階層的なデータ構造を表現するPostgreSQLの継承テーブル

2024-04-10

PostgreSQLにおける継承テーブルの使用タイミング

PostgreSQLでは、テーブル継承機能を使用して、テーブル間で共通する属性や制約を定義することができます。これは、コードの冗長性を減らし、データベーススキーマの保守性を向上させるのに役立ちます。

継承テーブルを使用するタイミング

継承テーブルは、以下の状況で役立ちます。

  • 共通の属性を持つテーブル

複数のテーブルで共通する属性がある場合、親テーブルにその属性を定義し、子テーブルはその親テーブルを継承することで、属性の重複を避けることができます。

例:

階層的なデータ構造を表現する場合、継承テーブルを使用して、親子の関係を定義することができます。

将来的にテーブルの拡張性を考慮する場合、継承テーブルを使用して、新しい属性や制約を容易に追加することができます。

  • 商品 テーブルに、将来的に 販売価格在庫数 などの属性を追加する必要がある場合、
  • 商品詳細 という子テーブルを作成し、そこにこれらの属性を定義することで、商品 テーブルを拡張することができます。

継承テーブルの注意点

  • 継承テーブルを使用する際には、以下の点に注意する必要があります。
  • 子テーブルは親テーブルのすべての属性を継承するため、子テーブルにのみ必要な属性を定義すると、データ冗長が発生する可能性があります。
  • 親テーブルのスキーマを変更すると、子テーブルにも影響を与えるため、変更には注意が必要です。
  • 複雑なスキーマになると、理解や管理が難しくなる可能性があります。



共通属性を持つテーブル

-- 親テーブル: 個人
CREATE TABLE person (
  id serial NOT NULL PRIMARY KEY,
  name text NOT NULL,
  address text NOT NULL,
  phone_number text NOT NULL
);

-- 子テーブル: 社員
CREATE TABLE employee (
  id serial NOT NULL PRIMARY KEY,
  department text NOT NULL,
  salary integer NOT NULL,
  -- 親テーブルから継承
  INHERITS (person)
);

-- 子テーブル: 顧客
CREATE TABLE customer (
  id serial NOT NULL PRIMARY KEY,
  customer_type text NOT NULL,
  -- 親テーブルから継承
  INHERITS (person)
);

階層的なデータ構造

-- 親テーブル: カテゴリ
CREATE TABLE category (
  id serial NOT NULL PRIMARY KEY,
  name text NOT NULL
);

-- 子テーブル: サブカテゴリ
CREATE TABLE subcategory (
  id serial NOT NULL PRIMARY KEY,
  category_id integer NOT NULL REFERENCES category(id),
  name text NOT NULL,
  -- 親テーブルから継承
  INHERITS (category)
);

テーブルの拡張性

-- 親テーブル: 商品
CREATE TABLE product (
  id serial NOT NULL PRIMARY KEY,
  name text NOT NULL,
  description text NOT NULL
);

-- 子テーブル: 商品詳細
CREATE TABLE product_detail (
  id serial NOT NULL PRIMARY KEY,
  product_id integer NOT NULL REFERENCES product(id),
  price integer NOT NULL,
  quantity integer NOT NULL,
  -- 親テーブルから継承
  INHERITS (product)
);



継承テーブル以外の方法

ビューは、複数のテーブルのデータを結合して、あたかも一つのテーブルのように扱うことができる機能です。

CREATE VIEW vw_person AS
SELECT *
FROM employee
UNION ALL
SELECT *
FROM customer;

抽象データ型は、データ型とそれに関連する操作をまとめたものです。

CREATE TYPE person AS (
  name text,
  address text,
  phone_number text
);

CREATE TABLE employee (
  id serial NOT NULL PRIMARY KEY,
  department text NOT NULL,
  salary integer NOT NULL,
  person person
);

CREATE TABLE customer (
  id serial NOT NULL PRIMARY KEY,
  customer_type text NOT NULL,
  person person
);

トリガーは、特定の操作が行われた際に、自動的に別の操作を実行する機能です。

CREATE TRIGGER update_person_address
BEFORE UPDATE ON person
FOR EACH ROW
BEGIN
  UPDATE customer
  SET address = NEW.address
  WHERE customer.person_id = OLD.id;
END;
  • 共通属性が少なく、変更頻度が少ない場合は、ビューが適しています。
  • 共通属性が多く、複雑な操作が必要な場合は、抽象データ型が適しています。
  • データの整合性を保つ必要がある場合は、トリガーが適しています。

継承テーブルは、これらの方法と組み合わせて使用することもできます。


postgresql


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