SQL Server 2016以降で利用可能な一時テーブル変数
SQL Serverにおける一時テーブルのスレッド安全性
マルチスレッディングは、複数のスレッドを同時に実行することで、処理速度を向上させる技術です。SQL Serverでは、クエリの実行時にマルチスレッディングを使用することができます。
スレッド安全性とは、複数のスレッドからアクセスしてもデータが破損しないことを指します。
一時テーブルとスレッド安全性
SQL Serverの一時テーブルは、スレッドセーフではありません。これは、複数のスレッドが同時に同じ一時テーブルにアクセスすると、データが破損する可能性があることを意味します。
データ破損を防ぐ方法
一時テーブルをマルチスレッディング環境で使用する場合、データ破損を防ぐために以下の方法があります。
- トランザクションを使用する
トランザクションを使用することで、複数の操作をひとつのまとまりとして実行することができます。トランザクションがコミットされるまで、他のスレッドはトランザクション内のデータを見ることができません。
- ロックを使用する
ロックを使用することで、特定のデータへのアクセスを排他制御することができます。複数のスレッドが同時に同じデータにアクセスするのを防ぐことができます。
- 一時テーブルを個別に作成する
複数のスレッドが同時に同じ一時テーブルにアクセスする可能性がある場合は、スレッドごとに個別の一時テーブルを作成する必要があります。
SQL Serverの一時テーブルはスレッドセーフではないため、マルチスレッディング環境で使用する場合には注意が必要です。データ破損を防ぐために、トランザクションやロックなどの方法を使用する必要があります。
-- スレッド1
BEGIN TRANSACTION;
CREATE TABLE #temp (
id INT,
value VARCHAR(100)
);
INSERT INTO #temp (id, value) VALUES (1, 'Value1');
-- スレッド2
BEGIN TRANSACTION;
SELECT * FROM #temp;
-- スレッド1
COMMIT TRANSACTION;
-- スレッド2
COMMIT TRANSACTION;
DROP TABLE #temp;
このコードでは、2つのスレッドが同時に同じ一時テーブル #temp
にアクセスしています。しかし、トランザクションを使用しているため、データ破損は発生しません。
トランザクション以外にも、ロックや個別の一時テーブル作成などの方法を使用することができます。
-- スレッド1
BEGIN TRANSACTION;
DECLARE @lock TABLE (id INT);
INSERT INTO @lock (id) VALUES (1);
-- スレッド2
BEGIN TRANSACTION;
WAITFOR DELAY '00:00:01';
SELECT * FROM #temp;
-- スレッド1
COMMIT TRANSACTION;
-- スレッド2
COMMIT TRANSACTION;
DROP TABLE #temp;
このコードでは、@lock
というテーブルを使用して、#temp
テーブルへのアクセスを排他制御しています。
個別の一時テーブルを作成する例
-- スレッド1
BEGIN TRANSACTION;
CREATE TABLE #temp1 (
id INT,
value VARCHAR(100)
);
INSERT INTO #temp1 (id, value) VALUES (1, 'Value1');
-- スレッド2
BEGIN TRANSACTION;
CREATE TABLE #temp2 (
id INT,
value VARCHAR(100)
);
INSERT INTO #temp2 (id, value) VALUES (1, 'Value1');
-- スレッド1
COMMIT TRANSACTION;
-- スレッド2
COMMIT TRANSACTION;
DROP TABLE #temp1;
DROP TABLE #temp2;
このコードでは、スレッドごとに個別の一時テーブルを作成しています。
これらのサンプルコードは、あくまでも参考です。実際の状況に合わせて、適切な方法を選択する必要があります。
一時テーブルをスレッドセーフに操作するその他の方法
SQL Server 2016以降では、一時テーブル変数を使用することができます。一時テーブル変数は、ローカル変数のように使用できる一時テーブルです。一時テーブル変数はスレッドセーフなので、マルチスレッディング環境でも安心して使用することができます。
DECLARE @temp TABLE (
id INT,
value VARCHAR(100)
);
INSERT INTO @temp (id, value) VALUES (1, 'Value1');
SELECT * FROM @temp;
メモリ最適化テーブルは、メモリ上に格納されるテーブルです。メモリ最適化テーブルはスレッドセーフなので、マルチスレッディング環境でも安心して使用することができます。
CREATE TABLE #temp (
id INT,
value VARCHAR(100)
) WITH (MEMORY_OPTIMIZED = ON);
INSERT INTO #temp (id, value) VALUES (1, 'Value1');
SELECT * FROM #temp;
パーティショニングを使用する
一時テーブルをパーティショニングすることで、複数のスレッドが同時に同じパーティションにアクセスする可能性を低くすることができます。
CREATE TABLE #temp (
id INT,
value VARCHAR(100)
) WITH (PARTITIONED = ON);
INSERT INTO #temp (id, value) VALUES (1, 'Value1');
SELECT * FROM #temp;
これらの方法の比較
方法 | メリット | デメリット |
---|---|---|
トランザクション | データ破損を防ぐことができる | 処理速度が遅くなる可能性がある |
ロック | 処理速度が遅くなる可能性がある | デッドロックが発生する可能性がある |
個別の一時テーブル作成 | 処理速度が遅くなる可能性がある | メモリ使用量が増える可能性がある |
一時テーブル変数 | 処理速度が速い | SQL Server 2016以降でしか使用できない |
メモリ最適化テーブル | 処理速度が速い | メモリ使用量が増える可能性がある |
パーティショニング | 処理速度が速い | テーブル設計が複雑になる可能性がある |
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