Oracleにおけるビューとマテリアライズドビューの違い

2024-08-31

ビューマテリアライズドビューは、データベースのテーブルから派生した仮想テーブルであり、複雑なクエリを簡素化したり、セキュリティを強化したりするために使用されます。しかし、その実装方法と特性には重要な違いがあります。

ビュー (View)

  • 定義: SQL文を使用して定義される仮想テーブルであり、基底テーブルのデータのサブセットまたは集計を表示します。
  • 処理: クエリがビューを参照するたびに、ビューの定義に基づいて基底テーブルからデータを再取得して処理します。
  • 更新: 一般的に、ビューに対して直接データを更新することはできません。更新は基底テーブルに対して行われます。
  • パフォーマンス: 頻繁にアクセスされるビューは、毎回再計算されるため、パフォーマンスが低下することがあります。

マテリアライズドビュー (Materialized View)

  • 定義: ビューと同じように定義されますが、基底テーブルのデータのコピーを保持します。
  • 更新: マテリアライズドビューは、定期的にまたは特定のイベントが発生したときに、基底テーブルのデータと同期されます。
  • パフォーマンス: 頻繁にアクセスされるマテリアライズドビューは、事前に計算されたデータを保持しているため、パフォーマンスが向上します。
  • 更新頻度: マテリアライズドビューの更新頻度は、パフォーマンスとデータの鮮度とのバランスを考慮して決定されます。
  • ビューはオンデマンドで計算される仮想テーブルです。
  • マテリアライズドビューは事前に計算され、キャッシュされたデータのコピーです。
  • マテリアライズドビューは、パフォーマンスを向上させるために使用されますが、データの鮮度を維持するために更新が必要となります。

SQLの例:

ビューの定義:

CREATE VIEW sales_summary AS
SELECT product_id, SUM(quantity) AS total_quantity, SUM(price) AS total_sales
FROM sales_data
GROUP BY product_id;

マテリアライズドビューの定義:

CREATE MATERIALIZED VIEW sales_summary_mv
REFRESH ON DEMAND
AS
SELECT product_id, SUM(quantity) AS total_quantity, SUM(price) AS total_sales
FROM sales_data
GROUP BY product_id;



ビューとマテリアライズドビューの例と解説

CREATE VIEW sales_summary AS
SELECT product_id, SUM(quantity) AS total_quantity, SUM(price) AS total_sales
FROM sales_data
GROUP BY product_id;
  • 解説:
    • sales_summaryという名前のビューを作成します。
    • このビューは、sales_dataテーブルから製品ごとの販売数量と売上合計を計算し、表示します。
    • ビューを参照するたびに、このSQL文が実行され、最新のデータが取得されます。
CREATE MATERIALIZED VIEW sales_summary_mv
REFRESH FAST ON COMMIT
AS
SELECT product_id, SUM(quantity) AS total_quantity, SUM(price) AS total_sales
FROM sales_data
GROUP BY product_id;
  • 解説:
    • REFRESH FAST ON COMMITは、sales_dataテーブルがコミットされるたびに、マテリアライズドビューが自動的に更新されることを意味します。
    • マテリアライズドビューは、事前に計算された結果を保持するため、ビューよりも高速にアクセスできます。

両者の違いを比較する例

性能の比較

  • ビュー: 毎回SQLが実行されるため、頻繁にアクセスされる場合は性能が低下する可能性があります。
  • マテリアライズドビュー: 事前に計算された結果を保持しているため、高速にアクセスできます。特に、複雑な集計クエリや大規模なデータに対して効果的です。

更新のタイミング

  • ビュー: 基底テーブルが更新されると、ビューの内容も自動的に更新されます。
  • マテリアライズドビュー: REFRESH句で指定されたタイミングで更新されます。頻繁に更新するとオーバーヘッドが増えるため、適切な更新頻度を設定する必要があります。

ストレージの使用量

  • ビュー: ストレージをほとんど使用しません。
  • マテリアライズドビュー: 計算結果を保持するため、ストレージを消費します。

いつマテリアライズドビューを使うべきか

  • 頻繁に実行される集計クエリ: マテリアライズドビューを使用することで、クエリの実行時間を大幅に短縮できます。
  • リアルタイム性が要求されないデータ: マテリアライズドビューは、最新のデータではなく、ある時点でのスナップショットを表します。
  • 大規模なデータ: 大規模なデータに対して集計を行う場合、マテリアライズドビューを使用することで、システムへの負荷を軽減できます。

ビューとマテリアライズドビューは、どちらもSQLのクエリ結果を仮想的に表す仕組みですが、その実装方法と特性が異なります。

  • ビュー: 柔軟性が高く、基底テーブルの構造が変更されても簡単にビューを修正できます。
  • マテリアライズドビュー: 性能が良く、大規模なデータに対して効果的ですが、ストレージを消費し、更新の管理が必要になります。

どちらを使用するかは、クエリの特性、性能要求、システムの規模など、さまざまな要素を考慮して決定する必要があります。

  • REFRESH句には、FAST以外にもCOMPLETEFORCEなど、さまざまなオプションがあります。
  • マテリアライズドビューは、パーティショニングやインデックスを作成することで、さらに性能を向上させることができます。
  • マテリアライズドビューの管理には、定期的なメンテナンスが必要です。



インデックス (Index)

  • 目的: 特定の列に対するアクセスを高速化し、クエリのパフォーマンスを向上させる。
  • 特徴: 特定の列に順序付けられたデータ構造を作成することで、検索を効率的に行えます。
  • 利用シーン: 頻繁に検索される列、結合条件となる列などにインデックスを作成することで、ビューやマテリアライズドビューの代替として利用できます。

関数型インデックス (Functional Index)

  • 目的: 関数の戻り値に基づいたインデックスを作成し、複雑な検索条件を高速化。
  • 特徴: 関数の計算結果をインデックスに格納することで、関数を含むWHERE句の検索を高速化できます。
  • 利用シーン: 集計関数や文字列操作関数などを含むWHERE句で頻繁に検索される場合に有効です。

パーティショニング (Partitioning)

  • 目的: テーブルを複数のパーティションに分割し、データアクセスを最適化。
  • 特徴: データを範囲やリストなどによって分割することで、特定のパーティションに対するアクセスを高速化できます。
  • 利用シーン: 大量のデータを扱う場合や、特定の期間のデータに頻繁にアクセスする場合に有効です。

SQLチューニング

  • 目的: SQL文の書き方を見直し、パフォーマンスを改善する。
  • 特徴: インデックスの利用、結合順序の最適化、サブクエリの書き換えなど、様々な手法を用いてSQL文をチューニングします。
  • 利用シーン: ビューやマテリアライズドビューを作成する前に、SQL文自体をチューニングすることで、十分な性能が得られる場合があります。

PL/SQL

  • 目的: 複雑なロジックを組み合わせて、カスタムな処理を実現する。
  • 特徴: プログラミング言語であるPL/SQLを使用することで、高度なデータ操作や制御フローを実現できます。
  • 利用シーン: ビューやマテリアライズドビューでは表現できないような複雑なロジックが必要な場合に有効です。

選択のポイント

  • データの特性: データの量、構造、アクセスパターンによって最適な手法が異なります。
  • 性能要求: どの程度の性能が求められるかによって、選択する手法が変わります。
  • メンテナンスコスト: 各手法には、作成や管理にかかるコストが異なります。
  • 柔軟性: システムの変更に対応できる柔軟性も考慮する必要があります。

ビューやマテリアライズドビューは、データベースのパフォーマンス向上に非常に有効なツールですが、必ずしも唯一の選択肢ではありません。上記の代替手法を組み合わせることで、より最適なソリューションを実現することができます。

どの手法を選択するかは、具体的な利用シーンやシステムの要件によって異なります。

具体的な例

  • 頻繁に実行される集計クエリ: マテリアライズドビューまたは関数型インデックス
  • 大規模な履歴データ: パーティショニング
  • 複雑なビジネスロジック: PL/SQL
  • 単純なデータ抽出: ビュー

どの手法が最適か判断できない場合は、データベースの専門家に相談することをお勧めします。

  • 上記以外にも、Oracle Databaseには、SQLチューニングアドバイザや自動ワークロードレポーティングなどのツールが提供されており、パフォーマンス改善を支援します。
  • 最新のOracle Databaseでは、マテリアライズドビューの機能が強化されており、より柔軟な利用が可能になっています。

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