PostgreSQLで累積合計を計算する:ウィンドウ関数徹底解説

2024-04-15

PostgreSQLにおける累積合計の計算:ウィンドウ関数徹底解説

ウィンドウ関数の基本

ウィンドウ関数は、通常の集計関数とは異なり、ウィンドウと呼ばれる範囲に対して集計処理を行います。このウィンドウは、行、列、または両方の組み合わせで定義できます。

PostgreSQLには、様々なウィンドウ関数が用意されていますが、累積合計の計算によく使われるものは以下の2つです。

  • SUM(): 指定された列の値を合計します。
  • OVER(): ウィンドウを定義します。

累積合計の計算例

以下の例では、ordersテーブルにある注文金額の累積合計を計算します。

SELECT
  order_id,
  order_amount,
  SUM(order_amount) OVER (ORDER BY order_id) AS cumulative_sum
FROM orders;

このクエリは以下の結果を返します。

order_id | order_amount | cumulative_sum
---------+--------------+---------------
1        | 100         | 100
2        | 50          | 150
3        | 200         | 350
4        | 300         | 650

このクエリでは、ORDER BY order_id句を使ってウィンドウを定義しています。このウィンドウは、order_id列の値が昇順に並べられた行グループで構成されています。SUM(order_amount) OVER (ORDER BY order_id)という部分は、このウィンドウ内のorder_amount列の値を合計し、cumulative_sumという名前で各行に付与しています。

異なるウィンドウ定義

ウィンドウは、様々な方法で定義することができます。例えば、以下のように、日付に基づいて累積合計を計算することもできます。

SELECT
  order_date,
  order_amount,
  SUM(order_amount) OVER (ORDER BY order_date) AS cumulative_sum
FROM orders;

このクエリでは、order_date列の値が昇順に並べられた行グループでウィンドウを定義しています。

フレーム指定

ウィンドウには、フレームと呼ばれる範囲を指定することができます。フレームは、ウィンドウ内における開始行と終了行を定義します。フレームには、以下の3種類があります。

  • ROWS: 前の指定行数からの行数
  • RANGE: 前の指定行数からの行数と現在の行を含む行数
  • CURRENT ROW: 現在の行のみ

例えば、以下のクエリでは、直前の3行を含むウィンドウで累積合計を計算します。

SELECT
  order_id,
  order_amount,
  SUM(order_amount) OVER (ORDER BY order_id ROWS BETWEEN 3 PRECEDING AND CURRENT ROW) AS cumulative_sum
FROM orders;

まとめ

PostgreSQLのウィンドウ関数を使えば、累積合計をはじめとする様々な集計処理を柔軟かつ簡単に実現することができます。ぜひ、今回の解説を参考に、ウィンドウ関数を活用してみてください。




PostgreSQLにおける累積合計の計算:サンプルコード

注文IDごとの累積合計

SELECT
  order_id,
  order_amount,
  SUM(order_amount) OVER (ORDER BY order_id) AS cumulative_sum
FROM orders;

このクエリは、ordersテーブルのすべての行に対して、以下の処理を実行します。

  1. order_id列の値に基づいて行を昇順にソートします。
  2. 各行について、現在の行までのorder_amount列の値を合計します。
  3. 合計値をcumulative_sumという名前の新しい列に格納します。

結果として、以下のテーブルが出力されます。

order_idorder_amountcumulative_sum
1100100
250150
3200350
4300650

注文日ごとの累積合計

SELECT
  order_date,
  order_amount,
  SUM(order_amount) OVER (ORDER BY order_date) AS cumulative_sum
FROM orders;
order_dateorder_amountcumulative_sum
2023-01-01150150
2023-01-0560210
2023-01-10200410
2023-02-0150460

直前の3行を含むウィンドウでの累積合計

SELECT
  order_id,
  order_amount,
  SUM(order_amount) OVER (ORDER BY order_id ROWS BETWEEN 3 PRECEDING AND CURRENT ROW) AS cumulative_sum
FROM orders;
order_idorder_amountcumulative_sum
1100100
250100
3200250
4300500

これらのサンプルコードは、様々な集計処理に応用することができます。ぜひ、試してみてください。




PostgreSQLにおける累積合計の計算:その他の方法

累積合計を計算するもう1つの方法は、サブクエリを使用する方法です。この方法は、ウィンドウ関数よりも複雑ですが、より柔軟な集計処理を実現することができます。

SELECT
  order_id,
  order_amount,
  (
    SELECT SUM(order_amount)
    FROM orders o2
    WHERE o2.order_id <= o1.order_id
  ) AS cumulative_sum
FROM orders o1;
  1. order_idが現在の行以下のすべての行からなるサブクエリを実行します。

この方法は、ウィンドウ関数よりも処理速度が遅くなる可能性があることに注意が必要です。

CTEを使用する

CTE (Common Table Expression) を使用して、累積合計を計算することもできます。CTEは、一時的な結果セットを定義するのに役立ちます。

WITH cumulative_sum AS (
  SELECT
    order_id,
    order_amount,
    SUM(order_amount) OVER (ORDER BY order_id) AS cumulative_sum
  FROM orders
)
SELECT * FROM cumulative_sum;
  1. CTE内で、ordersテーブルのすべての行に対してウィンドウ関数を適用し、累積合計を計算します。
  2. CTEの結果セットをメインクエリに返します。

この方法は、可読性とメンテナンス性を向上させるのに役立ちます。

再帰クエリを使用して、累積合計を計算することもできます。この方法は、最も複雑な方法ですが、最も柔軟な方法でもあります。

WITH RECURSIVE cumulative_sum AS (
  SELECT
    order_id,
    order_amount,
    0 AS cumulative_sum
  FROM orders
  UNION ALL
  SELECT
    o.order_id,
    o.order_amount,
    cs.cumulative_sum + o.order_amount
  FROM orders o
  JOIN cumulative_sum cs ON cs.order_id = o.order_id - 1
  ORDER BY o.order_id
)
SELECT * FROM cumulative_sum;
  1. CTEのベースとなるクエリで、ordersテーブルのすべての行に0という累積合計を割り当てます。
  2. 再帰部分のクエリで、order_idが前の行のorder_idよりも1大きい行のorder_amount列の値を、前の行の累積合計に足します。

この方法は、複雑な階層構造を持つデータに対して累積合計を計算する場合に役立ちます。

PostgreSQLで累積合計を計算するには、様々な方法があります。それぞれの方法には長所と短所があるので、状況に合わせて最適な方法を選択する必要があります。


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