【MySQL徹底解説】InnoDBストレージエンジンで外部キー制約を駆使したデータベース設計の極意
MySQL InnoDBにおける異なるデータベース間の外部キー制約
しかし、間接的な方法で異なるデータベース間で似たような関係を表現することは可能です。以下、2つの方法をご紹介します。
共通テーブルを用いた方法
- 共通テーブルを作成し、両方のデータベースでこのテーブルを共有します。
- 共通テーブルには、関連する両方のテーブルの主キーを格納します。
- 各テーブルは、共通テーブルの主キーを参照する外部キー制約を持ちます。
この方法では、厳密な外部キー制約ではないものの、両方のデータベース間でデータの整合性を保つことができます。
アプリケーションロジックによる制御
- アプリケーションロジックで、両方のデータベース間でデータの一貫性を保つように制御します。
- 例えば、一方のデータベースでレコードを更新または削除する前に、もう一方のデータベースで関連レコードが存在するか確認します。
この方法は、柔軟性がありますが、アプリケーションロジックが複雑になる可能性があります。
その他の注意点
- 異なるデータベース間で外部キー制約を設定できないという制約は、MySQL InnoDBに限らず、多くのRDBMSに共通しています。
- どうしても異なるデータベース間で外部キー制約が必要な場合は、データベース統合ツールなどを利用する方法も検討できます。
MySQL InnoDBでは、異なるデータベース間で外部キー制約を直接設定することはできません。しかし、上記のような代替方法で、データの整合性を保つことは可能です。
データベース: db1
CREATE TABLE orders (
order_id INT PRIMARY KEY AUTO_INCREMENT,
customer_id INT NOT NULL,
product_id INT NOT NULL,
FOREIGN KEY (customer_id) REFERENCES customers(customer_id),
FOREIGN KEY (product_id) REFERENCES products(product_id)
);
CREATE TABLE customers (
customer_id INT PRIMARY KEY AUTO_INCREMENT,
customer_name VARCHAR(255) NOT NULL
);
CREATE TABLE products (
product_id INT PRIMARY KEY AUTO_INCREMENT,
product_name VARCHAR(255) NOT NULL
);
CREATE TABLE orders_db2 (
order_id INT PRIMARY KEY,
shipping_address VARCHAR(255) NOT NULL
);
この例では、orders
テーブルはdb1
データベースに、orders_db2
テーブルはdb2
データベースに存在します。
orders
テーブルには、customer_id
とproduct_id
という外部キー制約があり、それぞれdb1
データベースのcustomers
テーブルとproducts
テーブルを参照します。
orders_db2
テーブルには、order_id
という主キーがあり、db1
データベースのorders
テーブルのorder_id
を共有します。
この設計により、db1
データベースのorders
テーブルとdb2
データベースのorders_db2
テーブル間でデータの一貫性を保つことができます。
補足
このサンプルコードはあくまで一例であり、実際の状況に合わせて変更する必要があります。
例えば、異なるデータベース間でデータ型が異なる場合などは、適切な変換処理が必要になる場合があります。
異なるデータベース間でデータ整合性を保つその他の方法
共通テーブルを用いた方法(詳細版)
前述のサンプルコードでは概要のみ説明しましたが、ここではより詳細な説明と、この方法のメリットとデメリットについて説明します。
メリット:
- 比較的シンプルな実装
- データベース間の結合が容易
- 参照整合性をデータベース側で保つことができる
- 共通テーブルの更新・削除が複雑になる
- スケーラビリティが制限される
- データベース間の結合が増えるとパフォーマンスが低下する可能性がある
共通テーブルの実装例:
以下の例は、顧客情報と注文情報をそれぞれ異なるデータベースに格納する場合の、共通テーブルを用いた実装例です。
データベース: db_customer
CREATE TABLE customer (
customer_id INT PRIMARY KEY AUTO_INCREMENT,
customer_name VARCHAR(255) NOT NULL
);
CREATE TABLE common_table (
common_id INT PRIMARY KEY AUTO_INCREMENT
);
CREATE TABLE order (
order_id INT PRIMARY KEY AUTO_INCREMENT,
customer_id INT NOT NULL,
product_id INT NOT NULL,
common_id INT NOT NULL,
FOREIGN KEY (customer_id) REFERENCES db_customer.customer(customer_id),
FOREIGN KEY (product_id) REFERENCES product_info.product(product_id),
FOREIGN KEY (common_id) REFERENCES common_table(common_id)
);
CREATE TABLE product_info (
product_id INT PRIMARY KEY AUTO_INCREMENT,
product_name VARCHAR(255) NOT NULL
);
この例では、common_table
というテーブルをdb_order
データベースに作成し、order
テーブルとproduct_info
テーブルはこのcommon_table
を介して関連付けられています。
メッセージキューを用いた方法
メッセージキューを用いた方法は、以下のような非同期処理でデータ整合性を保つ方法です。
手順:
- 一方のデータベースでレコードを更新または削除する前に、メッセージをメッセージキューに発行します。
- もう一方のデータベースは、メッセージキューを監視し、メッセージを受信したら、それに基づいてレコードを更新または削除します。
- 異なるデータベース間で柔軟にデータ連携できる
- システムが複雑になる
- メッセージキューの運用管理が必要
- メッセージの輻輳や遅延が発生する可能性がある
以下の例は、Kafkaというメッセージキューを用いて、異なるデータベース間で注文データを同期する方法です。
-- 注文情報を作成
INSERT INTO orders (
customer_id,
product_id
)
VALUES (
1,
100
);
-- メッセージをKafkaに発行
SEND MESSAGE TO kafka_topic
ORDER_CREATED customer_id=1 product_id=100;
-- Kafkaからメッセージを受信
CONSUME MESSAGE FROM kafka_topic
ON MESSAGE BEGIN
-- 受信したメッセージに基づいて注文情報を同期
INSERT INTO orders_db2 (
order_id,
shipping_address
)
VALUES (
?,
?
);
END;
この例では、db1
データベースで注文情報を作成すると、kafka_topic
というトピックにメッセージが発行されます。
db2
データベースは、kafka_topic
トピックを監視し、メッセージを受信したら、それに基づいてorders_db2
テーブルにレコードを挿入します。
データ同期ツールを用いた方法
データ同期ツールは、データベース間でデータを自動的に同期するためのツールです。
- 設定や運用が比較的容易
- 複雑なデータ連携も実現できる
- ツールのライセンス費用が発生する場合がある
- すべてのツールが異なるデータベース間での同期をサポートしているわけではない
- MySQL Data Replication Manager: MySQL製のデータ同期ツール
- Syncplify: さまざまなデータベースをサポートするデータ同期ツール
- Attunity Connect: エンタープライズ向けのデータ同期ツール
注意事項:
上記で紹介した方法は、それぞれ
mysql database foreign-keys