SQLAlchemyを用いたORMによるデータベース操作:エンティティとテーブルの操作

2024-07-27

データベースにおけるエンティティとテーブルの違い

エンティティとは、現実世界のあるまとまりの情報を抽象化した概念を表します。例えば、「顧客」、「商品」、「注文」などがエンティティにあたります。エンティティは、固有の特性(属性)を持ち、互いに関係性を持つ場合があります。

一方、テーブルは、データベース内にデータを格納するための構造体です。行と列で構成され、各行はエンティティの個々のインスタンス(レコード)を表します。列は、エンティティの属性に対応し、それぞれの属性の値を格納します。

簡単に言えば、エンティティは「何」を表す概念であり、テーブルは「どのように」データを格納・管理するための構造と言えます。

例:顧客管理システム

顧客管理システムを例に考えてみましょう。

  • テーブル

    • 顧客テーブル:顧客ID(主キー)、氏名、住所、メールアドレスなど
    • 商品テーブル:商品ID(主キー)、商品名、価格、在庫数など
    • 注文テーブル:注文ID(主キー)、顧客ID、商品ID、注文個数、注文日など
  • エンティティ

    • 商品:商品ID、商品名、価格、在庫数など

上記のように、エンティティは現実世界の情報を抽象化し、テーブルはデータを効率的に管理するための構造として役割を果たします。

  • テーブル:データベース内にデータを格納するための構造
  • エンティティ:現実世界の情報を抽象化した概念



# エンティティクラス定義
class Customer:
  def __init__(self, customer_id, name, address, email):
    self.customer_id = customer_id
    self.name = name
    self.address = address
    self.email = email

class Product:
  def __init__(self, product_id, name, price, stock):
    self.product_id = product_id
    self.name = name
    self.price = price
    self.stock = stock

class Order:
  def __init__(self, order_id, customer_id, product_id, quantity, order_date):
    self.order_id = order_id
    self.customer_id = customer_id
    self.product_id = product_id
    self.quantity = quantity
    self.order_date = order_date

# テーブル定義
def create_tables(db):
  # 顧客テーブル
  db.create_table(
      'customers',
      columns=[
          Column('customer_id', Integer, primary_key=True),
          Column('name', String(255)),
          Column('address', String(255)),
          Column('email', String(255)),
      ]
  )

  # 商品テーブル
  db.create_table(
      'products',
      columns=[
          Column('product_id', Integer, primary_key=True),
          Column('name', String(255)),
          Column('price', Float),
          Column('stock', Integer),
      ]
  )

  # 注文テーブル
  db.create_table(
      'orders',
      columns=[
          Column('order_id', Integer, primary_key=True),
          Column('customer_id', Integer, ForeignKey('customers.customer_id')),
          Column('product_id', Integer, ForeignKey('products.product_id')),
          Column('quantity', Integer),
          Column('order_date', DateTime),
      ]
  )

# データ操作例
def insert_customer(db, customer):
  db.session.add(customer)
  db.session.commit()

def select_all_customers(db):
  return db.session.query(Customer).all()

def update_customer_address(db, customer_id, new_address):
  customer = db.session.query(Customer).filter_by(customer_id=customer_id).first()
  customer.address = new_address
  db.session.commit()

def delete_customer(db, customer_id):
  db.session.query(Customer).filter_by(customer_id=customer_id).delete()
  db.session.commit()

# サンプルコード実行
if __name__ == '__main__':
  # データベース接続
  from sqlalchemy import create_engine
  engine = create_engine('sqlite:///database.db')
  db = SessionLocal(bind=engine)

  # テーブル作成
  create_tables(db)

  # 顧客データ挿入
  customer1 = Customer(1, '田中 太郎', '東京都千代田区', '[email protected]')
  customer2 = Customer(2, '佐藤 花子', '神奈川県横浜市', '[email protected]')
  insert_customer(db, customer1)
  insert_customer(db, customer2)

  # 顧客データ一覧取得
  customers = select_all_customers(db)
  for customer in customers:
    print(f'顧客ID: {customer.customer_id}')
    print(f'氏名: {customer.name}')
    print(f'住所: {customer.address}')
    print(f'メールアドレス: {customer.email}')
    print('-----------------')

  # 顧客情報の更新
  update_customer_address(db, 1, '東京都港区')

  # 顧客情報の削除
  delete_customer(db, 2)



ORMは、エンティティをPythonなどのプログラミング言語のクラスとして表現し、データベースとの操作を簡略化するフレームワークです。エンティティ間の関係性を自然な形で記述でき、SQLクエリを直接記述するよりもコードが読みやすく、保守しやすいというメリットがあります。

例:SQLAlchemyを用いたORM

from sqlalchemy import create_engine
from sqlalchemy.orm import sessionmaker
from sqlalchemy.ext.declarative import declarative_base

# エンティティクラス定義
Base = declarative_base()

class Customer(Base):
    __tablename__ = 'customers'

    customer_id = Column(Integer, primary_key=True)
    name = Column(String(255))
    address = Column(String(255))
    email = Column(String(255))

class Product(Base):
    __tablename__ = 'products'

    product_id = Column(Integer, primary_key=True)
    name = Column(String(255))
    price = Column(Float)
    stock = Column(Integer)

class Order(Base):
    __tablename__ = 'orders'

    order_id = Column(Integer, primary_key=True)
    customer_id = Column(Integer, ForeignKey('customers.customer_id'))
    product_id = Column(Integer, ForeignKey('products.product_id'))
    quantity = Column(Integer)
    order_date = Column(DateTime)

# データベース接続
engine = create_engine('sqlite:///database.db')
Base.metadata.create_all(engine)
Session = sessionmaker(bind=engine)
db = Session()

# データ操作例
# 顧客データ挿入
customer1 = Customer(name='田中 太郎', address='東京都千代田区', email='[email protected]')
customer2 = Customer(name='佐藤 花子', address='神奈川県横浜市', email='[email protected]')
db.add(customer1)
db.add(customer2)
db.commit()

# 顧客データ一覧取得
customers = db.query(Customer).all()
for customer in customers:
    print(f'顧客ID: {customer.customer_id}')
    print(f'氏名: {customer.name}')
    print(f'住所: {customer.address}')
    print(f'メールアドレス: {customer.email}')
    print('-----------------')

# 顧客情報の更新
customer1.address = '東京都港区'
db.commit()

# 顧客情報の削除
db.delete(customer2)
db.commit()

NoSQLデータベース

NoSQLデータベースは、エンティティとテーブルの関係性を従来のRDBMSとは異なる柔軟な方法で表現することができます。スキーマレスな構造を採用するため、データ構造の変化に柔軟に対応でき、大規模なデータの処理にも適しています。

例:MongoDBを用いたNoSQLデータベース

import pymongo

# データベース接続
client = pymongo.MongoClient('mongodb://localhost:27017/')
db = client['test']

# コレクション(テーブル相当)作成
customers_collection = db['customers']
products_collection = db['products']
orders_collection = db['orders']

# データ操作例
# 顧客データ挿入
customer1 = {'name': '田中 太郎', 'address': '東京都千代田区', 'email': '[email protected]'}
customer2 = {'name': '佐藤 花子', 'address': '神奈川県横浜市', 'email': '[email protected]'}
customers_collection.insert_many([customer1, customer2])

# 顧客データ一覧取得
customers = customers_collection.find()
for customer in customers:
    print(f'顧客ID: {customer["_id"]}')  # _idはMongoDBの自動生成ID
    print(f'氏名: {customer["name"]}')
    print(f'住所: {customer["address"]}')
    print(f'メールアドレス: {customer["email"]}')
    print('-----------------')

# 顧客情報の更新
customers_collection.update_one({'name': '田中 太郎'}, {'$set': {'address': '東京都港区'}})

database



.NET Framework と SQLite を使用して XSD データセットに基づいて SQLite データベースを作成する方法

このチュートリアルを完了するには、次のものが必要です。SQLite ADO. NET プロバイダ.NET Framework 4.7 以降Visual Studio 2019 以降Visual Studio で新しい C# コンソール アプリケーション プロジェクトを作成します。...


Subversion を使用したデータベース構造変更のバージョン管理

データベース構造変更をバージョン管理システムで管理することは、データベースの開発と運用において非常に重要です。バージョン管理システムを使用することで、以下のメリットを得ることができます。コラボレーション: 複数の開発者がデータベース構造変更を同時に作業し、変更内容を統合することができます。...


ALTER TABLE文でユニークインデックス列の値を入れ替える

方法1:UPDATE文を使用する最も簡単な方法は、UPDATE文を使用して、直接値を入れ替えることです。例:この方法では、WHERE条件で特定のレコードのみを対象に値を入れ替えることができます。方法2:CASE式を使用するCASE式を使用して、値を入れ替える条件を指定することもできます。...


DB2 PHPドライバーを使ってIBM i(AS/400)データベースに接続する

必要なものIBM i(AS/400)データベースへの接続情報ODBCドライバーPHP手順ODBCドライバーのインストール IBM i(AS/400)に接続するには、IBMから提供されているODBCドライバーをインストールする必要があります。 Windowsの場合 IBM i Access Client Solutions for Windowsをダウンロードします。 ダウンロードしたファイルをインストールします。 インストール時に「ODBC Driver for iSeries」を選択肢ます。 Linuxの場合...


SQLite、RavenDB、Firebird:.NET開発者のための最適な埋め込みデータベースの選択

代表的な埋め込みデータベースネットワーク上で動作する埋め込みデータベースの選択ネットワーク上で動作する埋め込みデータベースを選択する際には、以下の要素を考慮する必要があります。ライセンス: データベースのライセンスはどのようになっていますか?オープンソースのデータベースは無料で使用できますが、商用データベースにはライセンス費用がかかります。...



SQL SQL SQL SQL Amazon で見る



ストアドプロシージャ、ライブラリ、フレームワーク...MySQLでバイナリデータを扱うためのツール

TEXT:可変長の文字列型。最大65, 535バイトから4GBまで保存できます。バイナリデータだけでなく、文字列も保存できます。BLOB:可変長のバイナリデータ型。最大65, 535バイトから4GBまで保存できます。VARBINARY:可変長のバイナリデータ型。最大65


アプリケーションロジックでテーブル更新を制御する方法

MySQLトリガーは、特定のデータベース操作に対して自動的に実行されるコードです。トリガーを使用して、テーブル更新を防止するエラーをスローすることができます。例:以下の例は、usersテーブルのage列が18歳未満の場合に更新を防止するトリガーです。


初心者でも安心!PHPでフラットファイルデータベースを始めるためのガイド

PHPは、Web開発に広く使用されているプログラミング言語です。SQLは、データベースとのやり取りに使用される構造化照会言語です。フラットファイルデータベースは、PHPとSQLを使用して読み書きできます。費用を抑えられるサーバーの負荷が少ない


データベースアプリケーションにおける XSD データセットと外部キーの重要性

XSD データセットは、XML スキーマ定義 (XSD) を使用して定義されたデータの集合です。.NET では、DataSet クラスを使用して XSD データセットを表します。外部キーは、データベースの 2 つのテーブル間の関連を表す制約です。XSD データセットでは、ForeignKeyConstraint クラスを使用して外部キーを表します。


SQL Serverデータベースのバージョン管理:Subversionとの連携方法

この解説では、Subversion(SVN)と呼ばれるバージョン管理システムを用いて、SQL Serverデータベースのバージョン管理を行う方法について説明します。SVNは、ファイルやディレクトリのバージョン管理に広く用いられるオープンソースツールであり、データベースのバージョン管理にも活用できます。