空文字を設定する。
  • これにより、NULL値が発生する可能性を低減できます。

どの方法を選択するかは、それぞれの状況によって異なります。 サロゲートキーの使用は、最も安全で汎用性の高い方法です。複合インデックスの使用は、検索速度を向上させるのに役立ちます。アプリケーションレベルでの制御は、データの整合性を保つために必要です。NULL許容列のデフォルト値の設定は、NULL値による問題を回避するのに役立ちます。


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