MariaDB: 過去1時間分のデータ変更のみをロールバックする方法
MariaDB における相対的な時間期間のシステムバージョン管理
従来のシステムバージョン管理では、変更を記録するために timestamp
または datetime
型の列を使用していました。しかし、この方法では、特定の期間におけるデータの変更を特定するのが困難でした。
そこで、MariaDB 10.2 からは、相対的な時間期間を指定してシステムバージョン管理を行う機能が導入されました。この機能により、以下のようなことが可能になります。
- 過去 1 時間分のデータ変更のみをロールバックする
- 昨日の午前 9 時から午後 5 時までのデータ変更を比較する
- 過去 7 日間のデータの増減を分析する
相対的な時間期間を指定するには、mariadb.system_versioning
テーブルの version_end
列に以下の形式の文字列を指定します。
<期間> <単位>
例えば、以下の例では、過去 1 時間分のデータ変更のみをロールバックする設定を示しています。
version_end = '-1 HOUR';
その他の例としては、以下のようなものがあります。
version_end = '-7 DAY';
version_end = '2024-04-10 09:00:00';
version_start = '2024-04-10 17:00:00';
相対的な時間期間のシステムバージョン管理には、以下のメリットがあります。
- 従来の
timestamp
またはdatetime
型の列を使用するよりも、期間の指定が柔軟 - 特定の期間におけるデータの変更を簡単に特定できる
- データ分析や監査に役立つ
設定方法
- MariaDB 10.2 以降をインストールする
mariadb.system_versioning
テーブルを作成するversion_end
列に相対的な時間期間を指定する
詳細は、以下のドキュメントを参照してください。
MariaDB における相対的な時間期間のシステムバージョン管理は、データベースの変更を効率的に管理するための便利な機能です。この機能を活用することで、過去の時点にデータベースをロールバックしたり、特定の期間におけるデータの変更を追跡したりすることができます。
-- mariadb.system_versioningテーブルを作成する
CREATE TABLE mariadb.system_versioning (
id INT NOT NULL AUTO_INCREMENT,
version_start TIMESTAMP NOT NULL DEFAULT CURRENT_TIMESTAMP,
version_end TIMESTAMP NULL,
PRIMARY KEY (id)
);
-- 過去1時間分のデータ変更のみをロールバックする
SET @@global.gtid_purged=OFF;
START TRANSACTION;
SET @@session.gtid_next='ANONYMOUS';
BEGIN;
-- データ変更を行う
END;
COMMIT;
SET @@global.gtid_purged=ON;
-- 過去のデータ変更を比較する
SELECT * FROM mariadb.system_versioning
WHERE version_start BETWEEN '2024-04-10 09:00:00' AND '2024-04-10 17:00:00';
補足
- 上記のサンプルコードは、MariaDB 10.2 以降で動作します。
gtid_purged
設定は、データの削除を無効にするために使用します。gtid_next
設定は、新しいトランザクションに割り当てる GTID を指定するために使用します。- 上記のサンプルコードは、あくまでも参考です。実際の運用に合わせて変更する必要があります。
相対的な時間期間のシステムバージョン管理を行う他の方法
- スナップショット
スナップショットは、特定時点におけるデータベースの状態を保存したものです。スナップショットを使用すると、過去の時点にデータベースをロールバックすることができます。
- データバックアップ
データバックアップは、データベース全体または一部のデータを定期的にバックアップする方法です。データバックアップを使用すると、過去の時点のデータを取得することができます。
これらの方法は、それぞれメリットとデメリットがあります。以下に、それぞれの方法の比較表を示します。
方法 | メリット | デメリット |
---|---|---|
システムバージョン管理 | 特定の期間におけるデータの変更を簡単に特定できる | 設定が複雑 |
スナップショット | 過去の時点にデータベースを簡単にロールバックできる | ストレージ容量を多く消費する |
データバックアップ | 過去の時点のデータを取得できる | 特定の期間におけるデータの変更を特定するのが難しい |
- データベースの変更をどの程度細かく追跡する必要があるか
- 過去の時点にデータベースをロールバックする必要があるかどうか
- ストレージ容量の制限
MariaDB には、相対的な時間期間のシステムバージョン管理を行う他にも、スナップショットやデータバックアップなどの方法があります。それぞれの方法のメリットとデメリットを理解した上で、要件に合った方法を選択することが重要です。
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