コードを簡潔に、読みやすく!MySQL WITH句で複雑なサブクエリを攻略

2024-04-08

MySQL WITH句: 共通テーブル式 (CTE) の概要

MySQL WITH句は、SELECT文の中で複雑なサブクエリを簡潔かつ読みやすく表現するための機能です。共通テーブル式 (CTE) とも呼ばれ、中間結果を一時的に保存し、複数のクエリで参照できるようにします。

メリット:

  • コードの簡潔化: 複雑なサブクエリを CTE として定義することで、コードをより読みやすく、理解しやすくなります。
  • コードの再利用性: CTE は複数のクエリで再利用でき、コードの重複を減らし、保守性を向上させます。
  • パフォーマンスの向上: CTE は適切に使用することで、クエリのパフォーマンスを向上させることができます。

構文:

WITH <cte_name> AS (
  <subquery>
),
...
<query>
  • <cte_name>: CTE の名前
  • <subquery>: CTE を定義するサブクエリ

例:

WITH employee_details AS (
  SELECT *
  FROM employees
  WHERE department = 'Sales'
),
...
SELECT *
FROM employee_details
ORDER BY salary DESC;

この例では、employee_details という名前の CTE を定義しています。この CTE は、employees テーブルから department 列が Sales と一致するレコードをすべて選択します。その後、employee_details CTE を参照して、salary 列に基づいて降順に結果を並べ替えています。

応用例:

  • 複雑な集計: 複数の集計関数を組み合わせた複雑な集計を CTE で簡単に表現できます。
  • 階層クエリ: 親子関係を表すデータに対して、階層的なクエリを CTE で記述できます。
  • データの再利用: 同じ中間結果を複数のクエリで利用する場合、CTE で定義することでコードを簡潔化できます。

注意事項:

  • CTE はサブクエリと同じように動作するため、パフォーマンスに影響を与える可能性があります。
  • CTE は MySQL 8.0 以降でサポートされています。



WITH employee_details AS (
  SELECT *
  FROM employees
),
employee_roles AS (
  SELECT role, AVG(salary) AS average_salary
  FROM employee_details
  GROUP BY role
)
SELECT *
FROM employee_roles;

この例では、2つの CTE を定義しています。

  • employee_details: employees テーブルからすべてのデータを選択します。
  • employee_roles: employee_details CTE を使用して、役職と給与の平均を計算します。

その後、employee_roles CTE を参照して、すべての役職と給与の平均を表示します。

従業員の役職と給与の平均を降順に並べ替える

WITH employee_details AS (
  SELECT *
  FROM employees
),
employee_roles AS (
  SELECT role, AVG(salary) AS average_salary
  FROM employee_details
  GROUP BY role
)
SELECT *
FROM employee_roles
ORDER BY average_salary DESC;

この例では、上記の例に ORDER BY 句を追加して、給与の平均を降順に並べ替えています。

従業員の役職と給与の平均を、役職ごとに5件ずつ表示する

WITH employee_details AS (
  SELECT *
  FROM employees
),
employee_roles AS (
  SELECT role, AVG(salary) AS average_salary
  FROM employee_details
  GROUP BY role
)
SELECT *
FROM employee_roles
ORDER BY average_salary DESC
LIMIT 5 OFFSET 0;

この例では、LIMIT 句と OFFSET 句を追加して、役職ごとに5件ずつ結果を表示しています。

WITH employee_details AS (
  SELECT *
  FROM employees
),
employee_roles AS (
  SELECT role, AVG(salary) AS average_salary
  FROM employee_details
  GROUP BY role
)
SELECT *
FROM employee_roles
ORDER BY average_salary DESC
LIMIT 5 OFFSET 5;

この例では、OFFSET 句を 5 に設定して、2ページ目に表示するようにしています。

再帰 CTE を使用して、組織階層を表示する

WITH recursive employee_hierarchy AS (
  SELECT
    employee_id,
    manager_id,
    CONCAT(name, ' (', role, ')') AS full_name
  FROM employees
  WHERE manager_id IS NULL
  UNION ALL
  SELECT
    e.employee_id,
    e.manager_id,
    CONCAT(m.full_name, ' -> ', e.full_name) AS full_name
  FROM employee_hierarchy AS m
  INNER JOIN employees AS e ON e.manager_id = m.employee_id
)
SELECT *
FROM employee_hierarchy;
  • 最初の SELECT 文は、組織のトップレベルの従業員を選択します。
  • 2番目の SELECT 文は、employee_hierarchy CTE と employees テーブルを結合して、各従業員の子孫を選択します。
  • UNION ALL 演算子は、2つの SELECT 文の結果を結合します。

これらのサンプルコードは、MySQL WITH句の使用方法を理解するのに役立ちます。




MySQL WITH句の代替方法

サブクエリ:

WITH句を使用せずにサブクエリで同じ結果を得ることができます。ただし、コードが冗長になり、読みづらくなる可能性があります。

SELECT *
FROM (
  SELECT role, AVG(salary) AS average_salary
  FROM employees
  GROUP BY role
) AS t;

この例は、上記のサンプルコード1の WITH句をサブクエリで置き換えたものです。

ビュー:

CTE を頻繁に使用する場合は、ビューとして定義することで、コードを再利用できます。

CREATE VIEW employee_roles AS
SELECT role, AVG(salary) AS average_salary
FROM employees
GROUP BY role;

SELECT *
FROM employee_roles;

中間テーブル:

CTE で計算した中間結果を一時テーブルに保存することで、パフォーマンスを向上させることができます。

CREATE TEMPORARY TABLE employee_roles AS
SELECT role, AVG(salary) AS average_salary
FROM employees
GROUP BY role;

SELECT *
FROM employee_roles;
  • コードの簡潔化と読みやすさを重視する場合は、WITH句を使用するのがおすすめです。
  • パフォーマンスを重視する場合は、中間テーブルを使用するのがおすすめです。

以下は、それぞれの方法の利点と欠点です。

方法利点欠点
WITH句簡潔で読みやすいMySQL 8.0 以降でないと使用できない
サブクエリ汎用性が高い冗長になり、読みづらくなる可能性がある
ビューコードの再利用性が高い作成と管理に手間がかかる
中間テーブルパフォーマンスが向上する一時的なテーブルを管理する必要がある

これらの情報を参考に、状況に応じて適切な方法を選択してください。


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