N:M関係と1:N関係の違いをわかりやすく解説! エンティティ間の関係性を正しく表現しよう

2024-06-24

データベース設計における「N:M」と「1:N」の意味

エンティティと関係性

データベースでは、現実世界の情報を「エンティティ」と呼ばれる単位で表します。エンティティは、互いに関係を持ち、その関係性を「リレーションシップ」と呼びます。

N:M関係

N:M関係は、ひとつのエンティティが、複数の別のエンティティと関係を持つことを表します。例えば、「学生」と「科目」の関係を例に考えてみましょう。

  • 学生: 太郎、次郎、花子
  • 科目: 数学、英語、体育

この場合、ひとりの学生は複数の科目を受講することができます。例えば、太郎は数学、英語、体育を受講し、次郎は英語と体育を受講することができます。また、ひとつの科目は複数の学生が受講することができます。例えば、数学は太郎、次郎、花子が受講し、英語は次郎と花子が受講することができます。

このように、学生と科目は、互いに複数の相手を持つ関係にあります。これが、N:M関係と呼ばれるものです。

1:N関係

  • 顧客: 山田太郎、佐藤花子
  • 注文: 注文番号1、注文番号2、注文番号3

この場合、ひとりの顧客は複数の注文を出すことができます。例えば、山田太郎は注文番号1と注文番号2を出し、佐藤花子は注文番号3を出します。一方、ひとつの注文は、必ずひとりの顧客に紐づくことになります。つまり、注文番号1は山田太郎にのみ紐づき、注文番号2も山田太郎にのみ紐づきます。

このように、顧客と注文は、一方複数の相手を持ち、もう一方最大でもひとつの相手しか持たない関係**にあります。これが、1:N関係と呼ばれるものです。

N:M関係と1:N関係は、それぞれ異なる状況で用いられます。

    関連テーブルの作成

    N:M関係と1:N関係をデータベースで表現するには、関連テーブルと呼ばれるテーブルを作成する必要があります。

    • N:M関係: N:M関係の場合は、結合テーブルと呼ばれる関連テーブルを作成します。結合テーブルには、両方のエンティティの主キーを含むカラムを定義します。

    まとめ

    データベース設計において、「N:M」と「1:N」は、エンティティ間の関係性を表す重要な概念です。それぞれの意味と、適切な使い分けを理解することで、より効率的で柔軟性の高いデータベースを設計することができます。

    その他のポイント

    • N:M関係と1:N関係は、排他的な関係ではありません。状況によっては、ひとつの関係がN:M関係と1:N関係の両方の性質を持つ場合**もあります。
    • データベース設計においては、エンティティ間の関係性を明確に定義することが重要です。そうすることで、データの整合性と信頼性を保つことができます。



    N:M関係と1:N関係のサンプルコード

    N:M関係

    テーブル定義

    -- 学生テーブル
    CREATE TABLE students (
      student_id INT PRIMARY KEY AUTO_INCREMENT,
      name VARCHAR(255) NOT NULL
    );
    
    -- 科目テーブル
    CREATE TABLE subjects (
      subject_id INT PRIMARY KEY AUTO_INCREMENT,
      name VARCHAR(255) NOT NULL
    );
    
    -- 学生と科目の関係を表す結合テーブル
    CREATE TABLE student_subjects (
      student_id INT NOT NULL,
      subject_id INT NOT NULL,
      PRIMARY KEY (student_id, subject_id),
      FOREIGN KEY (student_id) REFERENCES students(student_id),
      FOREIGN KEY (subject_id) REFERENCES subjects(subject_id)
    );
    

    データ操作

    -- 学生を追加
    INSERT INTO students (name) VALUES ('山田太郎');
    INSERT INTO students (name) VALUES ('佐藤花子');
    
    -- 科目を追加
    INSERT INTO subjects (name) VALUES ('数学');
    INSERT INTO subjects (name) VALUES ('英語');
    INSERT INTO subjects (name) VALUES ('体育');
    
    -- 学生と科目を紐付ける
    INSERT INTO student_subjects (student_id, subject_id) VALUES (1, 1);
    INSERT INTO student_subjects (student_id, subject_id) VALUES (1, 2);
    INSERT INTO student_subjects (student_id, subject_id) VALUES (2, 2);
    INSERT INTO student_subjects (student_id, subject_id) VALUES (2, 3);
    

    クエリの例

    -- 特定の学生が受講している科目をすべて取得
    SELECT s.name AS student_name, sub.name AS subject_name
    FROM students AS s
    JOIN student_subjects AS ss ON s.student_id = ss.student_id
    JOIN subjects AS sub ON ss.subject_id = sub.subject_id
    WHERE s.student_id = 1;
    

    出力

    student_name | subject_name
    ------------+--------------
    山田太郎   | 数学
    山田太郎   | 英語
    

    1:N関係

    例:顧客と注文

    -- 顧客テーブル
    CREATE TABLE customers (
      customer_id INT PRIMARY KEY AUTO_INCREMENT,
      name VARCHAR(255) NOT NULL
    );
    
    -- 注文テーブル
    CREATE TABLE orders (
      order_id INT PRIMARY KEY AUTO_INCREMENT,
      customer_id INT NOT NULL,
      order_date DATE NOT NULL,
      FOREIGN KEY (customer_id) REFERENCES customers(customer_id)
    );
    
    -- 顧客を追加
    INSERT INTO customers (name) VALUES ('山田太郎');
    INSERT INTO customers (name) VALUES ('佐藤花子');
    
    -- 注文を追加
    INSERT INTO orders (customer_id, order_date) VALUES (1, '2024-06-23');
    INSERT INTO orders (customer_id, order_date) VALUES (1, '2024-06-24');
    INSERT INTO orders (customer_id, order_date) VALUES (2, '2024-06-25');
    
    -- 特定の顧客が発行したすべての注文を取得
    SELECT c.name AS customer_name, o.order_id, o.order_date
    FROM customers AS c
    JOIN orders AS o ON c.customer_id = o.customer_id
    WHERE c.customer_id = 1;
    
    customer_name | order_id | order_date
    --------------+---------+------------
    山田太郎     | 1        | 2024-06-23
    山田太郎     | 2        | 2024-06-24
    

    このサンプルコードは、N:M関係と1:N関係の基本的な概念を理解するためのものです。実際のデータベース設計では、より複雑な関係や制約を考慮する必要があります。




    N:M関係と1:N関係の代替方法

    N:M関係の代替方法

    • 階層型データモデル: N:M関係を階層構造として表現する方法です。例えば、「学生」と「科目」の関係を階層型データモデルで表現する場合、「学生」エンティティに「受講科目」というサブエンティティを定義することができます。サブエンティティには、科目のIDとその他の関連情報を含めることができます。
    • ブリッジエンティティ: N:M関係を表現するために、中間テーブルを作成する方法です。ブリッジエンティティには、両方のエンティティの主キーを含むカラムと、その他の関連情報を含めることができます。
    • 属性データ: N:M関係を表現するために、エンティティに属性を追加する方法です。例えば、「学生」エンティティに「受講科目」という属性を追加し、この属性には、学生が受講している科目のIDをカンマ区切りで保存することができます。
    • 複合キー: 1:N関係を表現するために、エンティティに複合キーを使用する方法です。例えば、「顧客」と「注文」の関係を複合キーで表現する場合、「注文」エンティティには、「顧客ID」と「注文番号」という2つのカラムを含む主キーを定義することができます。
    • EAVモデル: エンティティの属性を値のペアとして格納する方法です。EAVモデルを使用すると、1:N関係を柔軟に表現することができます。

    N:M関係と1:N関係の代替方法を選択する際には、以下の要素を考慮する必要があります。

    • データモデル: 使用しているデータモデル
    • データの整合性: データの整合性をどのように保つか
    • パフォーマンス: データベースのパフォーマンス
    • 将来の拡張性: 将来的にデータモデルを拡張する必要があるかどうか

    その他の考慮事項

    • 上記で紹介した方法は、あくまでも一般的な代替方法です。状況によっては、より適切な方法が存在する場合があります。
    • データベース設計を行う際には、専門家に相談することをお勧めします。

    N:M関係と1:N関係は、エンティティ間の関係性を表現する一般的な方法ですが、状況によっては、より適切な代替方法が存在する場合があります。どの方法を選択する際には、上記の要素を考慮する必要があります。


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