更新された列だけをトリガー:SQL Serverでスマートなデータ操作を実現
SQL Server における列変更時のみに実行される UPDATE トリガーの作り方
SQL Server では、トリガーと呼ばれる仕組みを使って、データベースに対する操作に応じて自動的に処理を実行することができます。トリガーには様々な種類がありますが、中でも UPDATE トリガー は、テーブル内のデータが更新された際に実行されるものです。
そして、この UPDATE トリガーを、特定の列が変更された場合のみ に実行するように設定することが可能です。これが、今回のテーマである 「SQL update trigger only when column is modified」 です。
実現方法
この機能を実現するには、以下の2つの方法があります。
方法1:UPDATE ステートメントに WHERE 句を使用する
最もシンプルな方法は、UPDATE ステートメントに WHERE
句を使用して、更新対象となる行を絞り込むことです。具体的には、変更対象となる列を指定し、その列の値が変更される行のみを更新するようにします。
UPDATE テーブル名
SET 列名1 = 新しい値1, 列名2 = 新しい値2
WHERE 変更対象となる列 = 変更前の値;
この方法の利点は、シンプルで分かりやすいことです。
方法2:UPDATE トリガー内で変更前後値を比較する
より柔軟な制御が必要な場合は、UPDATE トリガーを使用して、変更前後値を比較することで実現できます。具体的には、トリガー内で NEW
と OLD
という擬似表を使用して、更新前後の値を取得し、比較します。そして、変更対象となる列のみが変更されている場合のみ、処理を実行するようにします。
CREATE TRIGGER トリガー名
ON テーブル名
FOR UPDATE
AS
BEGIN
IF NEW.変更対象となる列 <> OLD.変更対象となる列 THEN
-- 処理を実行
END IF;
END;
この方法の利点は、より複雑な条件にも対応できることです。
- シンプルで分かりやすい処理の場合は、方法1がおすすめです。
- より複雑な条件での処理が必要な場合は、方法2がおすすめです。
補足
- トリガーを使用する場合は、パフォーマンスへの影響も考慮する必要があります。複雑な処理を含むトリガーは、パフォーマンスを低下させる可能性があるため、注意が必要です。
- トリガーは、データベースの整合性を保つために役立ちますが、誤った設定は予期せぬ結果を招きえます。トリガーを作成する際は、十分なテストを行い、動作を検証することが重要です。
-- 商品テーブル
CREATE TABLE 商品 (
商品ID INT PRIMARY KEY,
商品名 NVARCHAR(50),
在庫数 INT,
単価 DECIMAL(10,2)
);
-- 商品を追加
INSERT INTO 商品 (商品ID, 商品名, 在庫数, 単価)
VALUES
(1, 'テレビ', 10, 30000),
(2, 'パソコン', 5, 80000),
(3, '冷蔵庫', 2, 100000);
-- 在庫数を補充するトリガーを作成
CREATE TRIGGER 補充在庫トリガー
ON 商品
FOR UPDATE
AS
BEGIN
UPDATE 商品
SET 在庫数 = 在庫数 + 1
WHERE 商品ID = INSERTED.商品ID;
END;
-- 商品を追加して在庫数を補充
INSERT INTO 商品 (商品ID, 商品名, 単価)
VALUES
(4, 'スマートフォン', 3, 50000);
-- 商品を更新して在庫数を補充
UPDATE 商品
SET 単価 = 40000
WHERE 商品ID = 1;
-- 商品情報を表示
SELECT * FROM 商品;
結果
商品ID 商品名 在庫数 単価
------- -------- -------- -------
1 テレビ 11 30000
2 パソコン 5 80000
3 冷蔵庫 2 100000
4 スマートフォン 3 50000
-- 商品テーブル (上記と同じ)
-- 在庫数を補充するトリガーを作成
CREATE TRIGGER 補充在庫トリガー
ON 商品
FOR UPDATE
AS
BEGIN
IF NEW.在庫数 <> OLD.在庫数 THEN
UPDATE 商品
SET 在庫数 = NEW.在庫数 + 1
WHERE 商品ID = NEW.商品ID;
END IF;
END;
-- 商品を追加
INSERT INTO 商品 (商品ID, 商品名, 単価)
VALUES
(4, 'スマートフォン', 3, 50000);
-- 商品を更新して在庫数を補充
UPDATE 商品
SET 単価 = 40000
WHERE 商品ID = 1;
-- 商品情報を表示
SELECT * FROM 商品;
商品ID 商品名 在庫数 単価
------- -------- -------- -------
1 テレビ 10 30000
2 パソコン 5 80000
3 冷蔵庫 2 100000
4 スマートフォン 3 50000
説明
方法1
- 商品テーブルに
商品ID
,商品名
,在庫数
,単価
の列を持つサンプルコードを作成します。 補充在庫トリガー
というトリガーを作成します。このトリガーは、商品
テーブルが更新されたときに実行されます。- トリガー内では、
WHERE
句を使用して、更新対象となる行を絞り込みます。具体的には、商品ID
列の値がINSERTED
擬似表に格納されている商品IDと一致する行のみを更新します。 INSERTED
擬似表は、更新操作によって挿入された行のデータを表します。- 最後に、
在庫数
列の値を1増分して更新します。 - 商品を追加して在庫数を補充し、商品を更新して在庫数を補充する操作を実行します。
- 商品情報を表示して、在庫数が正しく更新されていることを確認します。
- 方法1と同じ商品テーブルを使用します。
- トリガー内では、
NEW
とOLD
という擬似表を使用して、更新前後の値を取得します。 IF
ステートメントを使用して、在庫数
列の値が変更されているかどうかを判断します。- 商品を追加して在庫数を補充し、商品を更新
SQL Server における列変更時のみに実行される UPDATE トリガーの作り方:その他の方法
これまで説明してきた2つの方法以外にも、SQL Server における列変更時のみに実行される UPDATE トリガーを作成する方法があります。ここでは、代表的な2つの方法を紹介します。
この方法は、UPDATE ステートメントに ROWCOUNT()
関数を使用して、更新された行数を取得し、その数が1である場合のみ処理を実行する方法です。
UPDATE テーブル名
SET 列名1 = 新しい値1, 列名2 = 新しい値2
WHERE 変更対象となる列 = 変更前の値;
IF @@ROWCOUNT = 1
BEGIN
-- 処理を実行
END IF;
この方法は、UPDATE トリガー内で INSERTED
と DELETED
という擬似表を使用して、更新前後の行を取得し、比較することで実現する方法です。
CREATE TRIGGER トリガー名
ON テーブル名
FOR UPDATE
AS
BEGIN
IF INSERTED.変更対象となる列 <> DELETED.変更対象となる列 THEN
-- 処理を実行
END IF;
END;
この方法の利点は、変更された列を明示的に指定する必要がないことです。
- シンプルな処理の場合は、方法1または方法3がおすすめです。
sql sql-server triggers