MariaDBにおける`GROUP BY`と`WHERE`でカウント数が異なる理由
MariaDBにおける GROUP BY
と WHERE
を用いたカウント数の違い:詳細解説
MariaDBで集計を行う際、GROUP BY
と WHERE
句はどちらもレコードをグループ化し、集計値を算出するために使用できます。しかし、場合によっては異なる結果を返すことがあります。この違いを理解することは、正確な分析結果を得るために重要です。
GROUP BY と WHERE の基本的な動作
WHERE
は、条件に合致するレコードのみを選択し、その後に集計処理を行います。GROUP BY
は、指定した列に基づいてレコードをグループ化します。各グループに対して、集計関数 (COUNT、SUM、AVG など) を適用して結果を算出します。
カウント数の違い
GROUP BY
と WHERE
でカウント数が異なる理由は、以下の2つが挙げられます。
1 句の処理順序
MariaDBでは、一般的に WHERE
句よりも先に GROUP BY
句が処理されます。つまり、WHERE
句で条件を絞り込む前に、レコードがグループ化されてしまいます。
例:
SELECT product_id, COUNT(*) AS product_count
FROM orders
GROUP BY product_id;
このクエリは、すべての注文に対して、商品IDごとの注文数をカウントします。しかし、以下のように WHERE
句を追加すると、結果は異なってきます。
SELECT product_id, COUNT(*) AS product_count
FROM orders
WHERE order_status = 'shipped'
GROUP BY product_id;
このクエリでは、shipped
ステータスの注文のみを対象に、商品IDごとの注文数をカウントします。GROUP BY
句が先に処理されるため、WHERE
句で除外されるレコードもグループ化されてしまうことに注意が必要です。
2 集計対象のカラム
GROUP BY
句で指定した列のみがカウントの対象となります。一方、WHERE
句はカウントに影響を与えません。
SELECT customer_id, COUNT(order_id) AS order_count
FROM orders
GROUP BY customer_id;
このクエリは、顧客IDごとの注文数をカウントします。しかし、以下のように order_status
列を追加しても、結果は同じです。
SELECT customer_id, COUNT(order_id) AS order_count
FROM orders
WHERE order_status = 'shipped'
GROUP BY customer_id;
これは、GROUP BY
句で指定しているのは customer_id
列のみであり、order_status
列はカウントの対象ではないためです。
- 正確な分析結果を得るためには、それぞれの句の挙動を理解し、適切に使い分けることが重要です。
- カウント数の違いは、句の処理順序と集計対象のカラムによって生じます。
GROUP BY
とWHERE
は、集計処理において異なる役割を果たします。
- 集計関数は、
COUNT
以外にもSUM
、AVG
、MIN
、MAX
などがあります。 HAVING
句は、GROUP BY
句でグループ化した後に条件を絞り込むために使用できます。
以下のテーブル orders
を想定します。
CREATE TABLE orders (
order_id INT PRIMARY KEY,
customer_id INT,
product_id INT,
order_status VARCHAR(255),
order_date DATE
);
このテーブルには、注文情報が格納されています。各列の意味は以下の通りです。
order_date
: 注文日order_status
: 注文ステータスproduct_id
: 商品IDcustomer_id
: 顧客IDorder_id
: 注文ID
GROUP BY によるカウント
以下のクエリは、すべての注文に対して、商品IDごとの注文数をカウントします。
SELECT product_id, COUNT(*) AS product_count
FROM orders
GROUP BY product_id;
このクエリを実行すると、以下の結果が得られます。
product_id | product_count
---------+--------------
1 | 10
2 | 15
3 | 8
WHERE によるカウント
以下のクエリは、shipped
ステータスの注文のみを対象に、商品IDごとの注文数をカウントします。
SELECT product_id, COUNT(*) AS product_count
FROM orders
WHERE order_status = 'shipped'
GROUP BY product_id;
product_id | product_count
---------+--------------
1 | 8
2 | 12
3 | 6
比較
上記の2つのクエリ結果を比較すると、WHERE
句で条件を絞り込むことで、カウント数が変化していることがわかります。これは、GROUP BY
句が先に処理されるため、WHERE
句で除外されるレコードもグループ化されてしまうためです。
SELECT product_id, (
SELECT COUNT(*)
FROM orders
WHERE order_status = 'shipped'
AND product_id = o.product_id
) AS product_count
FROM orders o
GROUP BY product_id;
このクエリは、まず WHERE
句で shipped
ステータスの注文のみを抽出します。その後、サブクエリを使用して、抽出された注文の中から各商品IDごとの注文数をカウントします。最後に、GROUP BY
句で商品IDごとにグループ化し、カウント結果を表示します。
ウィンドウ関数
MariaDB 10.2以降では、ウィンドウ関数を使用してカウントを行うことができます。ウィンドウ関数は、特定の行範囲 (ウィンドウ) を対象に集計処理を行うことができます。
SELECT product_id,
COUNT(*) OVER (PARTITION BY product_id) AS product_count
FROM orders;
このクエリは、PARTITION BY product_id
句で商品IDごとにウィンドウを定義します。その後、COUNT(*)
ウィンドウ関数を使用して、各ウィンドウ内でのカウント結果を算出します。
集計関数
COUNT
以外にも、SUM
、AVG
、MIN
、MAX
などの集計関数を使用してカウントを行うことができます。
SELECT product_id, SUM(1) AS product_count
FROM orders
GROUP BY product_id;
このクエリは、各商品IDごとに 1
を合計することで、注文数をカウントします。
結合
複数のテーブルを結合してカウントを行う方法もあります。
SELECT o.product_id, COUNT(*) AS product_count
FROM orders o
JOIN order_details d ON o.order_id = d.order_id
GROUP BY o.product_id;
このクエリは、orders
テーブルと order_details
テーブルを order_id
列で結合し、各商品IDごとの注文数をカウントします。
mariadb