SAVE TRANSACTIONとRESTORE TRANSACTIONステートメント:複雑なトランザクションを制御する方法
SQL Serverにおける BEGIN/END
ブロックと GO
キーワードの使用
SQL Serverでは、BEGIN/END
ブロックと GO
キーワードを使用して、トランザクション、エラー処理、およびコードの構造を制御することができます。 これらの機能は、T-SQL スクリプトをより読みやすく、保守しやすく、およびエラーが発生した場合に回復しやすくするために役立ちます。
BEGIN/END
ブロック
BEGIN
と END
キーワードは、論理コード ブロックを定義するために使用されます。 これらのキーワードを使用して、一連の Transact-SQL ステートメントをグループ化し、それらを単一のユニットとして実行することができます。
例:
BEGIN
-- ここに実行したいステートメントを記述します。
CREATE TABLE Customers (
CustomerID INT IDENTITY(1,1) PRIMARY KEY,
CustomerName VARCHAR(50) NOT NULL,
Email VARCHAR(100)
);
INSERT INTO Customers (CustomerName, Email)
VALUES ('山田太郎', '[email protected]');
END
GO
キーワード
GO
キーワードは、バッチの終わりを示すために使用されます。 バッチは、一連の Transact-SQL ステートメントで構成され、単一のトランザクションとして実行されます。 GO
キーワードを使用すると、SQL Server に対して次のバッチをいつ実行するかを明示的に指示することができます。
-- バッチ 1
CREATE TABLE Customers (
CustomerID INT IDENTITY(1,1) PRIMARY KEY,
CustomerName VARCHAR(50) NOT NULL,
Email VARCHAR(100)
);
GO
-- バッチ 2
INSERT INTO Customers (CustomerName, Email)
VALUES ('山田太郎', '[email protected]');
GO
BEGIN/END
ブロックと GO
キーワードの使い分け
一般的に、以下の状況で BEGIN/END
ブロックと GO
キーワードを使用します。
- トランザクションを制御する:
BEGIN
とEND
キーワードを使用して、トランザクションの開始と終了を明示的に指定することができます。 これにより、トランザクション全体が成功するか失敗するかのいずれかになり、部分的なコミットやロールバックを回避することができます。 - エラー処理を制御する:
BEGIN/END
ブロックを使用して、エラー処理コードをグループ化することができます。 これにより、エラーが発生した場合に実行される一連のステートメントを定義することができます。 - コードを構造化する:
BEGIN/END
ブロックを使用して、コードを論理的にグループ化することができます。 これにより、コードをより読みやすく、保守しやすくなります。 - バッチを実行する:
GO
キーワードを使用して、単一のトランザクションとして実行する一連のステートメントを定義することができます。
この例では、BEGIN/END
ブロックを使用して、顧客データの挿入をトランザクションとして実行します。 エラーが発生した場合、トランザクション全体がロールバックされます。
BEGIN
-- 顧客テーブルを作成する
CREATE TABLE Customers (
CustomerID INT IDENTITY(1,1) PRIMARY KEY,
CustomerName VARCHAR(50) NOT NULL,
Email VARCHAR(100)
);
-- 顧客データを挿入する
INSERT INTO Customers (CustomerName, Email)
VALUES ('山田太郎', '[email protected]'),
('鈴木次郎', '[email protected]'),
('佐藤花子', '[email protected]');
-- エラーが発生した場合、トランザクションをロールバックする
IF @@ERROR <> 0
BEGIN
ROLLBACK TRANSACTION;
RAISERROR('顧客データの挿入中にエラーが発生しました。', 16, 1, @@ERROR);
END
COMMIT TRANSACTION;
END
GO
例 2: 注文処理
この例では、GO
キーワードを使用して、注文処理を 2 つのバッチに分割します。 バッチ 1 は注文ヘッダーを作成し、バッチ 2 は注文明細行を作成します。
-- バッチ 1: 注文ヘッダーを作成する
CREATE TABLE Orders (
OrderID INT IDENTITY(1,1) PRIMARY KEY,
CustomerID INT NOT NULL,
OrderDate DATETIME DEFAULT GETDATE(),
FOREIGN KEY (CustomerID) REFERENCES Customers(CustomerID)
);
INSERT INTO Orders (CustomerID)
VALUES (1);
GO
-- バッチ 2: 注文明細行を作成する
INSERT INTO OrderDetails (OrderID, ProductID, Quantity)
VALUES (1, 1, 10),
(1, 2, 5);
GO
SET NOCOUNT
オプションを使用すると、SQL Serverがクエリごとに返される行数をカウントすることを無効にすることができます。 これにより、パフォーマンスが向上し、スクリプトの実行時間が短縮される場合があります。
SET NOCOUNT ON;
-- ここに実行したいステートメントを記述します。
SET NOCOUNT OFF;
XACT_ABORT オプション
XACT_ABORT
オプションを使用すると、トランザクションでエラーが発生した場合に、自動的にロールバックするようにSQL Serverを設定することができます。 これにより、明示的にROLLBACK TRANSACTION
ステートメントを記述する必要がなくなります。
SET XACT_ABORT ON;
-- ここに実行したいステートメントを記述します。
TRY...CATCH ブロック
TRY...CATCH
ブロックを使用すると、エラーが発生した場合にコードを処理することができます。 これにより、エラー処理コードをより構造化し、保守しやすくなります。
BEGIN TRY
-- ここに実行したいステートメントを記述します。
END TRY
BEGIN CATCH
-- エラーが発生した場合に実行するステートメントを記述します。
END CATCH
SAVE TRANSACTION および RESTORE TRANSACTION ステートメント
SAVE TRANSACTION
とRESTORE TRANSACTION
ステートメントを使用して、トランザクションの状態を保存して復元することができます。 これにより、複雑なトランザクションを制御することができます。
SAVE TRANSACTION myTransaction;
-- ここに実行したいステートメントを記述します。
IF @@ERROR <> 0
BEGIN
RESTORE TRANSACTION myTransaction;
RAISERROR('トランザクション中にエラーが発生しました。', 16, 1, @@ERROR);
END
COMMIT TRANSACTION;
分散トランザクション
分散トランザクションは、複数のデータベースにまたがるトランザクションです。 分散トランザクションを管理するには、Microsoft Distributed Transaction Coordinator (MSDTC)を使用する必要があります。
USING MSDTC BEGIN TRANSACTION myDTCtransaction;
-- ここに実行したいステートメントを記述します。
IF @@ERROR <> 0
BEGIN
MSS DTC によって開始されたトランザクションをロールバックする
RAISERROR('トランザクション中にエラーが発生しました。', 16, 1, @@ERROR);
END
MSS DTC によって開始されたトランザクションをコミットする
sql-server t-sql keyword