NULL許容列とコンポジット主キー: データベースエンジニアが知っておくべき10のこと
コンポジット主キーにおけるNULL許容列の問題
問題点:
-
一意性の喪失:
- 主キーは、レコードを一意に識別する役割を持ちます。
- NULL許容列は、値が存在しないことを表すため、複数のレコードで同じNULL値を持つ可能性があります。
- その結果、レコードの一意性が損なわれ、データの整合性が失われます。
-
外部キーとの関連付け:
- 外部キーは、別のテーブルの主キーを参照する列です。
- コンポジット主キーにNULL許容列が含まれる場合、外部キーとの関連付けが曖昧になります。
- どのレコードがどのレコードを参照しているのかが分からなくなり、データの整合性が失われます。
-
インデックスのパフォーマンス:
- インデックスは、テーブル内のデータの検索速度を向上させるための構造です。
- NULL許容列を含むインデックスは、効率的に機能せず、検索速度が低下します。
解決策:
- コンポジット主キーには、NULL許容でない列のみを使用する。
- NULL値を許容する必要がある場合は、代替の列を設けて、その列を主キーとして使用する。
- サロゲートキーと呼ばれる、人工的に生成されるユニークな識別子を使用する。
例:
- 顧客テーブルの主キーを
顧客ID
と氏名
のコンポジット主キーにする場合、氏名
列はNULL許容ではないようにする。
補足:
- 上記の問題点は、データベースの種類や設定によって異なる場合があります。
- 特定のデータベース環境における詳細については、データベースのマニュアルやドキュメントを参照してください。
-- テーブル作成
CREATE TABLE Customers (
CustomerID INT NOT NULL AUTO_INCREMENT,
FirstName VARCHAR(50) NOT NULL,
LastName VARCHAR(50) NOT NULL,
PRIMARY KEY (CustomerID)
);
-- データ挿入
INSERT INTO Customers (FirstName, LastName) VALUES ('John', 'Doe');
INSERT INTO Customers (FirstName, LastName) VALUES ('Jane', 'Doe');
-- NULL値の挿入 (エラーが発生)
-- INSERT INTO Customers (FirstName, LastName) VALUES (NULL, 'Doe');
-- サロゲートキーを使用したテーブル作成
CREATE TABLE Orders (
OrderID INT NOT NULL AUTO_INCREMENT,
CustomerID INT NOT NULL,
OrderDate DATETIME NOT NULL,
PRIMARY KEY (OrderID),
FOREIGN KEY (CustomerID) REFERENCES Customers (CustomerID)
);
-- データ挿入
INSERT INTO Orders (CustomerID, OrderDate) VALUES (1, '2024-04-03');
INSERT INTO Orders (CustomerID, OrderDate) VALUES (2, '2024-04-03');
ポイント:
Customers
テーブルの主キーはCustomerID
列のみで、FirstName
列はNULL許容ではない。Orders
テーブルの主キーはOrderID
列で、CustomerID
列は外部キーとしてCustomers
テーブルを参照する。Orders
テーブルのCustomerID
列はNULL許容ではない。
このコードは、コンポジット主キーとNULL許容列の使用方法を理解するのに役立ちます。
コンポジット主キーにおけるNULL許容列の代替方法
サロゲートキーの使用:
サロゲートキーとは、人工的に生成されるユニークな識別子です。データベースによって自動的に生成されるAUTO_INCREMENT
列などを使用できます。
-- テーブル作成
CREATE TABLE Customers (
CustomerID INT NOT NULL AUTO_INCREMENT,
FirstName VARCHAR(50) NOT NULL,
LastName VARCHAR(50) NOT NULL,
PRIMARY KEY (CustomerID)
);
-- データ挿入
INSERT INTO Customers (FirstName, LastName) VALUES ('John', 'Doe');
INSERT INTO Customers (FirstName, 'Jane', LastName) VALUES ('Doe');
- 主キーは
CustomerID
列のみで、FirstName
列とLastName
列はNULL許容ではない。 - サロゲートキーを使用することで、一意性を保証し、NULL値の問題を回避できます。
複合インデックスは、複数の列で構成されるインデックスです。NULL許容列を含む複合インデックスを作成することで、検索速度を向上させることができます。
-- インデックス作成
CREATE INDEX idx_Customers_FirstName_LastName ON Customers (FirstName, LastName);
- インデックスは、
FirstName
列とLastName
列の両方を含む。 - NULL値を含むレコードもインデックスに含めることで、検索速度を向上させることができます。
アプリケーションレベルで、NULL値を許容する列の入力チェックを行うことで、データの整合性を保つことができます。
def create_customer(first_name, last_name):
if first_name is None or last_name is None:
raise ValueError("First name and last name cannot be null.")
# データベースへの挿入処理
create_customer()
関数は、first_name
とlast_name
がNULLかどうかをチェックする。- NULL値が検出された場合は、エラーを発生させる。
NULL許容列にデフォルト値を設定することで、NULL値による問題を回避することができます。
-- テーブル作成
CREATE TABLE Customers (
CustomerID INT NOT NULL AUTO_INCREMENT,
FirstName VARCHAR(50) NOT NULL DEFAULT '',
LastName VARCHAR(50) NOT NULL DEFAULT '',
PRIMARY KEY (CustomerID)
);
FirstName
列とLastName
列にデフォルト値として空文字を設定する。- これにより、NULL値が発生する可能性を低減できます。
どの方法を選択するかは、それぞれの状況によって異なります。 サロゲートキーの使用は、最も安全で汎用性の高い方法です。複合インデックスの使用は、検索速度を向上させるのに役立ちます。アプリケーションレベルでの制御は、データの整合性を保つために必要です。NULL許容列のデフォルト値の設定は、NULL値による問題を回避するのに役立ちます。
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