MySQLで重複レコードを賢く処理!INSERT INTO ... SELECT FROM ... ON DUPLICATE KEY UPDATEのしくみとサンプルコード

2024-06-05

MySQLのINSERT INTO ... SELECT FROM ... ON DUPLICATE KEY UPDATE構文は、データ挿入と更新を効率的に行うための便利な機能です。この構文は、挿入しようとするデータが既存のレコードと重複する場合、既存レコードを更新する動作を行います。これにより、データの整合性を保ちながら、重複データの挿入を防ぐことができます。

構文

INSERT INTO table_name (column1, column2, ...)
SELECT value1, value2, ...
FROM table_name2
ON DUPLICATE KEY UPDATE
column1 = new_value1,
column2 = new_value2,
...;

説明

  • table_name: 挿入先のテーブル名
  • column1, column2: 挿入する列名
  • value1, value2: 挿入する値
  • column1 = new_value1, column2 = new_value2: 重複レコードが存在する場合に更新する列名と値

次の例では、customersテーブルにデータが存在する場合、email列が一致するレコードを更新し、存在しない場合は新しいレコードを挿入します。

INSERT INTO customers (email, name, address)
SELECT email, name, address
FROM new_customers
ON DUPLICATE KEY UPDATE
name = new_customers.name,
address = new_customers.address;

注意事項

  • ON DUPLICATE KEY UPDATE句は、UNIQUEインデックスまたはPRIMARY KEYに重複するレコードが存在する場合のみ実行されます。
  • INSERT INTO ... SELECT FROM ...構文と組み合わせて使用する場合、SELECT句で取得した列名がINSERT句で指定した列名と一致する必要があります。
  • ON DUPLICATE KEY UPDATE句で更新する列は、INSERT句で挿入する列とは異なる場合があります。

メリット

  • データの整合性を保ちながら、重複データの挿入を防ぐことができる
  • データ挿入と更新を1つのステートメントで実行できるため、効率的である
  • 複雑な条件分岐を記述する必要がない
  • SELECT句で取得したデータ量が多い場合、処理時間が長くなる可能性がある
  • 重複レコードの更新処理が発生するため、パフォーマンスに影響を与える可能性がある

INSERT INTO ... SELECT FROM ... ON DUPLICATE KEY UPDATE構文は、データ挿入と更新を効率的に行うための便利な機能です。データの整合性を保ちながら、重複データの挿入を防ぎたい場合に有効です。ただし、処理時間やパフォーマンスへの影響に注意する必要があります。




    INSERT INTO customers (email, name, address)
    SELECT email, name, address
    FROM new_customers
    ON DUPLICATE KEY UPDATE
    name = new_customers.name,
    address = new_customers.address;
    

    例2:商品在庫の更新

    この例では、productsテーブルに商品情報が存在する場合、product_id列が一致するレコードの在庫数を更新します。

    INSERT INTO products (product_id, quantity)
    SELECT product_id, quantity
    FROM new_products
    ON DUPLICATE KEY UPDATE
    quantity = quantity + new_products.quantity;
    

    例3:注文履歴の挿入と更新

    INSERT INTO orders (order_id, customer_id, product_id, status)
    SELECT order_id, customer_id, product_id, status
    FROM new_orders
    ON DUPLICATE KEY UPDATE
    status = new_orders.status;
    

    これらの例はあくまでも基本的な使用方法を示したものです。実際の使用例では、状況に合わせてクエリを調整する必要があります。

    補足

    • サンプルコードでは、ON DUPLICATE KEY UPDATE句で更新する列のみを記述しています。すべての列を更新したい場合は、*ワイルドカードを使用できます。



      MySQLにおける「INSERT INTO ... SELECT FROM ... ON DUPLICATE KEY UPDATE」の代替方法

      MERGE句を使用する

      MySQL 5.6以降では、MERGE句を使用して、挿入と更新を1つのステートメントで実行することができます。MERGE句は、INSERT句とUPDATE句の機能を組み合わせたものであり、より柔軟なデータ操作が可能です。

      MERGE INTO table_name AS t
      USING table_name2 AS s
      ON t.id = s.id
      WHEN MATCHED THEN
      UPDATE SET
      t.column1 = s.column1,
      t.column2 = s.column2
      ...
      WHEN NOT MATCHED THEN
      INSERT (column1, column2, ...)
      VALUES (value1, value2, ...);
      
      • id: 結合条件となる列名
      MERGE INTO customers AS t
      USING new_customers AS s
      ON t.email = s.email
      WHEN MATCHED THEN
      UPDATE SET
      t.name = s.name,
      t.address = s.address
      WHEN NOT MATCHED THEN
      INSERT (email, name, address)
      VALUES (s.email, s.name, s.address);
      
      • INSERT句とUPDATE句を1つのステートメントで記述できるため、可読性が高い
      • ON DUPLICATE KEY UPDATE句よりも柔軟なデータ操作が可能
      • MERGE句はINSERT INTO ... SELECT FROM ... ON DUPLICATE KEY UPDATE構文よりも新しい機能であり、すべてのバージョンのMySQLで利用できるわけではない

      2つのステートメントに分けて記述する

      INSERT句とUPDATE句を2つのステートメントに分けて記述することもできます。この方法は、シンプルな処理の場合に有効です。

      INSERT INTO customers (email, name, address)
      SELECT email, name, address
      FROM new_customers;
      
      UPDATE customers
      SET name = new_customers.name,
      address = new_customers.address
      WHERE email IN (SELECT email FROM new_customers);
      
      • 構文がシンプルでわかりやすい
      • 2つのステートメントが必要になるため、可読性がやや低い
      • INSERT句とUPDATE句をトランザクションで実行する必要がある

      ストアドプロシージャを使用して、挿入と更新をカプセル化することができます。ストアドプロシージャを使用すると、コードを再利用しやすくなり、可読性も向上します。

      CREATE PROCEDURE update_or_insert_customer(
        IN customer_email VARCHAR(255),
        IN customer_name VARCHAR(255),
        IN customer_address VARCHAR(255)
      )
      BEGIN
        INSERT INTO customers (email, name, address)
        VALUES (customer_email, customer_name, customer_address)
        ON DUPLICATE KEY UPDATE
        name = customer_name,
        address = customer_address;
      END;
      

      使用方法

      CALL update_or_insert_customer('[email protected]', 'John Doe', '123 Main Street');
      
      • コードを再利用しやすい
      • 可読性が向上する
      • ストアドプロシージャの作成と管理が必要

      最適な方法の選択

      どの方法が最適かは、状況によって異なります。以下の点を考慮して選択してください。

      • データ操作の複雑性
      • 使用しているMySQLのバージョン
      • コードの可読性
      • メンテナンス性
      • [MySQL 8.4 Reference Manual :: 13.2.11 MERGE Statement](https://

      mysql insert-update


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