開発者必見! SQL Server トランザクションの高度なテクニック:分散トランザクション、ロケーションモニターなどを紹介

2024-07-27

SQL Serverでトランザクションをコミットしないとどうなるか?

SQL Serverのようなデータベースシステムにおいて、トランザクションは複数の操作をひとまとまりとして扱い、データの一貫性を保つ重要な仕組みです。しかし、トランザクションを終了する前にコミット操作を実行しないと、予期せぬ結果が生じる可能性があります。

コミット操作が行われない場合

以下の2つのケースが考えられます。

  1. 明示的にロールバックを実行する:

  2. コミットもロールバックも実行せずに終了する:

    この場合、データベースの設定によって動作が異なります

    • 自動コミットモード: デフォルト設定では、このモードが有効になっています。このモードでは、トランザクション終了時に自動的にコミットが行われます。そのため、たとえコミット操作を明示的に実行しなくても、データ変更は保持されます。
    • 明示的コミットモード: このモードでは、トランザクションを終了するには、コミット操作を明示的に実行する必要があります。コミット操作を実行しなければ、トランザクション開始以降に行われた全ての操作が取り消され、データベースの状態はトランザクション開始前の状態に戻ります。

コミット操作を忘れないことの重要性

コミット操作を忘れると、以下の問題が発生する可能性があります。

  • データの一貫性の喪失: トランザクション内の操作の一部だけが実行され、データベースの状態が矛盾した状態になる可能性があります。
  • パフォーマンスの低下: コミット操作が実行されないトランザクションは、ロック状態を保持し続けるため、他のトランザクションのパフォーマンスに悪影響を及ぼす可能性があります。
  • 予期せぬエラー: アプリケーションによっては、コミット操作が実行されないことが原因で、予期せぬエラーが発生する可能性があります。



-- トランザクションを開始する
BEGIN TRANSACTION;

-- 送金元口座から100ドルを引き出す
UPDATE Accounts
SET Balance = Balance - 100
WHERE AccountID = 1;

-- 送金先口座に100ドルを入金する
UPDATE Accounts
SET Balance = Balance + 100
WHERE AccountID = 2;

-- トランザクションをコミットする
COMMIT TRANSACTION;

このコードでは、以下の処理が行われます。

  1. BEGIN TRANSACTION; ステートメントを使用して、トランザクションを開始します。
  2. UPDATE Accounts ステートメントを使用して、送金元口座から100ドルを引き出します。

コミット操作が成功すると、送金元口座から100ドルが引き出され、送金先口座に100ドルが入金されます。しかし、いずれかのステートメントの実行中にエラーが発生した場合、COMMIT TRANSACTION; ステートメントは実行されず、トランザクションは自動的にロールバックされます。

  • このコードはあくまで一例であり、実際のアプリケーションでは、エラー処理やロック処理などの追加処理が必要となる場合があります。

以下のコードは、別のシナリオにおけるトランザクションのコミットとロールバックの例です。

例 1: 在庫管理システム

この例では、ある倉庫から別の倉庫へ商品を移動する処理を記述します。

-- トランザクションを開始する
BEGIN TRANSACTION;

-- 送信元倉庫から在庫数を10個減らす
UPDATE Inventory
SET Quantity = Quantity - 10
WHERE WarehouseID = 1 AND ProductID = 1;

-- 受信倉庫に在庫数を10個増やす
UPDATE Inventory
SET Quantity = Quantity + 10
WHERE WarehouseID = 2 AND ProductID = 1;

-- 送信元倉庫から商品が実際に発送されたことを確認する
DECLARE @shippingConfirmed INT;
SET @shippingConfirmed = 1; -- ここでは仮に発送が成功したと仮定

-- 商品が発送された場合はコミット、そうでなければロールバック
IF @shippingConfirmed = 1
BEGIN
    COMMIT TRANSACTION;
END
ELSE
BEGIN
    ROLLBACK TRANSACTION;
END;

例 2: オンライン予約システム

この例では、飛行機の座席を予約する処理を記述します。

-- トランザクションを開始する
BEGIN TRANSACTION;

-- 空席数を1減らす
UPDATE Seats
SET Available = Available - 1
WHERE FlightID = 123 AND SeatNumber = 7C;

-- 顧客情報を予約テーブルに追加する
INSERT INTO Reservations (FlightID, SeatNumber, CustomerName)
VALUES (123, '7C', 'John Doe');

-- 予約が成功した場合はコミット、そうでなければロールバック
IF @@ERROR = 0
BEGIN
    COMMIT TRANSACTION;
END
ELSE
BEGIN
    ROLLBACK TRANSACTION;
END;



自動コミットモードが有効の場合、トランザクションは明示的にコミットしなくても自動的にコミットされます。これは、以下のいずれかの操作を実行したときに発生します。

  • SELECT ステートメントを実行する
  • INSERTUPDATE、または DELETE ステートメント以外の DML ステートメントを実行する
  • COMMIT TRANSACTION または ROLLBACK TRANSACTION ステートメントを実行する
  • トランザクションを開始した接続を終了する

例:

-- 自動コミットモードでトランザクションを実行する
SET XACT_ABORT ON; -- エラーが発生するとロールバックするように設定
BEGIN TRANSACTION;

-- 送金元口座から100ドルを引き出す
UPDATE Accounts
SET Balance = Balance - 100
WHERE AccountID = 1;

-- 送金先口座に100ドルを入金する
UPDATE Accounts
SET Balance = Balance + 100
WHERE AccountID = 2;

-- 暗黙的にコミットされる
SELECT * FROM Accounts;

分散トランザクション

分散トランザクションは、複数のデータベースにまたがるトランザクションです。この場合、各データベースで個別にコミット操作を実行する必要があります。コミット操作は、2 フェーズコミットと呼ばれるプロトコルを使用して実行されます。

-- 分散トランザクションを開始する
BEGIN DISTRIBUTED TRANSACTION;

-- データベース1で操作を実行する
UPDATE Accounts
SET Balance = Balance - 100
WHERE AccountID = 1
    AND DatabaseID = 1;

-- データベース2で操作を実行する
UPDATE Accounts
SET Balance = Balance + 100
WHERE AccountID = 2
    AND DatabaseID = 2;

-- 両方のデータベースでコミットする
COMMIT DISTRIBUTED TRANSACTION;

ロケーションモニター

ロケーションモニターは、トランザクションの完了時に自動的にコミットまたはロールバックを実行するメカニズムです。ロケーションモニターは、トリガーやストアドプロシージャを使用して実装できます。

-- ロケーションモニターを作成する
CREATE TRIGGER commit_on_success
ON Accounts
AFTER UPDATE
AS
BEGIN
    IF @@ERROR = 0
    BEGIN
        COMMIT TRANSACTION;
    END
    ELSE
    BEGIN
        ROLLBACK TRANSACTION;
    END;
END;

この例では、Accounts テーブルを更新するたびに commit_on_success トリガーが起動します。トリガーは、操作が成功した場合はコミットし、失敗した場合はロールバックを実行します。


sql-server transactions commit



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