SQLにおけるINNER JOINとWHERE句の比較：パフォーマンスと使い分け

SQLでテーブルからデータを取得する際、INNER JOINとWHERE句はどちらもよく使用されます。しかし、それぞれ異なる動作とパフォーマンス特性を持つため、状況に応じて適切な方法を選択する必要があります。

INNER JOIN

INNER JOINは、複数のテーブルから共通するレコードのみを抽出する結合方法です。具体的には、以下の2つのテーブルの結合条件を満たすレコードのみが抽出されます。

• 左側のテーブル

WHERE句

WHERE句は、条件に合致するレコードのみを抽出する条件指定です。結合後の結果に対して条件を指定するため、INNER JOINよりも柔軟な条件指定が可能です。

パフォーマンス

一般的に、INNER JOINはWHERE句よりもパフォーマンスが優れています。これは、INNER JOINが結合条件に基づいて必要なレコードを直接抽出するため、WHERE句のように結合後に条件を適用するよりも効率的だからです。

使い分け

INNER JOINとWHERE句の使い分けは、以下の点を考慮する必要があります。

• 抽出したいデータ

INNER JOINは、複数のテーブルから共通するレコードのみを抽出したい場合に適しています。WHERE句は、1つのテーブルから条件に合致するレコードを抽出したい場合に適しています。

• 条件の複雑さ

INNER JOINは、結合条件が比較的単純な場合に適しています。WHERE句は、複雑な条件を指定したい場合に適しています。

例

SELECT *
FROM employees e
INNER JOIN departments d
ON e.department_id = d.department_id
WHERE d.name = 'Sales';

このクエリは、従業員テーブル(employees)と部門テーブル(departments)を結合し、部門名が「Sales」の従業員の情報を抽出します。

SELECT *
FROM employees
WHERE salary > 100000;

このクエリは、従業員テーブル(employees)から、給与が10万円を超える従業員の情報を抽出します。

SELECT *
FROM employees e
INNER JOIN departments d
ON e.department_id = d.department_id;

SELECT *
FROM employees
WHERE department_id = 1;

INNER JOINとWHERE句の組み合わせ

SELECT *
FROM employees e
INNER JOIN departments d
ON e.department_id = d.department_id
WHERE d.name = 'Sales';

INNER JOINとWHERE句の代わりに使用できる方法

CROSS JOINは、すべてのテーブルのすべてのレコードを結合します。INNER JOINとWHERE句よりもデータ量が膨大になるため、一般的には使用しません。

EXISTS

EXISTSは、サブクエリで指定された条件を満たすレコードのみを抽出します。INNER JOINよりも柔軟な条件指定が可能です。

IN

INは、指定された値のリストに一致するレコードのみを抽出します。WHERE句よりも効率的な場合もあります。

CASE

CASEは、条件に応じて異なる値を出力します。WHERE句よりも複雑な条件を処理できる場合もあります。

CTE (Common Table Expressions)

CTEは、複雑なクエリを複数の部分に分割して記述する方法です。コードの可読性と保守性を向上させることができます。

使用例

CROSS JOIN

SELECT *
FROM employees
CROSS JOIN departments;

EXISTS

SELECT *
FROM employees
WHERE EXISTS (
  SELECT *
  FROM departments
  WHERE departments.department_id = employees.department_id
);

IN

SELECT *
FROM employees
WHERE department_id IN (1, 2, 3);

CASE

SELECT *
FROM employees
CASE department_id
  WHEN 1 THEN 'Sales'
  WHEN 2 THEN 'Marketing'
  ELSE 'Other'
END AS department_name;

CTE

WITH t AS (
  SELECT *
  FROM employees
  WHERE department_id = 1
)
SELECT *
FROM t;

このクエリは、部門IDが1の従業員のみを抽出するCTEを作成し、その結果を出力します。