PostgreSQLにおける複数 ON CONFLICT ターゲットの使用:サンプルコード

2024-07-27

PostgreSQLにおける複数 ON CONFLICT ターゲットの使用:詳細ガイド

従来のON CONFLICT句では、1つの列のみを競合ターゲットとして指定できましたが、PostgreSQL 9.5以降では、複数列を同時に競合ターゲットとして指定できるようになりました。これにより、より柔軟で高度なUPSERT処理が可能になります。

複数競合ターゲットの構文

INSERT INTO table_name (col1, col2, ...)
VALUES (val1, val2, ...)
ON CONFLICT (col1, col2, ...)
DO UPDATE SET
    ...

上記のように、ON CONFLICT句のカッコ内に、カンマ区切りで複数の競合ターゲット列を指定します。

動作例

以下の例では、usersテーブルにレコードをUPSERTします。レコードがすでに存在する場合は、emailphone_numberが一致するかどうかで競合を判断し、一致した場合にaddress列を更新します。

INSERT INTO users (name, email, phone_number, address)
VALUES ('Taro Yamada', '[email protected]', '090-1234-5678', 'Tokyo, Japan')
ON CONFLICT (email, phone_number)
DO UPDATE SET address = 'Yokohama, Japan';

この例では、以下のようになります。

  • [email protected]090-1234-5678 が既存レコードと一致する場合、address列のみが 'Yokohama, Japan' に更新されます。
  • 一致するレコードが存在しない場合は、新しいレコードが挿入されます。
  • 複合ユニークキーによるUPSERTが可能になります。
  • 複数の列に基づいて、より詳細な競合処理を記述できます。
  • 将来的に列を追加する場合でも、柔軟に対応できます。

注意事項

  • 複合ユニークキーを設定している列を競合ターゲットに必ず含める必要があります。
  • 競合ターゲット列の順序は、パフォーマンスに影響を与える可能性があります。頻繁に更新される列を先に指定することをお勧めします。



複合ユニークキーによるUPSERT

CREATE TABLE users (
    id SERIAL PRIMARY KEY,
    name VARCHAR(255) NOT NULL,
    email VARCHAR(255) NOT NULL UNIQUE,
    phone_number VARCHAR(20) NOT NULL UNIQUE,
    address VARCHAR(255)
);

INSERT INTO users (name, email, phone_number, address)
VALUES ('Taro Yamada', '[email protected]', '090-1234-5678', 'Tokyo, Japan')
ON CONFLICT (email, phone_number)
DO UPDATE SET address = 'Yokohama, Japan';

部分的な更新

以下の例では、productsテーブルにproduct_idcolorの複合ユニークキーを設定し、UPSERTを行います。既存レコードが存在する場合は、colorが一致するかどうかで競合を判断し、一致した場合にpricestock列を更新します。

CREATE TABLE products (
    product_id INT PRIMARY KEY,
    name VARCHAR(255) NOT NULL,
    color VARCHAR(20) NOT NULL UNIQUE,
    price DECIMAL(10,2) NOT NULL,
    stock INT NOT NULL
);

INSERT INTO products (product_id, name, color, price, stock)
VALUES (1, 'T-Shirt', 'Red', 19.99, 10)
ON CONFLICT (color)
DO UPDATE SET price = 24.99, stock = 20;
  • Red が既存レコードのcolorと一致する場合、price列が 24.99 に、stock列が 20 に更新されます。

複数の競合条件

以下の例では、ordersテーブルにcustomer_idorder_numberの複合ユニークキーを設定し、UPSERTを行います。既存レコードが存在する場合は、customer_idorder_numberが一致するかどうかで競合を判断し、一致した場合にstatusshipping_address列を更新します。さらに、status'PENDING'の場合のみ更新を行います。

CREATE TABLE orders (
    order_id SERIAL PRIMARY KEY,
    customer_id INT NOT NULL,
    order_number VARCHAR(20) NOT NULL UNIQUE,
    status VARCHAR(20) NOT NULL,
    shipping_address VARCHAR(255),
    created_at TIMESTAMP NOT NULL DEFAULT CURRENT_TIMESTAMP
);

INSERT INTO orders (customer_id, order_number, status, shipping_address)
VALUES (123, 'ORD-12345', 'PENDING', '123 Main Street')
ON CONFLICT (customer_id, order_number)
DO UPDATE SET status = 'SHIPPED', shipping_address = '456 Elm Street'
WHERE status = 'PENDING';
  • customer_id123order_number'ORD-12345' の既存レコードが存在し、かつ status'PENDING' である場合、status列が 'SHIPPED' に、shipping_address列が '456 Elm Street' に更新されます。



PostgreSQLにおけるUPSERTの実行方法:代替手段

MERGE句

MERGE INTO users (name, email, phone_number, address)
USING (
    SELECT 'Taro Yamada', '[email protected]', '090-1234-5678', 'Tokyo, Japan'
) AS new_data
ON (users.email = new_data.email AND users.phone_number = new_data.phone_number)
WHEN MATCHED THEN
    UPDATE SET address = new_data.address
WHEN NOT MATCHED THEN
    INSERT (name, email, phone_number, address)
    VALUES (new_data.name, new_data.email, new_data.phone_number, new_data.address);

利点:

  • ON CONFLICT句よりも可読性が高いと感じる人もいる

欠点:

  • ON CONFLICT句よりも新しい機能であり、一部の古いバージョンのPostgreSQLでは利用できない
  • 複雑な処理になると、可読性が低下する可能性がある

トリガー

トリガーは、データベース操作に応じて自動的に実行されるプログラムです。INSERT操作時にトリガーが起動し、既存レコードの有無を確認して、必要に応じてUPDATE処理を実行することができます。

CREATE OR REPLACE FUNCTION update_user_address()
RETURNS TRIGGER AS $$
BEGIN
    IF EXISTS (
        SELECT 1 FROM users
        WHERE email = NEW.email AND phone_number = NEW.phone_number
    ) THEN
        UPDATE users
        SET address = NEW.address
        WHERE email = NEW.email AND phone_number = NEW.phone_number;
    ELSE
        INSERT INTO users (name, email, phone_number, address)
        VALUES (NEW.name, NEW.email, NEW.phone_number, NEW.address);
    END IF;

    RETURN NEW;
END;
$$ LANGUAGE plpgsql;

CREATE TRIGGER update_user_address_trigger
BEFORE INSERT ON users
FOR EACH ROW
EXECUTE PROCEDURE update_user_address();
  • 複雑なUPSERT処理を柔軟に記述できる
  • INSERT以外の操作にも対応できる
  • トリガーのコーディングと設定が必要
  • 実行パフォーマンスが若干低下する可能性がある

外部ライブラリ

PostgreSQL用のライブラリの中には、UPSERT処理を簡素化する機能を提供するものがあります。これらのライブラリを利用することで、複雑なコーディングをせずにUPSERTを実行できます。

  • コーディング量を減らせる
  • ライブラリの導入と設定が必要
  • 使用するライブラリによっては、パフォーマンスが低下する可能性がある

PostgreSQLでUPSERTを実行する方法には、ON CONFLICT句、MERGE句、トリガー、外部ライブラリなど、それぞれ異なる方法があります。それぞれの方法の特徴と利点・欠点を理解し、状況に応じて最適な方法を選択することが重要です。

留意点


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