SQLの一時テーブルへのデータ挿入のコード例解説
SQLで一時テーブルにクエリ結果を挿入する
一時テーブルは、データベース内で一時的なデータの保存に使用されるオブジェクトです。クエリ結果を一時テーブルに挿入することで、後続の処理や分析に利用することができます。
SQL Serverでの基本的な構文
SQL Serverでは、以下の構文を使用して一時テーブルを作成し、クエリ結果を挿入します。
CREATE TABLE #TableName (
ColumnName1 DataType,
ColumnName2 DataType,
-- ...
);
INSERT INTO #TableName
SELECT Column1, Column2, -- ...
FROM SourceTable
WHERE Condition;
#TableName
: 一時テーブルの名前。ハッシュマーク(#)で始まる名前を使用します。ColumnName
: 一時テーブルの列名とデータ型。SourceTable
: クエリを実行する対象のテーブル。Condition
: クエリでフィルタリングする条件。
例
-- 一時テーブルを作成
CREATE TABLE #CustomerOrders (
OrderID INT,
CustomerID INT,
OrderDate DATE
);
-- クエリ結果を挿入
INSERT INTO #CustomerOrders
SELECT OrderID, CustomerID, OrderDate
FROM Orders
WHERE OrderDate >= '2024-01-01' AND OrderDate <= '2024-12-31';
この例では、Orders
テーブルから2024年の注文データを抽出し、#CustomerOrders
という一時テーブルに挿入します。
SSMS(SQL Server Management Studio)での使用
SSMSでは、クエリウィンドウで上記の構文を入力し、実行ボタンをクリックすることで、一時テーブルの作成とクエリの実行が実行されます。
注意:
- 一時テーブルは、セッションが終了すると自動的に削除されます。
- 一時テーブルは、他のセッションからはアクセスできません。
SQLの一時テーブルへのデータ挿入のコード例解説
コード例1:基本的な挿入
CREATE TABLE #TempCustomer (
CustomerID INT,
CustomerName NVARCHAR(50),
City NVARCHAR(30)
);
INSERT INTO #TempCustomer
SELECT CustomerID, CustomerName, City
FROM Customers
WHERE Country = 'Japan';
解説:
- 一時テーブルの作成:
#TempCustomer
という名前の一時テーブルを作成し、CustomerID
,CustomerName
,City
という3つの列を定義しています。 - データの挿入:
Customers
テーブルから、国が「Japan」である顧客のデータを抽出し、作成した一時テーブルに挿入しています。
コード例2:集計結果の挿入
CREATE TABLE #SalesByYear (
Year INT,
TotalSales MONEY
);
INSERT INTO #SalesByYear
SELECT YEAR(OrderDate) AS Year, SUM(Total) AS TotalSales
FROM Orders
GROUP BY YEAR(OrderDate);
- 一時テーブルの作成:
#SalesByYear
という名前の一時テーブルを作成し、Year
とTotalSales
という2つの列を定義しています。 - 集計結果の挿入:
Orders
テーブルの注文データを年別に集計し、合計売上を計算して一時テーブルに挿入しています。
コード例3:複数のテーブルからの結合と挿入
CREATE TABLE #CustomerOrders (
OrderID INT,
CustomerID INT,
ProductName NVARCHAR(100)
);
INSERT INTO #CustomerOrders
SELECT O.OrderID, O.CustomerID, P.ProductName
FROM Orders AS O
INNER JOIN Products AS P ON O.ProductID = P.ProductID;
- 一時テーブルの作成:
#CustomerOrders
という名前の一時テーブルを作成し、OrderID
,CustomerID
,ProductName
という3つの列を定義しています。 - 複数のテーブルの結合:
Orders
テーブルとProducts
テーブルを結合し、注文情報と商品情報を組み合わせた結果を一時テーブルに挿入しています。
コード例4:サブクエリを使用した挿入
CREATE TABLE #TopCustomers (
CustomerID INT,
CustomerName NVARCHAR(50)
);
INSERT INTO #TopCustomers
SELECT CustomerID, CustomerName
FROM Customers
WHERE CustomerID IN (
SELECT CustomerID
FROM Orders
GROUP BY CustomerID
HAVING COUNT(*) > 10
);
- サブクエリを使用したフィルタリング: サブクエリで10回以上注文した顧客のIDを取得し、その結果をもとに元のテーブルから顧客情報を抽出して一時テーブルに挿入しています。
SSMSでの実行
これらのコードをSQL Server Management Studio (SSMS)のクエリウィンドウに貼り付けて実行することで、一時テーブルの作成とデータの挿入を行うことができます。
一時テーブルの利用例
- 複雑なクエリの中間結果の保存: 一時テーブルに部分的な結果を保存することで、クエリを分割し、可読性を向上させることができます。
- 集計結果の保存: 集計結果を一時テーブルに保存し、後続の処理で利用することができます。
- 複数のクエリで共通して使用するデータの保存: 一度だけデータを抽出して一時テーブルに保存しておけば、複数のクエリで再利用できます。
注意点
さらに詳しく知りたい場合は、以下のキーワードで検索してみてください。
- SQL 一時テーブル
- SQL Server 一時テーブル
- SQL INSERT INTO
- SQL SELECT
Common Table Expression (CTE) の利用
- 特徴:
- クエリ内で一時的な結果セットを定義できる。
- 一時テーブルと異なり、明示的にDROPする必要がない。
- 複雑な階層構造を持つデータを扱う場合に有効。
- 例:
WITH SalesByYear AS ( SELECT YEAR(OrderDate) AS Year, SUM(Total) AS TotalSales FROM Orders GROUP BY YEAR(OrderDate) ) SELECT * FROM SalesByYear WHERE TotalSales > 1000000;
- メリット:
- クエリの可読性向上
- 一時テーブルよりも軽量な処理
一時関数 (SQL Server) の利用
- 特徴:
- スカラー値関数またはテーブル値関数を定義し、再利用可能なロジックとして扱う。
- 複雑な計算やロジックをカプセル化できる。
- 例:
CREATE FUNCTION GetTopCustomers() RETURNS TABLE AS RETURN ( SELECT TOP 10 CustomerID, CustomerName FROM Customers ORDER BY TotalSales DESC ); SELECT * FROM GetTopCustomers();
- メリット:
- モジュラー化によるコードの再利用性向上
- 複雑なロジックの隠蔽
Temporary Table (MySQL) の利用
- 特徴:
- セッションが終了すると自動的に削除される一時テーブル。
- SQL Serverの一時テーブルと似た概念。
- 例:
CREATE TEMPORARY TABLE temp_customers ( CustomerID INT, CustomerName VARCHAR(50) );
- メリット:
変数への代入 (SQL Server)
- 特徴:
- 単一の値を格納する変数。
- 集計結果などを一時的に保持する。
- 例:
DECLARE @TotalSales INT; SELECT @TotalSales = SUM(Total) FROM Orders;
- メリット:
- シンプルな値の保持
テーブル変数 (SQL Server)
- 特徴:
- テーブル型の変数。
- 一時テーブルと似ているが、より柔軟な定義が可能。
- 例:
DECLARE @TempTable TABLE ( CustomerID INT, CustomerName NVARCHAR(50) );
- メリット:
選択基準
- データの複雑さ: 複雑な計算や階層構造の場合はCTEや一時関数
- コードの再利用性: 再利用可能なロジックは一時関数
- 永続性: セッション間で保持する必要がある場合は永続的なテーブル
- パフォーマンス: 大量のデータを扱う場合はインデックス付きの一時テーブルやCTEが有効
- 可読性: クエリの可読性を重視する場合はCTE
一時テーブルは汎用的な手法ですが、状況に応じてより適切な方法を選択することで、クエリの性能や可読性を向上させることができます。各手法の特徴を理解し、適切な方法を選択することで、より効率的なデータ処理を実現しましょう。
- 上記以外にも、特定のデータベースシステムで提供される独自機能が存在する場合があります。
- パフォーマンスチューニングの観点からは、インデックスの作成やクエリの最適化も重要です。
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