MySQLで実現するマルチテナントDB:共有テーブル構造でSaaSアプリケーションを構築
マルチテナントデータベースの作成方法:共有テーブル構造
共有テーブル構造の利点:
- リソースの効率化: 共通のテーブル構造を使用することで、ストレージスペースとデータベース処理能力を節約できます。
- 開発・保守の容易性: 共通のスキーマを使用することで、データベースの開発と保守が容易になります。
- スケーラビリティ: テナントを追加しても、データベース構造を変更する必要がありません。
- データセキュリティ: 適切なセキュリティ対策を講じないと、テナント間でデータが漏洩する可能性があります。
- 複雑性: マルチテナントデータベースの設計と実装は、シングルテナントデータベースよりも複雑です。
- パフォーマンス: 複数のテナントからの同時アクセスが増加すると、パフォーマンスが低下する可能性があります。
マルチテナントデータベースを作成する方法:
- 要件定義: 最初に、マルチテナントデータベースの要件を定義する必要があります。これには、テナントごとに格納するデータの種類、必要なセキュリティレベル、パフォーマンス要件などが含まれます。
- スキーマ設計: 次に、すべてのテナントで共有されるテーブル構造を設計する必要があります。各テーブルには、テナントを識別するためのテナントID列が含まれている必要があります。
- データ分離: 各テナントのデータを分離するために、データアクセス制御(DAC)メカニズムを実装する必要があります。これには、行レベルセキュリティ(RLS)やスキーマレベルセキュリティ(SLS)などの手法を使用できます。
- アプリケーション開発: 最後に、マルチテナントデータベースと連携するアプリケーションを開発する必要があります。アプリケーションは、テナントIDを使用して適切なデータにアクセスできるようにする必要があります。
マルチテナントデータベース設計に関するツールとフレームワーク:
- MySQL sharding: MySQL shardingは、大規模なマルチテナントデータベースを水平方向に分割するためのオープンソースフレームワークです。
- Amazon Aurora: Amazon Auroraは、クラウドベースのリレーショナルデータベースサービスであり、マルチテナントデータベースを簡単に作成および管理できます。
注意事項:
上記の情報は一般的なガイドラインであり、個々の要件に応じて調整する必要がある場合があります。マルチテナントデータベースの設計と実装は複雑なタスクであるため、経験豊富なデータベース開発者に相談することをお勧めします。
-- 共通テーブル: テナント
CREATE TABLE tenant (
tenant_id INT PRIMARY KEY AUTO_INCREMENT,
name VARCHAR(255) NOT NULL UNIQUE
);
-- 共通テーブル: ユーザー
CREATE TABLE user (
user_id INT PRIMARY KEY AUTO_INCREMENT,
tenant_id INT NOT NULL,
name VARCHAR(255) NOT NULL,
email VARCHAR(255) NOT NULL,
FOREIGN KEY (tenant_id) REFERENCES tenant(tenant_id)
);
-- テナント固有テーブル: 注文
CREATE TABLE order (
order_id INT PRIMARY KEY AUTO_INCREMENT,
tenant_id INT NOT NULL,
user_id INT NOT NULL,
product_id INT NOT NULL,
quantity INT NOT NULL,
FOREIGN KEY (tenant_id) REFERENCES tenant(tenant_id),
FOREIGN KEY (user_id) REFERENCES user(user_id)
);
-- テナント固有テーブル: 商品
CREATE TABLE product (
product_id INT PRIMARY KEY AUTO_INCREMENT,
tenant_id INT NOT NULL,
name VARCHAR(255) NOT NULL,
price DECIMAL(10,2) NOT NULL,
FOREIGN KEY (tenant_id) REFERENCES tenant(tenant_id)
);
tenant
テーブルは、すべてのテナントの共通情報(テナントID、名前)を格納します。user
テーブルは、各テナントのユーザー情報を格納します。各ユーザーは、テナントIDと関連付けられています。
この設計により、各テナントは論理的に分離されていますが、基盤となるテーブル構造は共有されます。
データアクセス制御
この例では、データアクセス制御(DAC)を実装していません。本番環境で使用するには、適切な DAC メカニズムを実装する必要があります。
例:
- 行レベルセキュリティ(RLS)を使用して、各テナントのユーザーが自分のテナントのデータのみを表示できるようにすることができます。
- スキーマレベルセキュリティ(SLS)を使用して、各テナントに独自のスキーマを割り当てることができます。
スキーマパーティショニングは、物理的に異なるスキーマを使用して複数のテナントのデータを格納する手法です。この方法は、データ量が多い場合や、パフォーマンスが重要な場合に適しています。
利点:
- 高いパフォーマンス
- 大規模なデータセットに適している
課題:
- スキーマの変更が複雑になる
- 管理が複雑になる
CREATE TABLE tenant_1_order (
order_id INT PRIMARY KEY AUTO_INCREMENT,
user_id INT NOT NULL,
product_id INT NOT NULL,
quantity INT NOT NULL
);
CREATE TABLE tenant_2_order (
order_id INT PRIMARY KEY AUTO_INCREMENT,
user_id INT NOT NULL,
product_id INT NOT NULL,
quantity INT NOT NULL
);
データベースシャードニングは、複数のデータベースサーバーにデータを分散させる手法です。この方法は、データ量が多い場合や、水平方向にスケーラビリティを確保する必要がある場合に適しています。
- 水平方向にスケーラビリティが高い
- データの整合性を保つのが複雑になる
- アプリケーションの複雑さが増す
SaaS ソリューションは、マルチテナントデータベースのホスティングと管理を専門業者に任せる方法です。この方法は、開発と管理の負担を軽減したい場合に適しています。
- 開発と管理の負担が軽減される
- 専門家のサポートを受けることができる
- コストがかかる
- カスタマイズ性が制限される
最適な方法の選択:
最適な方法は、個々の要件によって異なります。要件を評価する際には、次の要素を考慮する必要があります。
- データ量
- パフォーマンス要件
- スケーラビリティ要件
- セキュリティ要件
- 開発と管理のリソース
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