UPDATE OUTPUT句の代替方法 - SQL Serverで変数に結果を格納

2024-05-17

SQL ServerにおけるUPDATE OUTPUTを使用した変数への格納

SQL ServerのUPDATEステートメントには、OUTPUT句と呼ばれるオプション機能があります。この機能を使用すると、更新操作の影響を受けた行のデータを、変数に格納することができます。これにより、更新されたデータにアクセスしたり、ログ記録や監査目的で使用したりすることが可能になります。

構文

UPDATE table_name
   SET column1 = value1,
       column2 = value2
   WHERE condition
   OUTPUT (
       column1,
       column2,
       ...
   )
   INTO @variable1,
       @variable2,
       ...;

説明

  • table_name: 更新対象のテーブル名
  • column1, column2: 更新する列名
  • value1, value2: 更新後の値
  • condition: 更新対象の行を絞り込む条件
  • @variable1, @variable2: 更新されたデータ格納用の変数

UPDATE Customers
   SET LastName = 'Smith',
       FirstName = 'John'
   WHERE CustomerID = 123
   OUTPUT (
       CustomerID,
       LastName,
       FirstName
   )
   INTO @customerID,
       @lastName,
       @firstName;

SELECT @customerID, @lastName, @firstName;

この例では、CustomersテーブルのCustomerID 123のレコードのLastNameFirstNameを更新し、更新されたデータを変数@customerID@lastName@firstNameに格納します。その後、これらの変数の値をSELECTステートメントで選択しています。

補足

  • OUTPUT句は、INSERT、UPDATE、DELETEステートメントで使用できます。
  • OUTPUT句で指定できる列は、更新対象の列だけでなく、その他の列も指定できます。
  • 変数は、@記号で始まる必要があります。
  • 変数のデータ型は、OUTPUT句で指定した列のデータ型と一致する必要があります。

利点

  • 更新されたデータに簡単にアクセスできる
  • ログ記録や監査目的に役立つ
  • トリガーやストアドプロシージャで使用できる

注意点

  • OUTPUT句を使用すると、パフォーマンスが低下する可能性がある
  • OUTPUT句は、行バージョン列を含むことはできません



    CREATE TABLE Customers (
        CustomerID INT IDENTITY PRIMARY KEY,
        LastName VARCHAR(50) NOT NULL,
        FirstName VARCHAR(50) NOT NULL
    );
    
    INSERT INTO Customers (LastName, FirstName)
    VALUES ('Jones', 'David'),
           ('Williams', 'Mary'),
           ('Brown', 'Robert');
    
    DECLARE @log_file NVARCHAR(255) = 'C:\CustomersLog.txt';
    
    UPDATE Customers
       SET LastName = 'Johnson',
           FirstName = 'Peter'
       WHERE CustomerID = 2
       OUTPUT (
           CustomerID,
           OriginalLastName = LastName,
           OriginalFirstName = FirstName,
           NewLastName = 'Johnson',
           NewFirstName = 'Peter'
       )
       INTO @updatedCustomer;
    
    -- ログファイルに記録
    OPEN @log_file = READWRITE;
    WRITE @log_file;
    WRITE @log_file, 'Customer updated: ' + CONVERT(NVARCHAR(10), @updatedCustomer.CustomerID);
    WRITE @log_file, 'Original name: ' + @updatedCustomer.OriginalLastName + ', ' + @updatedCustomer.OriginalFirstName;
    WRITE @log_file, 'New name: ' + @updatedCustomer.NewLastName + ', ' + @updatedCustomer.NewFirstName;
    CLOSE @log_file;
    
    SELECT * FROM Customers;
    
    1. Customersテーブルを作成します。
    2. ログファイルへのパスを@log_file変数に格納します。
    3. CustomerID 2の顧客情報をJohnsonPeterに変更します。
    4. OUTPUT句を使用して、更新された顧客情報を変数@updatedCustomerに格納します。
    5. ログファイルを開き、更新された顧客情報とログメッセージを書き込みます。
    6. ログファイルを閉じます。

    このサンプルコードは、UPDATE OUTPUTを使用した変数への格納と、ログ記録の例をわかりやすく示しています。実際の運用では、必要に応じて修正や拡張を行ってください。




    UPDATE OUTPUT 以外の代替方法

    SELECT ステートメント

    DECLARE @updatedCustomerID INT;
    DECLARE @updatedLastName VARCHAR(50);
    DECLARE @updatedFirstName VARCHAR(50);
    
    UPDATE Customers
       SET LastName = 'Smith',
           FirstName = 'John'
       WHERE CustomerID = 123;
    
    SELECT @updatedCustomerID = CustomerID,
           @updatedLastName = LastName,
           @updatedFirstName = FirstName
    FROM Customers
    WHERE CustomerID = 123;
    
    SELECT @updatedCustomerID, @updatedLastName, @updatedFirstName;
    

    長所

    • シンプルでわかりやすい構文
    • OUTPUT 句よりもパフォーマンスが優れている場合がある

    短所

    • 2回クエリを実行する必要があるため、処理時間が長くなる可能性がある
    • ロックの問題が発生する可能性がある

    INSERT INTO ... SELECT ステートメント

    DECLARE @updatedCustomerID INT;
    DECLARE @updatedLastName VARCHAR(50);
    DECLARE @updatedFirstName VARCHAR(50);
    
    INSERT INTO #temp_table (CustomerID, LastName, FirstName)
    SELECT CustomerID, LastName, FirstName
    FROM Customers
    WHERE CustomerID = 123;
    
    UPDATE Customers
       SET LastName = 'Smith',
           FirstName = 'John'
       WHERE CustomerID = 123;
    
    SELECT TOP 1 *
    FROM #temp_table
    INTO @updatedCustomerID,
          @updatedLastName,
          @updatedFirstName;
    
    DROP TABLE #temp_table;
    
    SELECT @updatedCustomerID, @updatedLastName, @updatedFirstName;
    
    • ロックの問題が発生しにくい
    • #temp_table などの臨時テーブルを作成する必要がある
    • 複雑な構文になる可能性がある

    動的 SQL

    DECLARE @sql NVARCHAR(MAX);
    DECLARE @updatedCustomerID INT;
    DECLARE @updatedLastName VARCHAR(50);
    DECLARE @updatedFirstName VARCHAR(50);
    
    SET @sql = N'
    UPDATE Customers
       SET LastName = ''Smith'',
           FirstName = ''John''
       WHERE CustomerID = 123;
    
    SELECT CustomerID, LastName, FirstName
    INTO @updatedCustomerID,
          @updatedLastName,
          @updatedFirstName
    FROM Customers
    WHERE CustomerID = 123;
    ';
    
    EXEC sp_executesql @sql;
    
    SELECT @updatedCustomerID, @updatedLastName, @updatedFirstName;
    
    • 柔軟性が高く、複雑な更新操作にも対応できる
    • セキュリティ上のリスクがある

    トランザクション トリガー

    更新操作が行われた際に自動的にトリガーが実行され、更新されたデータをログテーブルなどに記録することができます。

    • コードを記述する必要がなく、メンテナンスが容易
    • 常に最新の情報が記録される
    • トリガーの作成と設定が必要
    • パフォーマンスに影響を与える可能性がある

    どの方法を選択するかは、状況によって異なります。シンプルな更新操作であれば、SELECTステートメントやINSERT INTO ... SELECTステートメントが適しています。処理速度が重要であれば、UPDATE OUTPUTよりもこれらの方法の方が優れている場合もあります。複雑な更新操作や常に最新の情報が必要な場合は、動的SQLやトランザクション トリガーを検討することができます。


      sql-server


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