SQLにおけるストアドプロシージャとユーザー定義関数の詳細比較:用途、戻り値、呼び出し方などを徹底解説
SQLにおけるストアドプロシージャとユーザー定義関数の違い
ストアドプロシージャとユーザー定義関数は、どちらもSQLデータベースでよく使用される機能ですが、それぞれ異なる目的と役割を持っています。 この記事では、それぞれの違いを分かりやすく説明します。
ストアドプロシージャ
主な用途
- ビジネスロジックをカプセル化し、アプリケーション開発を効率化する
- データベースへのアクセスを制御し、セキュリティを強化する
- 複雑な処理をモジュール化して、コードの可読性と保守性を向上させる
例
CREATE PROCEDURE 注文処理(
@顧客ID INT,
@商品ID INT,
@数量 INT
)
AS
BEGIN
-- 在庫チェック
IF NOT EXISTS(
SELECT * FROM 商品在庫
WHERE 商品ID = @商品ID AND 数量 >= @数量
)
BEGIN
RAISERROR('在庫不足です。', 16, 1, @商品ID);
RETURN;
END
-- 注文登録
INSERT INTO 注文 (顧客ID, 商品ID, 数量)
VALUES (@顧客ID, @商品ID, @数量);
-- 在庫更新
UPDATE 商品在庫
SET 数量 = 数量 - @数量
WHERE 商品ID = @商品ID;
END
ユーザー定義関数
ユーザー定義関数は、SQL式の中で使用できる独自の関数を作成するものです。 関数は、引数と呼ばれる入力値を受け取り、戻り値と呼ばれる出力を返します。 関数は、複雑な計算やデータ変換などの処理をカプセル化するために使用することができます。
- データベースに依存しない汎用的な処理を定義する
- 重複する処理を関数化して、コードの冗長性を排除する
- 複雑な計算やデータ変換を簡潔に記述し、コードの可読性を向上させる
CREATE FUNCTION 税込価格(
@価格 DECIMAL(10,2)
)
RETURNS DECIMAL(10,2)
AS
BEGIN
DECLARE @税込価格 DECIMAL(10,2);
SET @税込価格 = @価格 * 1.08;
RETURN @税込価格;
END
比較表
項目 | ストアドプロシージャ | ユーザー定義関数 |
---|---|---|
目的 | 複雑な処理をモジュール化し、データベース操作を制御する | 複雑な計算やデータ変換をカプセル化する |
戻り値 | 省略可能 | 必須 |
呼び出し方 | CALL ステートメントを使用 | SELECT ステートメントの中で使用 |
データベースアクセス | 可能 | 不可 |
トランザクション | サポート | サポートしない |
保守性 | コード変更が必要 | 関数定義を変更 |
ストアドプロシージャとユーザー定義関数は、どちらもSQLデータベースで役立つ機能ですが、それぞれ異なる目的と役割を持っています。 適切な機能を選択することで、データベースの開発と運用を効率化することができます。
- ストアドプロシージャとユーザー定義関数は、他のプログラミング言語と同様に、さまざまな設計手法やベストプラクティスを適用することができます。
- 上記の説明は、基本的な内容のみを抜粋しています。 詳細については、各データベースのドキュメントを参照してください。
CREATE PROCEDURE 注文処理(
@顧客ID INT,
@商品ID INT
)
AS
BEGIN
-- 顧客情報取得
DECLARE @顧客名 VARCHAR(50);
SELECT @顧客名 = 名前 FROM 顧客 WHERE 顧客ID = @顧客ID;
-- 商品情報取得
DECLARE @商品名 VARCHAR(50);
DECLARE @単価 DECIMAL(10,2);
SELECT @商品名 = 商品名, @単価 = 単価 FROM 商品 WHERE 商品ID = @商品ID;
-- 注文登録
INSERT INTO 注文 (顧客ID, 商品ID, 顧客名, 商品名, 単価)
VALUES (@顧客ID, @商品ID, @顧客名, @商品名, @単価);
-- 注文履歴登録
INSERT INTO 注文履歴 (顧客ID, 商品ID, 注文日)
VALUES (@顧客ID, @商品ID, GETDATE());
END
このストアドプロシージャは、以下の様にして呼び出すことができます。
CALL 注文処理(1, 101);
このユーザー定義関数は、税込価格を計算します。
CREATE FUNCTION 税込価格(
@価格 DECIMAL(10,2)
)
RETURNS DECIMAL(10,2)
AS
BEGIN
DECLARE @税込価格 DECIMAL(10,2);
SET @税込価格 = @価格 * 1.08;
RETURN @税込価格;
END
このユーザー定義関数は、以下の様にして使用することができます。
SELECT 税込価格(1000);
このコードは、1000円を税込価格に換算し、結果を返します。
説明
- ストアドプロシージャは、データベース操作を制御するために使用することができます。一方、ユーザー定義関数は、複雑な計算やデータ変換をカプセル化するために使用することができます。
- 上記の例は、SQL Server用のものです。他のデータベースでは、構文が異なる場合があります。
ビューは、データベース内の既存の表からデータを抽出し、仮想的な表として表示するものです。 ビューは、複雑なクエリを簡潔に記述するために使用することができます。
利点
- セキュリティ権限を付与することで、データアクセスを制御可能
- 既存の表を参照するため、データ更新の同期が容易
- ストアドプロシージャやユーザー定義関数よりもシンプルな構文
欠点
- 更新、挿入、削除などの操作は許可されていない
- 複雑な処理やデータ操作には不向き
CREATE VIEW 顧客注文 AS
SELECT
c.顧客名,
p.商品名,
o.数量,
o.注文日
FROM 顧客 c
JOIN 注文 o ON c.顧客ID = o.顧客ID
JOIN 商品 p ON p.商品ID = o.商品ID;
トリガー
トリガーは、データベース内の表に対する特定の操作が発生したときに自動的に実行される一連のSQLステートメントです。 データの整合性を保ち、監査追跡を行うために使用することができます。
- 監査追跡機能による不正行為の検出
- データ整合性の維持
- データ操作の自動化による業務効率の向上
- トリガーの実行によってパフォーマンスが低下する可能性がある
- 複雑なロジックを記述する場合、難易度が高い
CREATE TRIGGER 注文トリガー
AFTER INSERT ON 注文
FOR EACH ROW
BEGIN
INSERT INTO 注文履歴 (顧客ID, 商品ID, 注文日)
VALUES (NEW.顧客ID, NEW.商品ID, GETDATE());
END
マテリアライズドビュー
マテリアライズドビューは、データベース内の既存の表からデータを抽出し、定期的に更新される物理的な表として作成するものです。 ビューよりも高速なデータアクセスが可能で、複雑なクエリを実行する場合に役立ちます。
- 大規模なデータセットのクエリのパフォーマンスを向上
- オフラインでのデータ分析が可能
- ビューよりも高速なデータアクセス
- 更新元の表に変更があると、マテリアライズドビューを更新する必要がある
- ストレージ容量を占有する
CREATE MATERIALIZED VIEW 顧客注文_マテリアライズド AS
SELECT
c.顧客名,
p.商品名,
o.数量,
o.注文日
FROM 顧客 c
JOIN 注文 o ON c.顧客ID = o.顧客ID
JOIN 商品 p ON p.商品ID = o.商品ID;
SQL Server Common Table Expressions (CTE)
CTEは、一時的な結果セットを定義するための構文です。 複雑なクエリをより読みやすく、モジュール化するために使用することができます。
- CTE内部で一時変数を使用できる
- 繰り返し使用されるクエリを副問合せとして定義できる
- 複雑なクエリをより読みやすく、モジュール化できる
- 一部のデータベースでは CTE をサポートしていない
- SQL Server 2005以降でのみ利用可能
WITH 顧客注文 AS (
SELECT
c.顧客名,
p.商品名,
o.数量,
o.注文日
FROM 顧客 c
JOIN 注文 o ON c.顧客ID = o.顧客ID
JOIN 商品 p ON p.商品ID = o.商品ID
)
SELECT * FROM 顧客注文
WHERE 注文日 >= '2024-01-01';
動的SQL
動的SQLは、実行時に生成されるSQLステートメントを実行する機能です。 T-SQL変数を使用して、クエリを動的に構築することができます。
- パフォーマンスを向上させるためにクエリを最適化できる
- 汎用性の高いアプリケーションを開発できる
- 実行時に生成されるSQLステートメントを実行できる
- セキュリティ上のリスクがある
DECLARE @顧客ID INT;
SET @顧客ID = 1;
DECLARE @sql NVARCHAR(4000);
SET @sql = 'SELECT * FROM 顧客注文 WHERE
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