SQL Serverで「CREATE OR REPLACE VIEW」をエミュレートする方法: MERGE 構文を使用して既存のビューを更新または作成する
SQL Serverにおける「CREATE OR REPLACE VIEW」の代替手段
Oracleデータベースでは、既存のビューを置き換えるために CREATE OR REPLACE VIEW
構文を使用できます。一方、SQL Serverにはこの構文が存在せず、既存のビューを置き換えるには、いくつかの代替手段を用いる必要があります。
代替手段
- DROP AND CREATE
最も基本的な方法は、既存のビューを DROP VIEW
構文で削除してから、新しいビューを CREATE VIEW
構文で作成する方法です。この方法はシンプルですが、以下の点に注意が必要です。
- 既存のビューに依存するアプリケーションやクエリが動作しなくなる可能性があります。
- トランザクション内でビュー操作を実行する場合は、
DROP VIEW
とCREATE VIEW
を別々のトランザクションに分割する必要があります。
- IF EXISTS
IF EXISTS
構文を使用することで、既存のビューが存在するかどうかを確認してから、適切な操作を実行することができます。以下の例では、my_view
という名前のビューが存在する場合は ALTER VIEW
構文で更新し、存在しない場合は CREATE VIEW
構文で作成します。
IF EXISTS (SELECT * FROM sys.views WHERE name = 'my_view')
ALTER VIEW my_view
AS
SELECT ...;
ELSE
CREATE VIEW my_view
AS
SELECT ...;
- MERGE
SQL Server 2008以降では、MERGE
構文を使用して、既存のビューを更新または作成することができます。以下の例では、my_view
という名前のビューが存在する場合は WHEN MATCHED
節で更新し、存在しない場合は WHEN NOT MATCHED
節で作成します。
MERGE INTO sys.views AS target
USING (
SELECT ...
) AS source
ON (target.name = source.name)
WHEN MATCHED THEN
UPDATE SET
...
WHEN NOT MATCHED THEN
INSERT (name, definition)
VALUES ('my_view', ...);
それぞれの方法の比較
方法 | 利点 | 欠点 |
---|---|---|
DROP AND CREATE | シンプル | 既存のビューに依存する処理が停止する可能性がある |
IF EXISTS | 既存のビューの有無を考慮できる | やや冗長 |
MERGE | SQL Server 2008以降でのみ利用可能 | 複雑 |
推奨される方法
- 既存のビューに依存する処理が存在しない場合は、DROP AND CREATE が最もシンプルです。
- 既存のビューの有無を判定する必要がある場合は、IF EXISTS を使用します。
- SQL Server 2008以降を使用している場合は、MERGE を使用すると、より柔軟な処理が可能になります。
補足
- 上記以外にも、サードパーティ製のツールを使用して、
CREATE OR REPLACE VIEW
構文をエミュレートする方法もあります。 - SQL Server 2016以降では、
ALTER VIEW
構文に新しいオプションが追加されており、既存のビューの定義を部分的に変更することが可能になっています。
SQL Serverにおける「CREATE OR REPLACE VIEW」の代替手段 - サンプルコード
DROP AND CREATE
-- 既存のビューを削除
DROP VIEW IF EXISTS my_view;
-- 新しいビューを作成
CREATE VIEW my_view
AS
SELECT
...;
IF EXISTS
IF EXISTS (SELECT * FROM sys.views WHERE name = 'my_view')
ALTER VIEW my_view
AS
SELECT ...;
ELSE
CREATE VIEW my_view
AS
SELECT ...;
MERGE
MERGE INTO sys.views AS target
USING (
SELECT ...
) AS source
ON (target.name = source.name)
WHEN MATCHED THEN
UPDATE SET
...
WHEN NOT MATCHED THEN
INSERT (name, definition)
VALUES ('my_view', ...);
注記
- 上記のコードはあくまで例であり、実際の状況に合わせて変更する必要があります。
- ビューの定義は、ご自身のデータ構造や要件に合わせて変更してください。
SQL Serverにおける「CREATE OR REPLACE VIEW」の代替手段 - その他の方法
システムビューの活用
SQL Serverには、システムビューと呼ばれる、データベースに関する情報を格納するビューが用意されています。これらのシステムビューを活用することで、既存のビューに関する情報を確認したり、操作したりすることができます。
例えば、sys.views
ビューには、すべてのビューに関する情報が格納されています。このビューを使用して、既存のビューの名前、定義、所有者などの情報を確認することができます。
SELECT * FROM sys.views;
また、sp_rename
システムプロシージャを使用して、既存のビューの名前を変更することができます。
sp_rename 'old_view_name', 'new_view_name';
動的SQLを使用することで、実行時にSQL文を生成することができます。この機能を活用することで、既存のビューが存在するかどうかを判定し、状況に応じて適切な操作を実行することができます。
例えば、以下のコードは、my_view
という名前のビューが存在する場合は ALTER VIEW
構文で更新し、存在しない場合は CREATE VIEW
構文で作成する動的SQLの例です。
DECLARE @sql NVARCHAR(4000);
IF EXISTS (SELECT * FROM sys.views WHERE name = 'my_view')
SET @sql = N'ALTER VIEW my_view AS SELECT ...;';
ELSE
SET @sql = N'CREATE VIEW my_view AS SELECT ...;';
EXEC sp_executesql @sql;
トランザクションを使用することで、複数の操作を原子的に実行することができます。この機能を活用することで、既存のビューを削除してから新しいビューを作成する操作を、安全かつ確実に実行することができます。
BEGIN TRANSACTION;
IF EXISTS (SELECT * FROM sys.views WHERE name = 'my_view')
ALTER VIEW my_view
AS
SELECT ...;
ELSE
CREATE VIEW my_view
AS
SELECT ...;
COMMIT;
注意事項
- システムビューや動的SQLを使用する場合は、十分な知識と注意が必要です。
- トランザクションを使用する場合は、デッドロックなどの問題に注意する必要があります。
sql-server