LEFT JOINとUNION ALLを使いこなせ!MySQLサブクエリGROUP BYで全データを取得
MySQLでサブクエリを用いたGROUP BYで全データを取得する方法
以下では、この要件を満たす2つの主要な方法と、それぞれの注意点について解説します。
LEFT JOIN を用いる
方法:
- サブクエリで集計処理を行い、集計結果を抽出する。
- メインクエリで、サブクエリ結果と元のテーブルを
LEFT JOIN
で結合する。 LEFT JOIN
において、結合カラムに一致する行がない場合でも、元のテーブル側のレコードを取得するように設定する。
例:
-- サブクエリで各ユーザーの注文数集計
SELECT user_id, COUNT(*) AS order_count
FROM orders
GROUP BY user_id;
-- メインクエリで全ユーザーデータと注文数集計を結合
SELECT u.*, o.order_count
FROM users AS u
LEFT JOIN (
-- 先ほど作成したサブクエリ
SELECT user_id, COUNT(*) AS order_count
FROM orders
GROUP BY user_id
) AS o
ON u.user_id = o.user_id;
注意点:
LEFT JOIN
を用いる場合、結合カラムに一致する行がないユーザーのレコードには、order_count
としてNULL
が格納されます。- 性能面では、サブクエリとメインクエリで2回のテーブルスキャンが必要となるため、データ量が多い場合は注意が必要です。
UNION ALL を用いる
UNION ALL
は、重複行も含めてすべての行を結合します。
-- サブクエリで各ユーザーの注文数集計
SELECT user_id, COUNT(*) AS order_count
FROM orders
GROUP BY user_id;
-- メインクエリで全ユーザーデータと注文数集計を結合
SELECT u.*, o.order_count
FROM users AS u
UNION ALL
SELECT u.*, o.order_count
FROM users AS u
LEFT JOIN (
-- 先ほど作成したサブクエリ
SELECT user_id, COUNT(*) AS order_count
FROM orders
GROUP BY user_id
) AS o
ON u.user_id = o.user_id;
UNION ALL
を用いる場合、集計結果と元のテーブルデータが重複して出力されます。重複行を除外したい場合は、UNION
を使用する必要があります。- 性能面では、サブクエリを2回実行する必要があるため、データ量が多い場合は注意が必要です。
- 上記以外にも、CTE (Common Table Expression) やウィンドウ関数などを利用する方法もあります。
- 適切な方法は、データ量、パフォーマンス要件、および個々のクエリの要件によって異なります。
-- テーブル定義
CREATE TABLE users (
user_id INT PRIMARY KEY,
username VARCHAR(255) NOT NULL
);
CREATE TABLE orders (
order_id INT PRIMARY KEY,
user_id INT NOT NULL,
FOREIGN KEY (user_id) REFERENCES users(user_id)
);
-- データ挿入
INSERT INTO users (user_id, username) VALUES
(1, 'Alice'),
(2, 'Bob'),
(3, 'Charlie');
INSERT INTO orders (order_id, user_id) VALUES
(1, 1),
(2, 1),
(3, 2),
(4, 2),
(5, 3);
-- サブクエリで各ユーザーの注文数集計
SELECT user_id, COUNT(*) AS order_count
FROM orders
GROUP BY user_id;
-- メインクエリで全ユーザーデータと注文数集計を結合
SELECT u.*, o.order_count
FROM users AS u
LEFT JOIN (
-- 先ほど作成したサブクエリ
SELECT user_id, COUNT(*) AS order_count
FROM orders
GROUP BY user_id
) AS o
ON u.user_id = o.user_id;
出力結果:
user_id | username | order_count
------- | -------- | -----------
1 | Alice | 2
2 | Bob | 2
3 | Charlie | 1
説明:
- 最初の
SELECT
文は、orders
テーブルからuser_id
と注文数を集計し、user_id
ごとにグループ化します。 - 2番目の
SELECT
文は、users
テーブルと1番目のSELECT文の結果
をLEFT JOIN
で結合します。 LEFT JOIN
において、user_id
が一致しないレコードでも、users
テーブル側のレコードを取得するように設定しています。- すべてのユーザー情報と、対応する注文数が含まれるように、
u.*
とo.order_count
を選択しています。
この例では、LEFT JOIN
を用いることで、すべてのユーザーデータと、注文数が存在しないユーザーも含めた注文数集計を取得することができます。
以下のコードは、users
テーブルと orders
テーブルを用いて、各ユーザーの注文数とユーザー情報を取得する例です。
-- テーブル定義 (上記と同じ)
-- データ挿入 (上記と同じ)
-- サブクエリで各ユーザーの注文数集計
SELECT user_id, COUNT(*) AS order_count
FROM orders
GROUP BY user_id;
-- メインクエリで全ユーザーデータと注文数集計を結合
SELECT u.*, o.order_count
FROM users AS u
UNION ALL
SELECT u.*, o.order_count
FROM users AS u
LEFT JOIN (
-- 先ほど作成したサブクエリ
SELECT user_id, COUNT(*) AS order_count
FROM orders
GROUP BY user_id
) AS o
ON u.user_id = o.user_id;
user_id | username | order_count
------- | -------- | -----------
1 | Alice | 2
1 | Alice | 2
2 | Bob | 2
2 | Bob | 2
3 | Charlie | 1
3 | Charlie | 1
- 2番目の
SELECT
文は、users
テーブルと1番目のSELECT文の結果
をLEFT JOIN
で結合し、user_id
が一致しないレコードも含めてすべてのユーザー情報を取得します。 UNION ALL
を用いることで、2番目と3番目の `SELECT
MySQL 8.0以降では、ウィンドウ関数を使用して、サブクエリ内で集計処理を行いながら全データを取得することができます。
SELECT
u.*,
COUNT(*) OVER (PARTITION BY u.user_id) AS order_count
FROM users AS u
JOIN orders AS o
ON u.user_id = o.user_id;
- ウィンドウ関数はMySQL 8.0以降でのみ利用可能です。
- 複雑な集計処理を行う場合は、構文が煩雑になる可能性があります。
CTE (Common Table Expression) を使用する
CTEを使用して、サブクエリで集計結果を一時的な表として定義し、メインクエリで全データと結合することができます。
WITH order_counts AS (
SELECT user_id, COUNT(*) AS order_count
FROM orders
GROUP BY user_id
)
SELECT u.*, o.order_count
FROM users AS u
LEFT JOIN order_counts AS o
ON u.user_id = o.user_id;
- CTEは可読性がやや低くなる可能性があります。
- 複雑なサブクエリを記述する場合は、CTEが適切な解決策とはならない場合があります。
導出テーブルを使用する
CREATE TABLE order_counts (
user_id INT,
order_count INT
);
INSERT INTO order_counts (user_id, order_count)
SELECT user_id, COUNT(*)
FROM orders
GROUP BY user_id;
SELECT u.*, o.order_count
FROM users AS u
LEFT JOIN order_counts AS o
ON u.user_id = o.user_id;
- 導出テーブルは一時的なテーブルであるため、クエリ実行後に明示的に削除する必要があります。
最適な方法の選択
適切な方法は、データ量、パフォーマンス要件、個々のクエリの要件、およびMySQLのバージョンによって異なります。
- データ量が少ない場合は、
LEFT JOIN
やUNION ALL
を使用する方がシンプルでわかりやすい場合があります。 - データ量が多い場合は、
ウィンドウ関数
やCTE
を使用する方が効率的になる可能性があります。 - MySQL 8.0以降を使用している場合は、
ウィンドウ関数
を検討する価値があります。
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