MySQL/MariaDB Master-Master 複製における AUTO_INCREMENT による "Duplicate entry for key 'PRIMARY'" エラーの解決
MySQL/MariaDB Master-Master 複製における AUTO_INCREMENT による "Duplicate entry for key 'PRIMARY'" エラーの解決
MySQL/MariaDB の Master-Master 複製環境において、AUTO_INCREMENT を使用している場合、PRIMARY
キー重複エラーが発生する可能性があります。これは、両方のマスターサーバーで同時に同じ ID が割り当てられる可能性があるためです。
原因
AUTO_INCREMENT は、レコード挿入時に自動的に ID を割り当てる機能です。デフォルトでは、各マスターサーバーは独立した ID シーケンスを使用します。そのため、同時に同じレコードが両方のマスターサーバーに挿入されると、両方のサーバーで同じ ID が割り当てられ、PRIMARY
キー重複エラーが発生します。
解決策
この問題を解決するには、以下の方法があります。
シーケンス管理ツールを使用する
MySQL/MariaDB には、galera
や xtradb
などのシーケンス管理ツールが用意されています。これらのツールは、両方のマスターサーバー間で ID シーケンスを同期することで、PRIMARY
キー重複エラーを防ぎます。
AUTO_INCREMENT を無効にし、代わりにアプリケーション側で ID を割り当てる方法もあります。この方法は、アプリケーション側で ID 生成ロジックを実装する必要があるため、複雑になる可能性があります。
トリガーを使用して、挿入前に ID を調整する方法もあります。例えば、挿入前に ID を取得し、その ID を使用してレコードを挿入するトリガーを作成できます。
異なるカラムを PRIMARY キーとして使用する
AUTO_INCREMENT を使用するカラム以外を PRIMARY キーとして使用する方法は、最も簡単な解決策です。ただし、この方法は、既存のデータベーススキーマを変更する必要がある場合があるため、注意が必要です。
補足
- 上記の解決策は、一般的な方法であり、状況によって最適な方法は異なります。
- 具体的な解決方法は、使用している MySQL/MariaDB のバージョンや環境によって異なる場合があります。
- 変更を行う前に、必ずバックアップを取るようにしてください。
用語解説
- Master-Master 複製: 複数のサーバーが互いにデータを複製し、すべてのサーバーが読み書き可能な構成
- AUTO_INCREMENT: レコード挿入時に自動的に ID を割り当てる機能
- PRIMARY キー: テーブル内で一意なレコードを識別するためのカラム
# Galera の場合
CREATE TABLE my_table (
id INT NOT NULL AUTO_INCREMENT,
name VARCHAR(255) NOT NULL,
PRIMARY KEY (id)
) ENGINE=InnoDB;
# シーケンスを初期化
SET @@global.gtid_mode=ON;
SET @@global.binlog_format='ROW';
START TRANSACTION;
INSERT INTO my_table (name) VALUES ('test');
COMMIT;
# 複製を開始
START SLAVE;
AUTO_INCREMENT を無効にする
CREATE TABLE my_table (
id INT NOT NULL,
name VARCHAR(255) NOT NULL,
PRIMARY KEY (id)
) ENGINE=InnoDB;
# アプリケーション側で ID を生成
INSERT INTO my_table (id, name) VALUES (1, 'test');
トリガーを使用する
CREATE TABLE my_table (
id INT NOT NULL AUTO_INCREMENT,
name VARCHAR(255) NOT NULL,
PRIMARY KEY (id)
) ENGINE=InnoDB;
DELIMITER //
CREATE TRIGGER before_insert BEFORE INSERT ON my_table
FOR EACH ROW
BEGIN
SET NEW.id = LAST_INSERT_ID(1) + 1;
END;
//
DELIMITER ;
# トリガーが有効
INSERT INTO my_table (name) VALUES ('test');
CREATE TABLE my_table (
id INT NOT NULL,
name VARCHAR(255) NOT NULL,
PRIMARY KEY (name)
) ENGINE=InnoDB;
# name カラムを PRIMARY キーとして使用
INSERT INTO my_table (id, name) VALUES (1, 'test');
注意事項
- 上記のコードは、サンプルであり、環境に合わせて変更する必要があります。
アプリケーション側で排他制御を行うことで、同時に同じ ID が割り当てられることを防ぐことができます。例えば、レコード挿入前にロックを取得し、挿入後にロックを解放する方法があります。
異なるデータベースを使用することで、ID シーケンスの衝突を回避することができます。例えば、読み込み用のデータベースと書き込み用のデータベースを分ける方法があります。
シャーディングを使用することで、データを複数のシャードに分散させることができます。シャードごとに独立した ID シーケンスを使用することで、PRIMARY
キー重複エラーを防ぐことができます。
クラウドサービスを使用する
Amazon RDS や Google Cloud SQL などのクラウドサービスを使用する場合は、ID シーケンスの管理が自動的に行われるため、PRIMARY
キー重複エラーが発生する可能性は低くなります。
- 上記の方法には、それぞれメリットとデメリットがあります。
- 具体的な方法は、使用している環境や要件によって異なります。
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