SQL Serverの予約語をテーブル名で使う?可読性とメンテナンス性を両立させる賢い方法
SQL Server で予約語として登録されているテーブル名を作成する
SQL Server には、データベースオブジェクトの名前や識別子として使用できない予約語がいくつかあります。もし、テーブル名に予約語を使用してしまうと、構文エラーが発生したり、予期せぬ動作を引き起こしたりする可能性があります。
しかし、どうしても予約語をテーブル名として使用したい場合もあります。そのような場合は、以下の方法で回避することができます。
方法
- 予約語を角括弧で囲む
最も一般的な方法は、予約語を角括弧 [
と ]
で囲むことです。例えば、SELECT
という予約語をテーブル名に使用したい場合は、以下のようになります。
CREATE TABLE [SELECT] (
id INT PRIMARY KEY,
name VARCHAR(50)
);
- 予約語を大文字小文字に変換する
SQL Server は、識別子の大小文字を区別します。そのため、予約語を大文字小文字逆にすれば、別の識別子として使用することができます。例えば、USER
という予約語をテーブル名に使用したい場合は、以下のようになります。
CREATE TABLE user (
id INT PRIMARY KEY,
name VARCHAR(50)
);
注意点
- 予約語をテーブル名に使用することは、可読性や保守性を損なう可能性があるため、できるだけ避けるべきです。
- 上記の方法を使用しても、予約語を使用したテーブル名に対しては、SQL Server の IntelliSense 機能が動作しない場合があります。
CREATE TABLE [SELECT] (
id INT PRIMARY KEY,
name VARCHAR(50)
);
SELECT * FROM [SELECT];
CREATE TABLE user (
id INT PRIMARY KEY,
name VARCHAR(50)
);
SELECT * FROM user;
このコードは、USER
という予約語を大文字小文字逆にし、user
というテーブル名として使用した例です。
角括弧を使用する場合
予約語 | テーブル名 |
---|---|
ORDER | [ORDER] |
BY | [BY] |
GROUP | [GROUP] |
HAVING | [HAVING] |
WHERE | [WHERE] |
大文字小文字変換を使用する場合
予約語 | テーブル名 |
---|---|
TABLE | table |
VIEW | view |
PROCEDURE | procedure |
FUNCTION | function |
TRIGGER | trigger |
注意事項
従来、予約語をテーブル名として使用する方法は、以下の2通りが一般的でした。
しかし、これらの方法には、以下のような欠点があります。
- メンテナンス性が低下する: 予約語を使用したテーブル名を変更する場合、全てのクエリやコードを変更する必要があります。これは、特に大規模なデータベースの場合、非常に困難な作業になります。
- 可読性が低下する: 予約語を角括弧で囲むと、識別子が長くなり、可読性が低下します。また、大文字小文字を変換すると、本来の意味がわかりにくくなります。
これらの欠点を克服するために、近年では以下の方法も提案されています。
シノニムを使用する
シノニムは、既存のオブジェクトの別名を作成するための機能です。予約語をテーブル名として使用したい場合は、その予約語と同等のシノニムを作成し、そのシノニムを使用してテーブルを参照することができます。
CREATE SYNONYM my_table FOR SELECT;
CREATE TABLE my_table (
id INT PRIMARY KEY,
name VARCHAR(50)
);
SELECT * FROM my_table;
この例では、SELECT
という予約語と同等のシノニム my_table
を作成し、そのシノニムを使用して my_table
テーブルを参照しています。
エスケープシーケンスを使用する
SQL Server 2016 以降では、予約語をエスケープシーケンスを使用して識別子として使用することができます。エスケープシーケンスとは、特殊な意味を持つ文字を、特殊な意味を持たない文字として扱うための記号です。
CREATE TABLE ##SELECT## (
id INT PRIMARY KEY,
name VARCHAR(50)
);
SELECT * FROM ##SELECT##;
この例では、##
というエスケープシーケンスを使用して SELECT
という予約語をエスケープし、##SELECT##
という識別子として使用しています。
別のデータベーススキーマを使用する
データベーススキーマとは、データベース内のオブジェクトを整理するための階層構造です。別のデータベーススキーマを使用することで、予約語と識別子の名前空間を分離することができます。
CREATE SCHEMA my_schema;
USE my_schema;
CREATE TABLE SELECT (
id INT PRIMARY KEY,
name VARCHAR(50)
);
SELECT * FROM SELECT;
この例では、my_schema
という別のデータベーススキーマを作成し、そのスキーマ内で SELECT
というテーブルを作成しています。
動的 SQL を使用する
動的 SQL は、文字列を構築して実行する SQL の機能です。動的 SQL を使用することで、実行時にテーブル名を決定することができます。
DECLARE @tableName NVARCHAR(50) = 'SELECT';
EXEC sp_executesql @sql = N'
CREATE TABLE @tableName (
id INT PRIMARY KEY,
name VARCHAR(50)
);
SELECT * FROM @tableName;
',
@params = NVARCHAR(50) = '@tableName',
@tableName = @tableName;
この例では、@tableName
という変数にテーブル名 SELECT
を格納し、動的 SQL を使用してそのテーブルを作成しています。
どの方法を選択すべきか
どの方法を選択すべきかは、状況によって異なります。
- プログラムから動的にテーブルを作成する場合は、動的 SQLを使用することができます。
- 複数のデータベーススキーマを使用している場合は、別のデータベーススキーマを使用することができます。
- 最新の SQL Server を使用している場合は、エスケープシーケンスを使用するのも良い選択肢です。
- 可読性やメンテナンス性を重視する場合は、シノニムを使用するのが良いでしょう。
- 動的 SQL を使用する場合は、SQL インジェクションなどのセキュリティ対策に注意する必要があります。
- 別のデータベーススキーマを使用する場合は、スキーマを切り替える必要があることに注意してください。
- エスケープシーケンスを使用する場合は、SQL Server 2016 以降を使用している必要があります。
- シノニムを使用する場合は、シノニムが元のオブジェクトと同じスキーマ内に存在する必要があります。
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