【MySQL徹底解説】InnoDBストレージエンジンで外部キー制約を駆使したデータベース設計の極意

2024-06-22

MySQL InnoDBにおける異なるデータベース間の外部キー制約

しかし、間接的な方法で異なるデータベース間で似たような関係を表現することは可能です。以下、2つの方法をご紹介します。

共通テーブルを用いた方法

  1. 共通テーブルを作成し、両方のデータベースでこのテーブルを共有します。
  2. 共通テーブルには、関連する両方のテーブルの主キーを格納します。
  3. 各テーブルは、共通テーブルの主キーを参照する外部キー制約を持ちます。

この方法では、厳密な外部キー制約ではないものの、両方のデータベース間でデータの整合性を保つことができます。

アプリケーションロジックによる制御

  1. アプリケーションロジックで、両方のデータベース間でデータの一貫性を保つように制御します。
  2. 例えば、一方のデータベースでレコードを更新または削除する前に、もう一方のデータベースで関連レコードが存在するか確認します。

この方法は、柔軟性がありますが、アプリケーションロジックが複雑になる可能性があります。

その他の注意点

  • 異なるデータベース間で外部キー制約を設定できないという制約は、MySQL InnoDBに限らず、多くのRDBMSに共通しています。
  • どうしても異なるデータベース間で外部キー制約が必要な場合は、データベース統合ツールなどを利用する方法も検討できます。

MySQL InnoDBでは、異なるデータベース間で外部キー制約を直接設定することはできません。しかし、上記のような代替方法で、データの整合性を保つことは可能です。




    データベース: db1

    CREATE TABLE orders (
      order_id INT PRIMARY KEY AUTO_INCREMENT,
      customer_id INT NOT NULL,
      product_id INT NOT NULL,
      FOREIGN KEY (customer_id) REFERENCES customers(customer_id),
      FOREIGN KEY (product_id) REFERENCES products(product_id)
    );
    
    CREATE TABLE customers (
      customer_id INT PRIMARY KEY AUTO_INCREMENT,
      customer_name VARCHAR(255) NOT NULL
    );
    
    CREATE TABLE products (
      product_id INT PRIMARY KEY AUTO_INCREMENT,
      product_name VARCHAR(255) NOT NULL
    );
    
    CREATE TABLE orders_db2 (
      order_id INT PRIMARY KEY,
      shipping_address VARCHAR(255) NOT NULL
    );
    

    この例では、ordersテーブルはdb1データベースに、orders_db2テーブルはdb2データベースに存在します。

    ordersテーブルには、customer_idproduct_idという外部キー制約があり、それぞれdb1データベースのcustomersテーブルとproductsテーブルを参照します。

    orders_db2テーブルには、order_idという主キーがあり、db1データベースのordersテーブルのorder_idを共有します。

    この設計により、db1データベースのordersテーブルとdb2データベースのorders_db2テーブル間でデータの一貫性を保つことができます。

    補足

    このサンプルコードはあくまで一例であり、実際の状況に合わせて変更する必要があります。

    例えば、異なるデータベース間でデータ型が異なる場合などは、適切な変換処理が必要になる場合があります。




    異なるデータベース間でデータ整合性を保つその他の方法

    共通テーブルを用いた方法(詳細版)

    前述のサンプルコードでは概要のみ説明しましたが、ここではより詳細な説明と、この方法のメリットとデメリットについて説明します。

    メリット:

    • 比較的シンプルな実装
    • データベース間の結合が容易
    • 参照整合性をデータベース側で保つことができる
    • 共通テーブルの更新・削除が複雑になる
    • スケーラビリティが制限される
    • データベース間の結合が増えるとパフォーマンスが低下する可能性がある

    共通テーブルの実装例:

    以下の例は、顧客情報注文情報をそれぞれ異なるデータベースに格納する場合の、共通テーブルを用いた実装例です。

    データベース: db_customer

    CREATE TABLE customer (
      customer_id INT PRIMARY KEY AUTO_INCREMENT,
      customer_name VARCHAR(255) NOT NULL
    );
    
    CREATE TABLE common_table (
      common_id INT PRIMARY KEY AUTO_INCREMENT
    );
    
    CREATE TABLE order (
      order_id INT PRIMARY KEY AUTO_INCREMENT,
      customer_id INT NOT NULL,
      product_id INT NOT NULL,
      common_id INT NOT NULL,
      FOREIGN KEY (customer_id) REFERENCES db_customer.customer(customer_id),
      FOREIGN KEY (product_id) REFERENCES product_info.product(product_id),
      FOREIGN KEY (common_id) REFERENCES common_table(common_id)
    );
    
    CREATE TABLE product_info (
      product_id INT PRIMARY KEY AUTO_INCREMENT,
      product_name VARCHAR(255) NOT NULL
    );
    

    この例では、common_tableというテーブルをdb_orderデータベースに作成し、orderテーブルとproduct_infoテーブルはこのcommon_tableを介して関連付けられています。

    メッセージキューを用いた方法

    メッセージキューを用いた方法は、以下のような非同期処理でデータ整合性を保つ方法です。

    手順:

    1. 一方のデータベースでレコードを更新または削除する前に、メッセージをメッセージキューに発行します。
    2. もう一方のデータベースは、メッセージキューを監視し、メッセージを受信したら、それに基づいてレコードを更新または削除します。
    • 異なるデータベース間で柔軟にデータ連携できる
    • システムが複雑になる
    • メッセージキューの運用管理が必要
    • メッセージの輻輳や遅延が発生する可能性がある

    以下の例は、Kafkaというメッセージキューを用いて、異なるデータベース間で注文データを同期する方法です。

    -- 注文情報を作成
    INSERT INTO orders (
      customer_id,
      product_id
    )
    VALUES (
      1,
      100
    );
    
    -- メッセージをKafkaに発行
    SEND MESSAGE TO kafka_topic
      ORDER_CREATED customer_id=1 product_id=100;
    
    -- Kafkaからメッセージを受信
    CONSUME MESSAGE FROM kafka_topic
      ON MESSAGE BEGIN
        -- 受信したメッセージに基づいて注文情報を同期
        INSERT INTO orders_db2 (
          order_id,
          shipping_address
        )
        VALUES (
          ?,
          ?
        );
      END;
    

    この例では、db1データベースで注文情報を作成すると、kafka_topicというトピックにメッセージが発行されます。

    db2データベースは、kafka_topicトピックを監視し、メッセージを受信したら、それに基づいてorders_db2テーブルにレコードを挿入します。

    データ同期ツールを用いた方法

    データ同期ツールは、データベース間でデータを自動的に同期するためのツールです。

    • 設定や運用が比較的容易
    • 複雑なデータ連携も実現できる
    • ツールのライセンス費用が発生する場合がある
    • すべてのツールが異なるデータベース間での同期をサポートしているわけではない
    • MySQL Data Replication Manager: MySQL製のデータ同期ツール
    • Syncplify: さまざまなデータベースをサポートするデータ同期ツール
    • Attunity Connect: エンタープライズ向けのデータ同期ツール

    注意事項:

    上記で紹介した方法は、それぞれ


    mysql database foreign-keys


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