SQL Serverにおけるパーティション関数 COUNT() と DISTINCT の代替方法
SQL Serverにおけるパーティション関数 COUNT()
と DISTINCT
の併用
SQL Server 2008以降では、ウィンドウ関数 COUNT()
と DISTINCT
を組み合わせて、パーティションごとの個別値の個数 をカウントすることができます。これは、分析対象となるデータセットが膨大な場合に特に役立ちます。
この機能を活用することで、以下の操作が可能になります。
- 特定の列における個別値の個数を、グループごと、またはフレームごとに見つけ出す
- 重複する値を除いた件数を効率的に集計する
- サブクエリを使用せずに複雑な集計処理を実行する
構文
SELECT
column_name,
COUNT(DISTINCT column_name) OVER (PARTITION BY partition_column_1, partition_column_2, ...) AS distinct_count
FROM your_table;
例
社員テーブル employees
を例に考えてみましょう。このテーブルには、社員ID、名前、部署、入社年月などの情報が含まれています。
このテーブルで、部署ごとの個別社員数のカウントを取得するには、以下のクエリを実行します。
SELECT
department,
COUNT(DISTINCT employee_id) OVER (PARTITION BY department) AS distinct_employee_count
FROM employees;
このクエリは、各部署ごとに employee_id
の個別値をカウントし、distinct_employee_count
カラムとして結果セットに表示します。
PARTITION BY
句で指定する列は、集計対象となる列とは異なる列でも構いません。DISTINCT
キーワードは、COUNT()
関数内に直接記述します。- パーティション関数
COUNT()
は、集計処理のパフォーマンスを向上させるために役立ちます。 - サブクエリを使用するよりも効率的に処理を実行できます。
SalesOrderHeader
テーブル:SalesOrderID
:主キーCustomerID
:顧客ID
SalesOrderDetail
テーブル:OrderLineID
:注文明細行IDProductID
:商品ID
クエリ
SELECT
soh.CustomerID,
COUNT(DISTINCT sod.OrderLineID) OVER (PARTITION BY soh.CustomerID) AS distinct_order_lines
FROM SalesOrderHeader AS soh
JOIN SalesOrderDetail AS sod
ON soh.SalesOrderID = sod.SalesOrderID;
結果
このクエリは、CustomerID
と distinct_order_lines
の 2 つの列を含む結果セットを返します。distinct_order_lines
列には、各顧客の注文における個別注文明細行数が表示されます。
分析シナリオ
このクエリは、以下の分析シナリオに役立ちます。
- 各顧客が過去に注文した商品点数の把握
- 顧客ごとの注文アクティビティの分析
- 個別商品に対する需要の予測
- このクエリは、
SalesOrderHeader
テーブルとSalesOrderDetail
テーブルが適切に結合されていることを前提としています。 - 結合キーは
SalesOrderID
列です。 - パーティション関数
COUNT()
は、顧客ごとに集計処理を効率的に実行します。
最も基本的な方法は、サブクエリを使用して個別値をカウントすることです。
SELECT
partition_column_1,
partition_column_2,
(
SELECT
COUNT(DISTINCT column_name)
FROM your_table
WHERE partition_column_1 = outer_table.partition_column_1
AND partition_column_2 = outer_table.partition_column_2
) AS distinct_count
FROM your_table AS outer_table;
ROW_NUMBER() 関数と SUM() 関数を使用する
ROW_NUMBER()
関数と SUM()
関数を使用して、個別値を効率的にカウントする方法もあります。
SELECT
partition_column_1,
partition_column_2,
SUM(CASE WHEN ROW_NUMBER() OVER (PARTITION BY partition_column_1, partition_column_2 ORDER BY column_name) = 1 THEN 1 ELSE 0 END) AS distinct_count
FROM your_table;
ウィンドウ関数 DENSE_RANK() と SUM() 関数を使用する
SQL Server 2012以降では、ウィンドウ関数 DENSE_RANK()
と SUM()
関数を使用して、個別値をカウントすることができます。
SELECT
partition_column_1,
partition_column_2,
SUM(CASE WHEN DENSE_RANK() OVER (PARTITION BY partition_column_1, partition_column_2 ORDER BY column_name) = 1 THEN 1 ELSE 0 END) AS distinct_count
FROM your_table;
CTE (共通表式) を使用する
CTE を使用して、複雑な集計処理をより柔軟に記述することができます。
WITH distinct_counts AS (
SELECT
partition_column_1,
partition_column_2,
COUNT(DISTINCT column_name) AS distinct_count
FROM your_table
GROUP BY partition_column_1, partition_column_2
)
SELECT * FROM distinct_counts;
最適な方法の選択
使用する方法は、データ量、パフォーマンス要件、クエリの複雑さなど、さまざまな要因によって異なります。
- データ量が少ない場合 は、サブクエリを使用する方がシンプルな場合があります。
- パフォーマンスが重要な場合 は、パーティション関数
COUNT()
とDISTINCT
またはウィンドウ関数DENSE_RANK()
とSUM()
を使用する方が効率的です。 - 複雑な集計処理が必要な場合 は、CTE を使用する方が柔軟性に優れています。
sql sql-server t-sql