データベースパフォーマンス向上に役立つ!SQL Serverのクラスタ化インデックスと非クラスタ化インデックス
SQL Serverにおけるクラスタ化インデックスと非クラスタ化インデックスの違い
SQL Serverデータベースにおいて、インデックスはデータの検索速度を向上させる重要な機能です。しかし、インデックスには種類があり、それぞれ異なる特性と用途を持っています。本記事では、クラスタ化インデックスと非クラスタ化インデックスという2つの主要なインデックスの種類について、分かりやすく解説します。
クラスタ化インデックス
クラスタ化インデックスは、テーブルのデータを論理的な順序で物理的に格納するインデックスです。テーブルの行は、インデックスキー値に基づいて順序付けされます。このため、クラスタ化インデックスを使用すると、範囲検索や等価比較などのクエリ処理を効率的に実行できます。
2 特徴
- テーブルのデータ構造を決定します。
- 1つのテーブルに対して1つしか作成できません。
- 主キー列に通常作成されますが、必ずしも必要ではありません。
- データの更新や挿入が比較的重くなります。
- インデックスキー列に基づいた順序付けと検索に優れています。
3 動作
クラスタ化インデックスでクエリを実行する場合、SQL Serverはまずインデックスツリーを検索します。インデックスツリーは、B木と呼ばれるデータ構造で、インデックスキー値とデータ行へのポインタを含んでいます。検索条件に一致するキー値が見つかると、そのキー値に対応するデータ行へのポインタを使用して、実際のデータ行にアクセスします。
4 利点
- 範囲検索や等価比較などのクエリ処理を高速化します。
- プライマリキーによるデータの順序付けを効率的に実現します。
- 結合操作のパフォーマンスを向上させる可能性があります。
5 欠点
- テーブルのデータ構造を変更するため、作成や削除に時間がかかる場合があります。
- データの更新や挿入が少し遅くなる可能性があります。
- 複数の列で構成される複合インデックスを作成できない場合があります。
非クラスタ化インデックスは、テーブルのデータとは独立した構造で保持されるインデックスです。インデックスには、インデックスキー値と、対応するデータ行へのポインタが含まれています。クラスタ化インデックスとは異なり、テーブルのデータ構造を決定しません。
- テーブルのデータ構造とは独立して作成できます。
- 非キー列を含むインデックスを作成できます。
- データの更新や挿入への影響が比較的少ないです。
- 特定の列に基づいた検索に適しています。
非クラスタ化インデックスでクエリを実行する場合、SQL Serverはまずインデックスツリーを検索します。インデックスツリーからデータ行へのポインタを取得した後、実際のデータ行にアクセスします。しかし、クラスタ化インデックスとは異なり、データ行へのアクセスには追加の入出力操作が必要となります。
- 柔軟なインデックス構成が可能で、様々なクエリに対応できます。
- クラスタ化インデックスに比べて検索処理が遅くなる場合があります。
- インデックスが増えると、テーブルの管理が複雑になる可能性があります。
- 複数の列で構成される複合インデックスを作成する場合、インデックスのサイズが大きくなる可能性があります。
適切なインデックスを選択する
適切なインデックスを選択することは、データベースのパフォーマンスを向上させるために重要です。一般的に、以下の点を考慮してインデックスを選択する必要があります。
- クエリパターン: 頻繁に実行されるクエリの種類を分析し、それに適したインデックスを選択します。
- テーブルサイズ: 小さなテーブルの場合は、インデックスによるメリットが小さい場合があります。
- データ更新頻度: データ更新が頻繁に行われる場合は、インデックスによる影響を考慮する必要があります。
クラスタ化インデックスと非クラスタ化インデックスは、それぞれ異なる特性と用途を持つインデックスです。適切なインデックスを選択することで、データベースのパフォーマンスを大幅に向上させることができます。
-- クラスタ化インデックスの作成例
CREATE CLUSTERED INDEX IX_Customers_CustomerID ON Customers (CustomerID);
-- 非クラスタ化インデックスの作成例
CREATE NONCLUSTERED INDEX IX_Customers_LastName ON Customers (LastName);
上記のコード例では、Customers
テーブルに対して2つのインデックスを作成しています。
1つ目のインデックスは、CustomerID
列をキーとしたクラスタ化インデックスです。このインデックスは、CustomerID
列に基づいてテーブルのデータを物理的に順序付けします。
2つ目のインデックスは、LastName
列をキーとした非クラスタ化インデックスです。このインデックスは、LastName
列に基づいてデータ行へのポインタを格納する独立した構造として保持されます。
これらのインデックスは、それぞれ異なるクエリのパフォーマンスを向上させることができます。
CustomerID
列を使用した等価比較クエリ (例:SELECT * FROM Customers WHERE CustomerID = 123
) は、クラスタ化インデックスを使用して高速に処理できます。
クラスタ化インデックスと非クラスタ化インデックスの比較表
項目 | クラスタ化インデックス | 非クラスタ化インデックス |
---|---|---|
データ構造 | テーブルのデータ構造を決定 | テーブルのデータ構造とは独立 |
作成数 | 1テーブルにつき1つ | 1テーブルにつき複数可 |
インデックスキー | 主キー列に最適だが、必ずしも必要ではない | 非キー列を含む可 |
データ更新/挿入への影響 | やや大きい | 比較的小さい |
検索処理速度 | 特定の列に基づいた検索に優れている | 範囲検索や等価比較に優れている |
利点 | プライマリキーによる順序付け、結合操作のパフォーマンス向上 | 柔軟なインデックス構成、データ更新の影響が少ない |
欠点 | 作成/削除に時間がかかる、データ更新/挿入が遅くなる場合がある | 検索処理が遅くなる場合がある、インデックス管理が複雑になる場合がある |
- 複合インデックス: 複数の列で構成されるインデックスを作成できます。複合インデックスは、複数の列に基づいた検索を高速化できますが、インデックスのサイズが大きくなる可能性があります。
- フィルタリングインデックス: WHERE句で使用される条件に基づいて、インデックスの一部のみを使用するインデックスです。フィルタリングインデックスは、特定の条件で頻繁に実行されるクエリのパフォーマンスを向上させることができます。
- インデックスのメンテナンス: インデックスは、データの更新や挿入が行われるたびに更新する必要があります。インデックスのメンテナンスには時間がかかるため、パフォーマンスに影響を与える可能性があります。
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